子供の頃の思い出@ ゲームブック

エッセイのページがなかなか増えないのが、前から気になっています。

しばらく前から、「う〜ん、何かをシリーズにして投入したら、数が増えるかな。」と考えていました。

そして、「そういえば、あまり私の人生体験を記事にしていないなあ。よし、私の過去の面白そうな話を記事にしよう。」と決めました。

失恋の話もいいなあと思ったのですが、まず『子供の頃に体験した話』をいくつか書く事にします。

このシリーズを読めば、私が人間臭いやつなのだと分かるでしょう。

人によって、面白いネタとそうでないネタが出てくると思うので、興味の無いネタの場合はスルーしちゃって下さい。

「子供の頃の思い出シリーズ」の第1回目は、『ゲームブック』です。

私はこいつが大好きだったのですが、今ではほとんど死滅してしまいました。

たぶん2度と本格的な復活する事はないと思うので、ノスタルジックなオマージュとして
記事にしたいと思います。

ゲームブックとは何か。

これを説明するのは、文章では難しいです。

「1冊の本に、300〜500位の小さな記事を書き、それを繋げて1つの物語にする」

「読者は、選択肢ごとに自分で進む先を選び、小さな記事を読み進めていく」

「サイコロを使って、ランダムな要素を出したりもする」

「1冊の本を、1つのゲームにしてしまう。最後のページに辿り着けば、
 ゲーム・クリアーになる。」

内容はこんな感じなのですが、ダメだ…上手く説明できない…。

もしゲームブックを知らない方は、ネットで調べてみて下さい。

すんません。説明しきる自信がないです。

ゲームブックが世に広く出てきたのは、私が小学3年生くらいの頃です。

当時は、ファミコンの人気が出てきた頃で、ファミコンの作品をゲームブック化するのが
流行っていました。

あの頃はTVゲームの容量があまり無くて、TVゲームの1作品を1冊のゲームブックにするとちょうどいい感じだったのです。

私が初めてやったゲームブックは、「ドラゴンクエストU」でした。

これは、かの有名なドラゴンクエストUを、ゲームブックに移植した作品です。
上下に分かれていて、全2巻でした。

プレイをしたのは、私が小学4年生の時です。

秋のある日に、この作品を弟が友達から借りてきたのです。

私は学校から帰宅して、弟がプレイしている姿を目撃したのですが、その瞬間には何なのかが分かりませんでした。

「おい、何だよ、それ」と私は声をかけて、横に座りのぞきこみました。

最初は理解するのに時間がかかりましたが、『本で遊べるファミコン・ソフトみたいなもの』と気付きました。

本好きだった私は、「こんなものがあるのか! 面白そうじゃないか」と、目をキラーンとさせたのです。

最初は弟がプレイし終わるのを待っていたのですが、弟は本をあまり読まない奴だったので、簡単な漢字も分からない様子だし読むのは遅いしで、全然進まないのです。

私はイライラして我慢できなくなり、「少しやらせてくれ」と話して、20分ほどプレイしました。

すると、めちゃくちゃ面白かったのです。

弟に本を返した後、私は考えました。

「弟がプレイを終えるまで待つと、3日はかかってしまうだろう。
 それまで我慢するのは無理だ。

 ならばどうする? 弟を腕力で脅して奪い取る道もあるが、それはもう卒業したい
 年頃だ。
 何か良い手はないか?」

私は、弟からよく腕力にものを言わせて色々とぶんどっていました。

でも、ちょうどこの頃(小4の頃)に、「腕力で自分の思い通りにするのは、どうも気分が悪い。親にも怒られるし、これからは対話で解決を図ろう。」と決心していたのです。

そこで、弟に対して優しい声音で、「お前が休憩している間に、俺が読んでいいか?」と
聞きました。

弟の短い休憩中にだけ借りるという、大人な態度です。
それまでの私には考えられない、大幅な譲歩であり、心の中で(俺って、何て良い奴なんだ)と思いました。

私は、かつてないほどの優しさを示したつもりでした。

ところが弟は、「だめ! 僕が借りてきたんだから、僕が読み終わるまではお兄ちゃんは
読んじゃだめ。」と言ったのです。

私は思わずカッとなり、(こんにゃろう、ぶん殴ったろうか)と一瞬思いました。

しかしすぐに、(いや待て、それだと今までと変わらんぞ)と思い直しました。

弟としては、半ば強引に20分ほど本を奪われていたので、その後に私から優しい提案を
されても信用できなかったのでしょう。

私が慈愛に満ちた表情で語りかけたのに、(こいつは信用できん)という態度を崩しませんでした。

私は困ってしまい、あぐらをかいて解決策を10分ほど考え込みました。
そして、「これだ!!」とピーンと来たのです。

どんなアイディアだと思いますか?

