ブラック・パワー運動 黒人が自らの文化に自負心をもつ

(『世界歴史大系 アメリカ史2』から抜粋)

1960年代になると、黒人たちには新しい自意識が台頭します。

それは、差別への失望と怒りの表明でした。

ブラック・パワー運動は、キング牧師らの非暴力とは異なる路線でした。

1966年10月には武装自衛をかかげて「ブラック・パンサー」が結成され、都市の黒人に一時は支持されました。

この運動は、「ブラック・イズ・ビューティフル」のスローガンに見られるように、自らの文化への自負心を育成するのを目指していました。

黒人たちは自らを「アフロ・アメリカン(アフリカ系のアメリカ人)」と呼称し始め、
アフリカの衣装や髪型を愛用するようになった。

この運動は、インディアンの「レッド・パワー」など、他の集団にも覚醒をもたらしました。

こうした流れは、白人たちに反省をうながし、アメリカ文化の多様性が強調されるようになっていきます。

一方で、運動に参加していた女性たちは、「差別撤廃の運動の中ですら、女性は従属的な役割になっている」と気づき、女性解放運動の自立を自覚していきます。

そして、66年10月には『全国女性組織(NOW)』が結成されて、73年には会員は3万人に達します。

ブラック・パワー運動は、警察などから取り締まられ、70年代の初めには沈静化していきました。

(2014.4.4.作成)


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