日本の原発史F
安倍内閣になると、電力各社は再生エネつぶしに動く

(週刊朝日2014年10/31号から抜粋)

経産省は2014年10月16日に、重大な会合を開いていた。

「系統ワーキング・グループ(WG)」という新設の組織による会合です。

WGは、電力会社の5社が『再生可能エネルギー(再生エネ)の新規接続の申し込み受け入れを、停止したこと』を受けて設置された。

事の発端は9月24日。

九州電力が、「固定価格買い取り制度に基づく新規契約を、中断する」と、突如として発表したのです。

発電事業の関係者

「あまりに急な発表で、びっくりしました。

 今年1月くらいから、九電は申請についてずっと『回答を保留』を続けており、
 おかしいと疑ってはいたんです。」

9月30日には、申し合わせたように北海道電力・東北電力・四国電力も、新規接続の申し込みの回答保留を発表した。

これについて、再生エネの事業者からは批判が相次いでいます。

発電施工業者

「ただ保留と云われて、再開が何時になるか分からない。

 今のままでは、顧客に見積もりも出せません。」

市民出資の会津電力の佐藤社長

「まさに青天のへきれきです。

 2540kWの太陽光発電を造り終えて、新たに20億円で7000kWの計画を立てて
 いました。

 融資した銀行も困っています。」

福島県は、『2040年までに県内エネルギーの100%を再生エネで賄う計画』を進めてきました。

東北電力の回答保留により、その計画に暗雲が垂れ込めている。

福島県エネルギー課の担当者

「そもそも東北電力は、電力系統ごとの情報公開をしていません。

 東北電力は、『再生エネの発電量が電力需要を上回るので、新規申し込みの回答を
 保留する』と言いますが、こちらでは判断する材料すら無いのです。」

福島県は10月8日に、国に緊急要望書を提出しました。

「東北電力の接続保留は、復興に水を差すし、国の施策とも矛盾する」

九州電力エリアでは、7万件もの接続が保留となり、多数の業者が悲鳴を上げています。

日本ライフサポートの瀬戸口社長

「今回だけで、7500kWが塩漬けになった。

 猶予期間もなく止めたのはあんまりで、訴訟を起こす企業も出てくるのでは。」

長崎県の宇久島では、国内最大となる343万kWの太陽光発電所が計画されているが、
水を差されてしまった。

発電事業の関係者

「九州はともかく、四国と北海道にはまだ余裕がある。

 一斉に締め切ったのには、政治的な臭いがする。

 『16年に電力自由化をするので、どんどん参入しろ』と言ったのは、安倍政権だ。

 それなのにハシゴを外してきた。

 原発再稼働をにらんだ、政治的な動きではないのか。」

再生エネは急速に普及してきており、2014年6月末時点で、設備認定容量は7180万kWに上っています。

これらが運転を開始すれば、原発15基分の電力になります。

その一方で、日本での水力を除く再生エネの比率は、まだ2.2%に過ぎない。

20%を超えるドイツやスペインに比べて、著しく低い。

それなのに、早くも普及が制限される事態に陥っている。

民主党の福山哲郎議員

「自公は送電網の整備をうたい、エネルギー計画にも『再生エネの導入を加速する』と書いて
 あります。

 しかし、送電網の問題を放置してきた。」

すでに経産省では、再生エネの買い取り価格を切り下げる検討が始まっています。

そもそも、接続保留の判断は妥当なのだろうか。

九州電力の説明では、「太陽光・風力の接続量が1260万kWに達し、昼間の需要である
800万kWを上回った」としている。

自然エネルギー財団の大林ミカ

「1260万kWというのは、域内すべての施設が同時に100%稼働した場合です。

 天候の変動があるため、現実の発電量はもっと低くなります。

 欧州では7割程度で見積もるし、九電も以前は太陽光の出力比率は34%で計算して
 いました。」

エネルギー戦略研究所の山家公雄・所長

「揚水発電の施設を使えば、余った電力を貯めておけます。

 九電には自前の施設があり、それを使えば解決します。」

他にも、各電力会社の間で電力のやり取りをする手もあります。

2012年12月に九電の火力発電所がトラブルで停止した際には、電力6社から240万kWの電力が送られている。

WWFジャパンの小西雅子

「九州電力と中国電力の連系容量は、556万kWあります。

 その先にある関西電力へも、1666万kWも送電できます。

 この連系を利用すれば、太陽光発電の抑制をしなくても、十分に受け入れ可能です。」

大林ミカ
 「地域間の連系線は、(大量に送れるのに)少量しか使われていない。

  欧州では、平時から大量のやり取りをしています。」

再生エネの普及には、発送電を分離して送電会社をつくり、再生エネを優先的に接続させる
仕組みが欠かせない。

民主党の幹部

「経産省の中にも、本気で再生エネを推進しようと頑張っている官僚がいる。

 でも、それ以上に原発推進派が力を持っている。

 再生エネが普及したら、『原発は不要』となる。

 普及の速度を抑えたいのが、安倍政権の本音ではないか。」

○ 村本尚立のコメント

送電網の充実、電力会社間での電力の融通は、以前から「重要だ」と指摘されています。

未だに改善が成されていないのには、驚きを禁じえない。

もっとやる気を出して下さい。

電力会社たちは、原発再稼働のためにばかり頑張っているように見えて仕方がないです。


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