それは、『朝早く起きて、弟が寝ている間にプレイをし、クリアーしてしまう』というものです。

冷静に見ると、非常にせこいですね。

せこいのですが、弟と争わないための精一杯の道でした。

私は、弟がプレイしているのを横目で見ながら、「待っていろ、もうすぐプレイしてやるからな」と野望を燃やしました。

他の事をしながらも、私の意識は弟の手の中にあるゲームブックに常にありました。

そのまま数時間が経ち、就寝の時間になります。

「ようやく寝る時間になったか。あと少しだぞ、寝て起きたらプレイできる」と安心しました。

ところが、初めてやったゲームブックがあまりに面白いので、私はすっかり興奮していました。
そのために、なかなか寝付けなかったのです。

「いかん! こんな事では、朝早く起きられないぞ」と思い、気張って何とか寝ました。

人間というのは、強い目標を持っていると、自然に身体が働いてしまいます。

きっちりと、朝の4時くらいに起きました。

そーっと、隣で寝ている弟の様子をうかがいました。

しっかりと寝ているのを確認してから、弟の枕下にある「ドラクエUのゲームブック」を
静かに確保しました。

そして、プレイを始めました。

たまに弟が寝ているかを確認しつつ、着実に進めて、弟が起きるまでに上巻をクリアーしました。

一気に、弟が進めた所よりも先まで進んだのです。

下巻をプレイしてしばらく経った所で、弟が起きそうになったので、もとの場所に置いて、ばれないようにしました。

その後、朝食をしてその日は休日だったために、弟はプレイを再開しました。

弟は本を読みなれていないので、苦戦をしているんですよ。
読めない漢字があるのです。

仕方ないので、一緒にプレイをしてあげる事にしました。

すでにクリアーしているのに、初めてのようなふりをして、一緒にプレイしました。

いい奴なのか悪い奴なのか、微妙ですねー。

その後、弟が上巻をプレイして下巻は空いているので、「そっちの空いている方を読んでいいか?」と聞いたら、読むのを手伝ってあげたからでしょうが、「いいよ」との返事でした。

それで、下巻を読み、クリアーしました(^-^)

これ以来、私はすっかりゲームブックにハマってしまいます。

我が家には、ファミコンが小6になるまでありませんでした。

ファミコンは、当時の子供たちにとっては、『聖なる道具』みたいなもので、
私が小4くらいの頃になると、急激に各家庭に導入されていきました。
まあ、いまのDSみたいな位置づけです。

私と弟は、何度も親に「ファミコンを買ってくれ!」と嘆願したのですが、却下され続けました。

小6の時に、親の事情で引っ越して、転校を余儀なくされた際に、罪滅ぼしとごまかしの
ために、親はついにファミコンを買ってくれました。

ファミコンを買うまでは、それの代用品としてゲームブックを活用していました。

ファミコンを持ってからも、ソフトが高くてなかなか買えなかったので、安いゲームブックで代用して、飢えをしのぎました。

当時、ファミコンのソフトは6000円〜10000円くらいしました。
まだ中古市場もあまりなく、子供にとっては年に2〜3本くらいが限度でした。

それに対しゲームブックは、1冊500円〜700円くらいで、お小遣いを貯めれば買える金額でした。

私は、ゲームブックに出会った小4から中1までの4年間に、50冊くらいの作品を購入してプレイしました。

私は本が大好きな子供だったので、親戚たちはそれを考慮して、誕生日プレゼントには図書券をくれる人が多かったのです。
その図書券の半分くらいは、ゲームブックに投入しました。

