花總まり、という天才女優を語る

「花總まり」という女優を、知っているでしょうか?

知っている人はよく知っているし、知らない人は全然知らないと思います。

私はここで彼女について語り、彼女への愛を表現しつつ、彼女のすばらしさをより多くの人に知ってもらう機会にしようと思います。

すでに彼女を知っている方には、「こういう見方で彼女を捉えているのか」とか「私と同じ事を感じている」などと思って、楽しんでもらえると嬉しいです。

ここからは親愛の念をこめて、彼女の事を「まりさん」と呼びます。

なお、私はまりさんを女優として愛しているだけではなく、一人の女性としても深く深~く愛しています。
ですので今回の記事は、いつもと違って冷静さを欠いたり、著しく主観にはしる可能性があります。
ご了承下さい。

まず、まりさんの略歴を書きましょう。

彼女は、「宝塚歌劇団」に長く在団し、トップ女優として活躍しました。
トップ娘役というポジションにいた期間は、100年近い宝塚の歴史でも、彼女が最長です。

退団後は、コンサートやミュージカルに出演しています。

宝塚歌劇団を知らない人に、どういう劇団か説明すると長くなるので、ここでは説明しません。
宝塚歌劇団を一言で言うと、「役者が女性だけの歌劇団、女版の歌舞伎(全然違う気もしますが)」です。

私にとっては、彼女がどこで活動してきたかは、重要ではありません。

重要な事は、彼女が『日本の至宝、現代の吉永小百合』といえる存在だ、という事です。

「吉永小百合と同格に位置づけるのか!」と言う意見が出てくるでしょうが、
あえて言いましょう、同格に位置づけます。

まりさんの女優として際立った点は、『物凄いレベルの気品、オーラ、華やかさがある』ことです。
この点においては、日本屈指です。

舞台上の彼女のまぶしさは、宝塚ファンの間では有名でした。

考えますに、大女優と呼ばれる人達は、演技力も当然備わっていますが、オーラや華やかさが評価されている部分が大きいです。

別の見方をすると、「オーラや華やかさ」は努力では(演技力では)解決できない部分が強く、それを持っている女優は伝説になる、と言えます。

まりさんは、「吉永小百合さんなど少数の女優にしかない、オーラや華やかさ」を持っています。
だから、吉永小百合さんと同格に位置づけるのです。

この点から見て、まりさんは日本の至宝だと思っています。

最近、彼女は仕事量を増やしてきました。ファンとしては嬉しいことです。

しかし私は、彼女を女性としても愛しているので、「一人の女性としての幸せもすばらしいものだ。仕事量が増えると人生=女優になってしまう。彼女はどう思っているのだろう。」とよく考えます。

まあ、彼女が幸福なら、私はすべてオーケーです。

ここからは、まりさんの女優としての特徴を(素晴らしい点を)、具体的に書きます。

彼女はミュージカルを中心に活動をしているので、「演技・歌・踊り」の三つの能力について、語ってみます。

私は、三つの能力の中で一番すばらしいのは、「演技力」だと思っています。

なので、まず彼女の「演技力」についてお話します。

まりさんは、役の解釈がいつもすばらしいですね。

「役の人物が、舞台上で息づいている」という感じを出せる、日本でも数少ない『超本格派の女優』です。

「舞台上に彼女がいるだけで、舞台が引き締まる」存在感があります。

私は、演技力で一番重要なのは、『台本を読んでどの様に役を解釈するか』だと思います。

役者は大抵(まりさんもそうですが)、「演出家の言う通りにやっているだけです」と言います。
しかし、同じ芝居を同じ演出家で再演しても、役者が違えばまったく違う出来になります。

これを見れば、役者の解釈(感受性)が、演技力の根本だと分かります。

まりさんの演技力にさらに踏み込んで、「どうして彼女は、良い解釈が出来るのか」を考えてみます。
(演劇論みたいになってきましたね)

まりさんを観てきて思うのは、『芝居の全体像を捉えて演じている』という事です。

演技がいまいちの役者さんって、一場面の事しか考えていない感じがするんですよね。
自分が出ている場面だけを全てと考えて、自分が出る場面を盛り上げる事しか考えていないのです。

さらに、まりさんは自分の役だけでなく、自分と絡む相手の役の心情まで考えていると思います。

多くの役者は、自分の役についてはじっくり考えて、心情を把握しようとしますが、他の役についてはあまり掘り下げていない気がします。
ここの差は大きいです。

以上の2点のコンセプトが、まりさんが良い解釈をできる理由だと思います。

この2つは、ある意味では演技の基本であり、役者はみんなが知っているコンセプトだと思います。
大事なのは、この基本をしっかりこなす事なのでしょう。

もう一つ、まりさんの演技力で秀でている点は、感情の動き(感情の流れ)が自然だという事です。

これは、役の解釈の問題と密接に繋がっていると思います。

観客がその役を理解できるかどうかは、感情表現が的確かどうか(役の解釈が優れているかどうか)と、感情表現が自然にスムーズに展開しているかが、とても大きいです。

多くの人が、演技について語る時に、「目の配り」とか「身体の動き」とか「感情を強く出す」とか「この場面はこの感情」などと扱います。

しかし私は、感情の流れ(自分の役だけではなく、他の役を含めた全体の感情の流れ)が一番重要で、それが上手く演じられれば他の要素(身体の動きなど)は自然に解決すると考えています。

