（アメリカの時代 ウォルター・ラフィーバー著から抜粋）
１９６０年に、アイゼンハワー大統領の命令で、ＣＩＡは数百人のキューバ難民に軍事訓練を始めます。
ＣＩＡは、「小規模の侵攻をすれば、それが引き金になってカストロ政権への反乱が起きる」と信じていました。
１９５４年のグアテマラへの侵攻（クーデター計画）の成功体験が、この判断の基盤にありました。
ケネディ政権は、前政権が立案したキューバ侵攻計画を踏襲します。
ケネディの補佐官は疑問を表明したが、ケネディ大統領はＣＩＡの判断を信じました。
ケネディは過去に「アイゼンハワーはカストロに対して腰砕けだ」と批判し続けており、
キューバ侵攻計画をつぶす気はなかった。
すでにケネディは、大統領選挙の間に「キューバを失った」としてアイゼンハワーを非難し、
キューバに軍事介入する事を示唆していました。
ＣＩＡでこの作戦を指導したのは、リチャード・ビッセルです。
しかしビッセルは、キューバの事もピッグス湾の事も知らなかった。
（ＣＩＡは、上陸作戦の時に船を壊滅させる事になったサンゴ礁の写真を、ただの海藻に
すぎないと判断していたほどだった）
ケネディは、侵攻にアメリカ空軍を加えない事にしました。
「アメリカが直接介入すると、フルシチョフが報復として西ベルリンに軍を進めるかもしれない」と考えたからです。
アメリカ空軍の支援もなく、正当性もなく、必要な情報もないままに、キューバ侵攻は
１９６１年４月１７日に強行されます。
そして数時間のうちに、侵攻した反カストロ勢力は、カストロ軍に完全に粉砕されました。
グアテマラの時とは異なり、キューバ政府軍は決してカストロを見捨てなかった。
ケネディは大恥をさらしたが、支持率は落ちませんでした。
ケネディは、「まるでアイゼンハワーのようだ。事態が悪化すればするほど、人気が出る。」と冗談を言いました。
司法長官のロバート・ケネディは、極秘のうちに１億ドルの予算で、「マングース作戦」を立案します。
この作戦はＣＩＡを動員するもので、キューバ経済を妨害し、カストロの暗殺計画も行った。
暗殺計画は、アメリカのマフィアの協力で実行されたが、失敗しました。
キューバ侵攻が失敗すると、ケネディは６１年４月２０日のテレビ演説で、「この責任は私にある」と言います。
そして同時に、「ベトナムで戦うために、国民は団結しよう」と呼びかけたのです。
（2014.3.23.作成）