中2の頃になると、ゲームブックに飽きてきたし、スーパーファミコンが登場してそのクオリティに魅了されてしまいました。

スーファミの内容と比べると、ゲームブックは見劣りする感じがありました。

ファミコンとゲームブックは、五分五分の実力だったんですけどねー。

今から振り返ると、ファミコンからスーファミになった時の進化率は、凄かったですね。

画質や音質が、一気に4倍くらいになった気がしましたよ。
コントローラーも、ボタン数が大幅に増えて別物になりました。

今のPS2からPS3への進化などとは、比べられないくらいの劇的な進化でした。

ゲームブックは、私が離れた頃から、急速に失速してしまい、いつの間にか消えてしまいます。

気がついたら、書店から居なくなっていました。
最盛期には、書店の1コーナーを占めていたんですけどね。

ある日、久しぶりにゲームブックでも買ってみようかと思い書店に行ったら、数冊しかなくて大ショックを受けた事があります。

さてここで、私はたくさんのゲームブックをプレイしたので、それらの中で思い出深い作品を、紹介したいと思います。

まず、当時のゲームブックには、大きく分けて4種類がありました。

@ ファミコン・ソフトを移植したもの (低学年向けで、青い背表紙のもの)

A ファミコン・ソフトの移植とオリジナル作品の両方を扱うシリーズ
  (高学年向けで、赤い背表紙のもの)

B 海外の著名な作品を翻訳したシリーズ

C それ以外の作品

先ほど触れた「ドラクエU」は、@の作品です。

@は、小学生向けのものが多く、感動的な作品は無かったです。
良作もありましたが、本の厚みはなく(ページ数が少なく)、小粒なものが多かったです。

Aは、中学生以上を対象としている感じで、@よりも難しい作品が多かったです。

このシリーズには傑作が多く、私は買うのを楽しみにしていました。

中でも傑作だったのは、『ドルアーガの塔(3部作)』と『スーパー・ブラックオニキス』という作品です。

この2作品は、私がプレイしたゲームブックの中では、一番楽しめた作品です。

これは、どちらも鈴木直人という方の作品で、しばらく前にネットで検索したところ、
「日本で最高のゲームブック作家」という評価を得ているようです。

スーパー・ブラックオニキスは、とある街を探索していく話なのですが、かなり複雑な構成になっていて、クリアーするのに時間がかかりました。

でも、クリアーするまでずっと楽しく、クリアーした時の達成感も素晴らしいものがありました。

ドルアーガの塔は、上・中・下の3巻になっていて、大作でした。

コンピュータ・ゲームの同名タイトル作を元にしているのですが、仲間を登場させるなど大胆なアレンジをしており、別の作品に(コンピュータ・ゲームよりも遥かに壮大な作品に)仕上がっています。

特に下巻は、本の厚さがはんぱじゃなく、ゲームブックというよりも辞書みたいな外見です。
値段も高くて、買うかどうか少し迷った記憶があります。

この作品には、メスロンという魅力的なサブ・キャラが出てくるのですが、そのキャラは
人気が出たらしく(私も好きなキャラでした)、その後に鈴木さんの別の作品で、
主人公に採用されていました。

私は、TVゲームでは「ウィザードリィ系のダンジョンに潜る作品」が大好きです。

でも、なぜ好きなのかが分からず、「俺って、根暗なのか?」と長いこと思っていました。

しかしある時にふと、「これはゲームブックの影響だ」と気付きました。

ゲームブックというスタイルは、ダンジョン探索タイプのストーリーと、めちゃくちゃ相性がいいのです。

ゲームブックは、ページごとに少しづつ展開をしていくのが特徴ですが、それはダンジョンを潜り進めていくのと非常に噛み合うのです。

『ドルアーガの塔』と『スーパー・ブラックオニキス』は、ダンジョンをマッピングをしながら探索していく内容です。

私はこの作品を通して、少しづつダンジョンを制覇していく達成感や、マップが完成していく満足感に目覚めてしまったのです。

そして、その自覚が無いままに、気付いたらダンジョン探索のTVゲーム(主にアトラス作品)を、愛する者になっていました。

次にBですが、これにも傑作がいくつかありました。

このシリーズは、海外の作品を翻訳して紹介するスタイルで、有名な作品もリストアップされていたようです。

私には、海外作品に特有のドライな感じ(これは今のXBOX作品にも共通するテイストですね)にはあまり馴染めず、面白い作品もありましたが、感動するところまではいきませでした。

