大河ドラマ「直虎」に出演しているのを見て
(2017.4.9.)

私が高く高く評価している、女優の花總まり。

彼女が大河ドラマに出演するという情報を得たので、見てみました。

実際のところは、出演するといっても時間はいつも短く、1分くらいです。
チョイ役の扱いですね。

ストーリー上ではもう亡くなってしまったので、これからはおそらく登場しないでしょう。

その大河ドラマ『直虎』は、信じられないほどにつまらないです。

ストーリーも、演出も、出ている役者の大半も、見るに堪えるものではありません。

あまりに見苦しいので、録画してまりさんが出ている場面以外は見ない事にしてます。

「こんなのきちんと見続ける奴いるの?」とまで思いますね。

正直な話、日本ではもう時代劇ドラマを作るのは無理なんじゃないかな。
そう思わせるほどにクオリティが低い。

私は大河ドラマは基本的には見ず、時たまチラッと様子をうかがう程度ですが、今回の『直虎』は屈指の質の低さだと思います。

今まで見た中では、市川海老蔵が主役だった宮本武蔵と並んで、ワーストワンだなあ。

『金と時間と労力を無駄にする見本』という状態。

面白いのは、そんな最低レベルのTVドラマなのに、まりさんはいつも通りに素晴らしい演技をしている事です。

この人は、共演者のクオリティに流されないんですよね。

宝塚時代も、共演するトップスターの出来が酷くても、その影響を受けずに良い芝居をしていました。

表現行為って、質の高いものを作ろうと思うほど、一緒にやる人が重要になるんですよ。

高いレベルになるほど、共演者との表現交流が重要になるし、共演者の影響を受けてしまう。

何が言いたいかというと、こうなんです。

『花總まりは凄いレベルで表現している。
その場合、普通だと一緒にやる人から大きな影響を受ける。

ところが彼女は、共演者がヘボでもそれと全く関係なく、常に高い質を維持できる。

これは驚嘆に値することだ。』

この特徴は、彼女が若い頃から一貫しています。

相手役が本当にどうしようもない芝居をしていても、それに流されずに芯のある凛とした演技が常にできる。

この点については、「とてつもない人だ」とずっと感心しています。

音楽でも超一流の人って、周りに関係なく凄いプレイが出来る。

私はなぜ出来るのかが物凄く知りたかったので、彼らを注意ぶかく観察し続けました。

それで気付いたのですが、この手のスーパー・プレイヤーは『強烈に明確なビジョン』を持っているんですよ。

マイルス・デイビス、チャーリー・パーカー、ジミ・ヘンドリックス、ジョン・レノン等々、飛びぬけたミュージシャンは明確なビジョンを獲得した上で音を出しています。

自分の出したい音がばっちりイメージ出来ているから、演奏にぶれがないし、強い説得力がある。

逆にいうと、明確なイメージがあるが故に、その音が出ないとステージ上にいて客が見ている状態でも首を傾げたり不機嫌になる時があります。

花總まりさんの演技を見ていると、同じものを感じるんですよね。

「これほどぶれない演技をするからには、非常に明確なビジョンが頭にあるはずだ。そうじゃなければ、こういう表現はできない。」と思ってます。

ぶっちゃけた話、花總まりという女優は、相手の演技をあまり気にしていないのではないだろうか。

台本を読み演出家らと話して、自分の役やストーリーのイメージが固まったら、それを強烈にはっきりした所まで練り上げる。

で、本番では相手に関係なく、作り上げた役でドカンと派手に演じる。

こうやっている気がしてならない。

彼女のインタビューを聴くと、「相手の演技を見て臨機応変にやってます」と言うのだが、それだと駄目な役者と組んだ時にもっと崩れると思うんですよ。

本人には自覚がないみたいだけど、実際には相手に関係なくマイペースにやっている様に見えます。

『直虎』でも、共演者はダラダラと演じているのに、彼女1人だけテンションの高い迫真の演技をしています。

その表現が正解なので、「さすが花總まり」と唸るのだが、周りから孤立している様にも見える。

だが、おそらく本人には孤立している自覚はない。
自覚があったら、もっと悲壮感みたいなものが漂う瞬間が出てくるから。

まりさんを見ていて、悲壮感とか孤独感を感じたことは1度もないです。

これは、超一流のアーティストでは珍しい事です。

特別なアーティストなのに、孤独感を味わうことなく活動できている彼女は、幸せ者なんじゃないかな。

明確なビジョンを持っている人は、どうしてもそのビジョンに固執してしまい、実現しないとイライラしがちになります。

まりさんがそういうフラストレーションの溜まった状態になるのを見た事がないから、すっごくのんびりした良い人なのでしょう。
お嬢様育ちなのも影響しているのかな。

正直なところ、まりさんはイラついてませんが、私が『直虎』にイラついています。

「役者の肩書きで活動しているくせに、なんだこの演技は。
大根役者ばっかじゃないか。

それ以前に、脚本と演出がクソすぎる。

こんなものを恥ずかし気もなく放送できるなんて、NHK大丈夫かよ?」

見る度にこう思いますね。

そういう意味では、私も明確なビジョンを持っている、超一流の面を持つ人間なのだと思います。

「これ、違うな」と激しく思っちゃうんですよねー。


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