感情の流れが自然でないと、どんな動きをしても決まりません。

まりさんの感情表現の流れは、すごく自然だし、年々よりスムーズになっていると思います。

(ここまで書いてきて思いましたが、花總まりを知らない人がこのページを見て興味を
 持ち観に行くことにしたら、すごい期待を持って観に行きますよね。

 まりさんにとって、スーパープレッシャーになるかも。ごめん、まりさん。)

次に、「ダンス能力」について書きます。

まりさんは抜群のスタイルの良さを持っているので、それだけでかなり見栄えがするんですよね。
ある意味ずるい人です。

(彼女はとても足が長く、さらに足の形がきれいです)

彼女は体型がスリムなため、優雅な踊りが似合います。

逆に言うと、フラメンコとかタンゴとかラテン系とかの、どっしりがっちりした体型に向く踊りは、やや苦手にしています。
かつてカルメンを演じた事がありましたが、どこかちぐはぐでした。

彼女の踊りで特徴的なのは、「優雅さ、上品さ、清楚さ、立ち居振る舞いの美しさ」です。

これらの点については、日本の女優の中でも屈指です。

一方、苦手としているのは「色気、妖しさ、悪魔的な雰囲気」などの表現です。

長所と短所のどちらも、まりさんの性格が反映されていると思います。
踊りって、その人の本性がかなり出る表現方法だと思いますね。

私は、まりさんの真面目でおしとやかなダンス世界が、大好きです。

上品さや優雅さを重視するダンスをさせたら、誰も彼女に勝てない。

その一方で、色気や妖しさを出すべき場面では、「頑張るのだけれどいまいち出せない」姿を見せる事もある。
でも、その姿もかわいくて大好きです。

彼女が妖艶さたっぷりに踊れる様になったら、その成長を評価できずに、「これでは、まりさんらしくない」と思うかもしれない。

まりさんはリズム感が素晴らしいので、どんな踊りでもかなりのクオリティになります。

コンテストとかだと別でしょうが、通常の場合、踊りはリズム感が5割を占めると、
私は考えてます。
(あとは表現力、体力、身体つきなど)

彼女の踊りを見ていて感心するのは、服さばきが超上手い事です。
スカートのさばきの上手さは、はんぱじゃないです。

最後に、「歌唱力」です。

まりさんの声は、美しくて知的で、少し憂いを帯びた、繊細な世界です。
バラードやミドル・テンポの時に、本領を発揮して活き活きと歌う人です。

逆に言えば、力強さや豪快さには欠けるところがあります。
アップ・テンポの曲だと、苦しそうだし、浮ついた調子になってしまいます。

声量が豊かな方ではないし、パワーよりも、華やかさと繊細な美しさで勝負するタイプです。

彼女は、とても美しく優しい声音をしています。
だから、ファンレターで「声優の仕事も上手くいくと思います」と書いた事があります。

彼女の声で、子供向けの番組のナレーションを入れたら、すばらしい情操教育になると思うのですが。

彼女の歌の雰囲気は、ジャズで言うと、若い頃のマイルス・デイビスですね。

この時期のマイルスは、「音色の繊細な美しさ、知的なフレーズ、抑えた表現(落ち着いた表現)、冷静かつ論理的な展開」などが特徴です。

パワーよりも、繊細な美しさを武器にしています。

(このスタイルは、力強さが主流だった当時のジャズ・トランペット界では、革新的な事でした)

上記のマイルスのスタイルは、まりさんにもバッチリ当てはまります。

マイルスの持つ「カリスマ性や威厳、溢れる知性、常に微妙に混じっている哀愁」なんかも、まりさんは持っています。
考えてみると、かなり似ていますよ。

マイルスは、革新性、孤独性、風刺性、相手の正体を見抜くような鋭い観察力も持っていて、そこは、まりさんと異なります。

逆にまりさんは、マイルスにはない、清楚さ、可憐さ、甘えん坊なところ、お茶目さがありますねー。

まりさんの歌は、いつも音程が良いです。
耳が良いのでしょう、めったに音をはずしません。

そのため、聴いていて安心感があります。

歌詞の解釈もすばらしいです。これは演技における解釈力とも繋がっています。

彼女が歌うと、演じている役の心理や置かれている立場が、明快に聴き手に伝わってきます。

私はまりさんの声が大好きなので、歌手活動もしてほしいと思っています。

まりさんがゲストで出演した、歌のコンサートを観た事がありますが、
「自分が中心になって舞台をコントロールするよりも、誰かと一緒に舞台を盛り上げる方が(ゲスト出演の方が)まりさんは楽しそうだな」と思いました。

「自分がすべてをコントロールして、コンサート全体を仕切る」みたいな事は、彼女はしたくないのかなーと思いました。

まりさんは、押し出しの強いタイプではなく、おだやかな人柄ですから、ワンマン的に行動するのは無理そうです。
でも、バックミュージシャンを従えてさっそうと登場し、堂々と2時間くらい一人で歌う姿も見てみたいですね。

歌のコンサートを聴いた限りでは、長調の曲の方が合っていると思います。

短調の曲の持つ、暗さやジメっとした雰囲気は、まりさんには合わないと感じました。
(私が短調の曲が好きでないのも、大きいかもしれません)

私は長くまりさんの舞台姿を見てきたので、弱点も把握しています。
最後にそれも書こうと思っていました。

しかし文章が長くなったし、彼女の特徴を書く中で、いくつか弱点にも言及する事になりました。
これ以上書くとまりさんに怒られそうなので、カットします。

最後に、この文章をまりさんも見ると確信しているので書いておきます。

「愛しています、まりさん。」

(2012年10月28日に作成)


花總まり 目次に戻る