一番面白かったのは、タイトルは覚えていないのですが、「自分がバットマンみたいな変身するヒーローになって、悪の組織を倒す」という内容の作品です。

この作品はとても難しくて、結局はズルをしてページを読み進んで、何とかクリアーしました。

最後にCですが、これについては、色々なタイプの作品がありました。

その中で印象深いのは、ゲームブックの流行る以前からあった、「君ならどうする」とかいうタイトルのシリーズです。

これは、今から考えると、ゲームブックの元祖だったのかもしれません。

サイコロを使ったりはしないのですが、自分でページを選んで進むのはゲームブックと
一緒でした。

確か、ページ数は少なく、200項目くらいの小品ばかりだったと思います。

今でも覚えているのは、お化け屋敷みたいな謎の館を探索する本で、途中で黒猫が出てくるのですが、その場面がとても怖かったです。

ゲームブックは、自分でサイコロを振ったりして進んでいくので、自由にズルを出来るのも特徴でした。

私は真面目な人間ですが、ゲームブックに関しては、ばんばんズルをして、どんどん進めていくタイプでしたね。

ひどい時になると、サイコロを1つ振る場面で、2つ振る事すらしていました。

ゲームブックが大好きなので、ゲームブック用に6個くらいサイコロを持っていましたが、そのうちの1つは通常の6面体ではなく、12面体くらいのやつで、そいつを使うというズルも行っていました。

改めてこうやって振り返ると、美しい思い出ばかりですねー。

何? 美しくない? 弟を騙したり、ズルをしたりと最低だ?

でも、私にとっては、とっても美しい思い出です〜(^-^) 
誰も傷つけていないですし。

もっとも今だったら、ゲームブックを読みたくても弟が終えるまで我慢するだろうし、
ズルをしないでじっくりとプレイするでしょう。

大人になるというのは、我慢や忍耐力を身に付ける事なのですね。

エッセイのページでは、こういった美しい思い出を綴っていこうと思います。
楽しみにしていて下さい。

(2013年7月14日に作成)

(2013.10.4.追記)

最近、ダンボールに詰めて田舎に送って、長い間しまいこんでいた「思い出のゲームブックたち」を、現在住んでいる家に戻す事を致しました。

そうして20年ぶりくらいで、かつて遊んだ作品達を、表紙だけですが見つめてみました。

とてもとても懐かしかったです。 ええ、懐かしかったですとも。

上記している「スーパー・ブラックオニキス」については、本を開いて少しプレイもしてみました。

私はすっかり忘れていましたが、この作品は『パーティ・プレイで進めていく』という画期的な作品です。

これは、本当に凄い事だったのです。
ゲームブックは、主人公が1人で孤独な冒険をするのが、鉄則だったのですから。

私は、この作品をプレイした時に、「おおっ! ゲームブックなのに、ドラクエU・Vみたいにチーム編成で冒険をしていくのか!」と衝撃を受けたのを、思い出しました。

この作品は、中の挿絵がかっこいいのも印象的だったのですが、いま再び見てみても傑出した絵ですね。

個性があるし、とても場面を上手く描いています。

「鏡 泰裕さん」が絵を担当しています。
鈴木さんのあとがきによると、当時は新進気鋭のイラストレーターだったようです。

私は知らないのですが、現在では有名になられているのでしょうか?

やっぱり、スーパーブラックオニキスは大傑作ですねー。
本を開いてパラパラとめくるだけで、私のようなゲームブックの達人だと、力をひしひしと感じます。

柔道の達人が、相手の立ち方や構えを見るだけで強さを感じるのと一緒です。

この作品は、マッピングをしないとクリアーできない作品で、方眼紙を用意して地図を作成しないといけません。

なので、時間がある人でないとプレイできない作品ですが、興味のある方は中古で手に入れてプレイしてみて下さい。

面白さは、私が約束します。


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