ケニー・ドーハムの「クワイエット・ケニー」おまけ
「I Had The Craziest Dream」「But Beautiful」のコード進行

おまけとして、「I Had The Craziest Dream」と「But Beautiful」のコード進行を紹介します。

But Beautifulは、『JAZZ CONTRASTS』に収録されている曲です。

ここでのドーハムのプレイは最高なので、コピーしたくなる人がたくさん居ると思います。

ぜひ参考にして下さいませ。

「I Had The Craziest Dream」 キーはC  形式はAB

イントロ 

ここは、小節数が分からない感じです。
全部で6拍子で、コードが1拍ごとに変わっていくので、それで書きます。

基本的には、Cキーのダイアトニック・コードを使って、その中で動いているだけです。

最後の2コードは、テンション・ノートを入れて、「これからテーマに入るよー」という盛り上げ感を出しています。

|Dm7  Em7  FM7  G7  Dm7(11) G7(♭9 ♭13)  |

 A

|CM7  Dm7  |Em7  A7  |Dm7  A7  |Dm7  A7  |

|Dm7       |G7        |Em7  A7  |Dm7  G7   |

|Em7-5       |A7       |Dm7  A7  |Dm7      |

|Fm7-5  B7  |Fm7-5 B7  |Em7  A7  |Dm7  G7  |

 B

|CM7  Dm7  |Em7  A7  |Dm7  Em7  |Fm7 B7  |

|Em7  A7   |Dm7  G7    |CM7  A7   |Dm7  G7   |

○ コード進行の解説

この曲は、Aが16小節、Bは8小節という、変わった構成になっています。

Aの3~5小節は、Dm7が続くのですが、それだけだと淋しいので、Dm7のドミナント・コードであるA7を間に入れてあります。

ジャズではよくあるアレンジです。

Aの13~14小節は、15小節のEm7に行くためのⅡ-Ⅴ進行です。

ここは、一時的にEmに転調していると考えてプレイすればいいでしょう。

は、基本的にダイアトニック・コードで構成されていますが、4小節目だけがⅣmになって短調からの借用和音になっています。

この部分がかっこいい所なので、間違えてFM7を弾いたりしないようにしましょう。

〇 エンディングBの最初から)

|CM7  Dm7  |Em7  A7  |Dm7  Em7  |Fm7 B7  |

|Em7  A7   |Dm7  G7   |Em7-5     |A7        |

|Dm7        |G7       |CM7  G7   |CM7      |

エンディングは、7小節目からBとは違う展開になります。

7小節目は、普通だとEm7にする所ですが、ここではドーハムが非常にブルーな響きを出しているのでEm7-5の方がしっくりきます。

11小節目は、そこで終わってもいい場面ですが、ピアノが色々なコードに動くので、ベースのチェンバースは「まだ終わりじゃないのだな」と感じて、途中でGを弾きます。

なので、G7を入れておきました。

「But Beautiful」  キーはG  形式はAB

 A

|G  GonD   |Bm7-5 E7    |Am7  D7  |Cm7-5 F7  |

|Bm7       |Dm7        |A7         |A7       |

|Am7  D7   |Bm7   Em7  |Am7   D7   |G        |

|Em  EmM7   |Em7  A7   |Bdim      |Am7   D7  |

 B

|G  GonD   |Bm7-5 E7    |Am7  D7   |Cm7-5 F7  |

|Bm7      |Dm7   G7  |A7       |A7       |

|D7  D7onC |Bm7  Em7  |CM7   Fm7-5 B7|Em7 F7  |

|GM7      |Am7   D7   |G    Bm7 E7 |Am7  D7  |

○ コード進行の解説

スタンダード・ジャズ・ハンドブックに書かれているコード進行とは、かなり違っています。

この進行(ハーモナイズ)は、とてもかっこいいですねー。

Aの6小節目のDm7は、7小節目のA7をトニック・コードに見立ててのⅣmだと思うのですが、少々謎です。

GキーのⅤmという可能性もありますかねー。

13~14小節目は、半音で下降するクリシェ進行です。こいつはよく出てきますよね。

その後には、Bdim(Ⅲdim)になります。とてもおしゃれなアレンジです。

Bの9小節目は、D7が続く中でベースがD→Cと動きます。
そして、10小節目のBに繋がります。

こうしたベース・ラインの滑らかな動きは、ポピュラー・ミュージックでよく使われます。

この曲では、録音時間に制約があったのか、長く演奏するとダレると思ったのか、テーマ(A+B)を吹いた後には、Aに戻らずにいきなりBに行き、そのままエンディングに入ってしまいます。

つまりA→B→Bの順番で演奏されています。

 エンディングBの13小節目から書きます)

|GM7        |Am7  D7   |Bm7      |Em7      |

|Am7        |D7       |C   B7(-13) |B♭(13)A7  |

|AM7(9 13)  |G        |

C(7小節目)からは、C→B→B→A→A→Gと、コードが半音で下降していきます。

この下降中に、ドーハムはずっとGの音を出し続けます。
これは「ペダル・ノート」というアレンジ手法なのですが、ここでは最高に決まっていますね。

このエンディングが、私は大好きなのです。
何度聴いても、感動します。

(2013年10月1日に作成)


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