神
神を信じない人でも、神を信じている者達がつくる社会的規範に影響される。
社会的な規範は、文化的な制約になり、物事の在り方になるからだ。
ニール
それだから、宗教は俗世間にまで影響するのですね。
神
そうだ。
組織的宗教はつまるところ、信念体系以外の何ものでもない。
人間の行動はすべて信念に基づいているし、1つの信念が次の信念を育てて、やがては特定の宗教を超えた「超信念」も生まれる。
だから、基本的な宗教的信念を検討する事が大切だ。
ニール
私たちは、危うい世界に暮らしていますよね。
神
そんな事になったのも、あなた方の信念のせいだよ。
地球には沢山の宗教があるが、神に関する信念は、ほとんどが共通している。
中でも基本的なのは、『神についての5つの誤解』だ。
(この5つの誤解については、別のページに詳しく書いてあります)
5つの誤解の1番目は、「神は何かを必要としている」というものだ。
要するに、「神は人間に指図をしたがっており(要求をしており)、それに従わないと罰される」という事だ。
ニール
その通りの事を、子供の頃に、修道女から教わりましたよ!
「神の掟に背くと、恐ろしい事が起こりますよ」と、慈愛深いシスター達は言ってましたっけ。
神
「神の要請」については、どの宗教でも似通っている。
だが、「神が何かを必要とする」というのは、間違っている。
神とは『存在するすべて』であり、神でないものは何もない。
従って、神に必要なものは無い。
ここで、『第4の新しき啓示』だ。
『神には何も必要ないし、神は何も要求しない
神は幸せそのものだ』
ニール
そんなはずはありません。
だって、世界中の宗教の聖典には、神の掟の長いリストが載っています。
国際クリシュナ協会の創設者であるバクテヴェーダンタ・スワミは、『真のバガヴァッド・ギーター』という本の最初に、こう書いてます。
「バガヴァッド・ギーターの中心的な教えは、『人は、神を満足させなければならない。神は要求をしておられる』である」
神
それは、真実ではない。
ニール
それでは、旧約聖書のトーラーや、コーランはどうですか。
神の掟の長々としたリストが出ていますよ。
神
そうだね。
では、それらの聖典に書かれている言葉を、神の言葉にふさわしいか考えてみよう。
聖書の申命記には、「結婚した女性が処女でなかったら、その女を実父の家の入り口に連れて行き、人々は石で打ち殺さなければならない」と書いてあるね。
ニール
ちょっと待って下さい。それが神の掟なのですか?
神
モーセは、そう言っている。
トーラーにも、「不倫を見つけたら、不倫した男女は石で打ち殺さなければならない」とある。
日常生活についても、掟はたくさんある。
例えば、「女性は、男性の衣服を身に付けてはいけない。神はそのような行いを嫌う」と、トーラーには書いてある。
ニール
すると、スラックスやスーツは、まずいですね。
神
それに、「ウールと麻を交ぜた織物は、身に付けてはいけない」とある。
それから、『神を礼拝する館に入れるのは、一定の人々だけ』だ。
「婚外子は入れてはならない。その子孫は10世代も後の子でも、だめだ」とある。
さらには、『身体の一部が傷ついていれば、人々と一緒には神を礼拝できない』のだ。
聖書には、「睾丸のつぶれた者、陰茎を切り取られた者は、主の集会に加わってはならない」とある。
申命記を見てごらん。
ニール
しかし、いくらなんでも…。
神
『親に従わない子供は殺せ』とも書いてあるよ。
トーラーには、「反抗的な息子がいて、父母に従わないならば、父母はその息子を長老の所へ連れて行かなければならない。その時は、町の男たち全員は、その息子を石で打ち殺さなければならない。あなた方は、あなた方の内から悪を追放すべきである。」と書いてある。
ニール
……。
神
聖典では、『神は自ら、人々に罰を下す』ことになっている。
ニール
最後の審判の日まで待たずに、ですか?
神
もちろんだよ!
神は全知全能で恵み深いから、自分を信じない者に対しては頭にくるのだよ。
コーランには、こう書かれている。
「異教徒の行いは、砂漠の蜃気楼のようなものだ。そこには、何もない。彼らは、神は容赦なく裁かれる事を知る。神は迅速だ。」
「神は無信仰者を罰せられた。神は報いを与えられた」
ニール
分からないなあ。
神は、どんな理由があって、神を信じないだけで人々を罰するのですか?
神
だが、私はチャンスを与えているのだよ!
いきなり罰を下したりはしない。
まず警告をして、それでも信じなければ完全に叩きつぶす。
コーランに戻ろうか。こう書いてある。
「神が怒りを下す場合には、前もって(警告のために)使徒をつかわす」
「ある町を滅ぼそうと決めた場合には、まず戒律を犯した事を知らせる。それから彼らを、ことごとく滅ぼす。」
人間はあまりに邪悪だから、審判の日の前に、人類の大半は滅ぼされるかもしれない。
コーランには、「復活の日までに、神が滅ぼさずにおく集落は1つもなく、罰を下さない集落も1つもない」とある。
ニール
あなたは、からかっておられるんだ。
聖書の中の、時代遅れの言葉を引用している。
神
あなた方の聖書から「神について書いたこと」を引用したら、からかう事になるのかな?
あなた方は、神がそういう事をすると言い、それを説明するために「聖典」と呼ぶ書物を利用する。
そして、その聖典を掲げて、野蛮な行為を正当化してきた。
それに、「聖書は決して時代遅れにならない」のではなかったかな?
原理主義者たちは、「聖書の言葉は、そのまま社会に当てはめなくてはいけない」と主張している。
ニール
でも、そういう原理主義者は、少数派ですよ。
影響力はありません。
神
本当かな?
ニール
分かりましたよ。
確かに世界には、聖書の言葉から法律を作った国もあります。
(サウジアラビアなどは代表的ですね)
そういう国では、石打ちの刑をしたり、公開処刑を行ってきました。
(考えてみると、日本もかつては、首切りの公開処刑が当たり前でした…)
神
そう。原始的な時代には、原始的な事が起こる。
ニール
でも、大抵の人は、21世紀を原始的な時代だとは思っていませんよ。
神
周囲の世界を、よく眺めてみるといいよ。
ニール
確かにそうですね。
例えばアフガニスタンでは、タリバン政権の時は、泥棒の手を切り取っていました。
タリバンが首都カブールから撤退した時、半日もしないうちに女性は全身をおおう被り物を外して外に出てきたし、男性は髭を剃り落とし、商人たちは音楽を鳴らし始めました。
でも、世界中の大勢の人々は、自分たちの知っている神の言葉を基にして、生きているんです。
神
私は、そんな言葉は言っていない。
ニール
それでは、聖書は真実ではないのですか?
神
あなたは、どう考える?
ニール
どう考えていいのか、分かりません。
神
いや、分かっているはずだ。あなたは、真実を知っている。
あなたは、『内なる羅針盤システム(心と魂)』のおかげで、真実を知っている。
あなたは、「神がそんな事を言うはずはない。神の言葉とされているものの半分は、そうではない」と、感じている。
あなただけではなく、皆が感じている。
問題は、『それを認められるかどうか、はっきりと口に出せるかどうか』だ。
「昔からの信念や伝統は、もう通用しない」と言えるかどうかだ。
あなた方の社会は、「お互いを踏みにじるのはいいが、昔からの信念を踏みにじるのはいけない」というのが、世間の考え方だ。
そして、「古い信念を守るために、お互いを踏みにじる」のが、伝統になっている。
そのようにして、不条理の世界が続いている。
(『新しき啓示』から抜粋)