(WEB RONZAから抜粋)
『個人識別番号(国民総背番号)法』とは、日本国内の居住者全員に、生涯不変の番号を割り当てて、行政機関がその番号で個人情報を管理するシステムである。
この法では、身分証も兼ねたICカード「個人番号カード」の配布と、個人情報のデータベースのネットワーク化(情報ネット)の構築が行われる。
情報の流出や情報の悪用は、ないのだろうか。
国が「安全だ」と言ってきた『住基ネット』では、情報の流出があり、住基カードを不正に入手する事件が後を絶たない。
そもそも、違憲性はないのか。
住基ネットは、「国民を監視するための総背番号制だ」として、離脱をする自治体まで出た。
住基ネットの違憲訴訟では、大阪高裁で「無視できない欠陥がある。拒否する人への適用は、プライバシーを侵害する。」と判決された。
住基ネットと違い、情報ネットでは、管理される情報がはるかに多くなる。
情報ネットについては、新聞各社の評価は割れた。
評価をしたのは、読売・日経・産経である。
疑問を呈したのは、朝日・毎日・東京である。
東京新聞は、「導入は問題が多すぎる」と明快に反対した。
「共通番号制度」は、管理に便利なために、導入されると際限なく広がっていく。
住基ネットを利用できる行政事務は、当初は93件だったが、2002年には264件、05年には283件に増えた。
日本政府は、北欧のケースを引き合いに出して、有用性を強調している。
しかし、1946年に導入しているスウェーデンのデータ検査院の長官は、「プライバシーへの脅威となり、お勧めしない」と述べた。
ドイツは違憲と考えており、イギリスは導入していたが廃止にした。
導入している米韓では、犯罪の温床となっているため、手を引きつつある。
法案は成立したが、利用が始まるのは2016年1月である。
かつて導入が見送られたグリーンカードのケースを考えれば、まだ引き返せる。
○村本尚立のコメント
よし、引き返しましょう。