安倍政権を見極める㉒ 政権を支える特異な人々②
菅野完さんと塚田穂高さんの対談

(以下は、ハーバービジネス・オンライン『草の根保守の蠢動』から抜粋)

(今回は、菅野完さんと『宗教と政治の転轍点』を著した塚田穂高さんの対談です)

菅野

政治と宗教の関わりについて、正面から取り組んだ学術論文は、ほとんど無いんです。

だから、『宗教と政治の転轍点』を初めて読んだ時は驚きました。

索引に「椛島有三」の名が載る日が来るとは。

誰の目から見ても「日本会議」が安倍政権を支えているのは明らかなのに、ちゃんとした研究がない。

塚田

このテーマに関しては、「幸福の科学」の研究から入ったんです。

偶然に、2009年5月10日の集会で、彼らが「政治に進出するぞ!」と宣言する場に立ち会った。

その後、研究に深みを出すために、オウム真理教などに対象を広げた。

そんな中で、日本会議の機関誌「日本の息吹」の購読を始めた。

『宗教と政治の転轍点』では、日本会議については70ページほどです。

その後の260ページは他の宗教について。

しかし読者の反響は、前半の60ページが大きかった。

オウム真理教の麻原の地裁判決(2004年2月)などでは、「国政選挙に出て惨敗したことが、武装化への転機になった」とされました。

政治に進出することは、彼らにとっては真剣かつ合理的な選択であり、そこで挫折した事が道をいっそう誤らせる原因となった。

オウム真理教の政治進出の研究は、大切だと思います。

菅野

オウムもそうでしたが、日本会議でも、日本社会の見方は「イロモノ扱いするか無視するか」の両極端です。

その結果、その間隙をつかれてしまう怖さがあるなと。

塚田

宗教団体の政治進出や政治活動に対して、浅い向き合い方だとダメですよね。

フライデーや朝日新聞や東京新聞は、日本会議を記事にしていますが、「気持ち悪い団体!」という浅いノリになってしまうんです。

普通の人々が日本会議的なものを下支えしているわけで、「気持ち悪い」だけではそういう側面を見逃してしまう。

問題は、その宗教団体の内容や質や方法。

そういう意味でも、日本会議の分析で「日本青年協議会」に注目した菅野さんの意義は大きい。

菅野

僕は、「アメリカの福音派みたいなことをやろうとしている連中が、日本にも居るぞ。
日本会議の中枢は、正にそれだぞ。」と書きたい。

反知性主義な傾向の人々が、日本会議の中枢にいる。

彼らを「右翼宗教」と呼ぼうかなと。

日本会議の中枢たる日本青年協議会は、警察資料的には右翼団体です。

この極右団体は、宗教をテコにして政治を動かしている。

塚田

彼らの目指しているのは、国家神道の復興や存続ではありません。

菅野

おっしゃる通りです。

靖国神社や日本会議が云っているのは、「神道を宗教として国家が認めて関与しろ」です。

「神道は宗教にあらず」というタテマエに立脚していた戦前の国家神道とは、全然違うものですよ。

塚田

彼らの求心性はモヤモヤしていて、本質は「日本教」と言える。

菅野

そうなんです。

そして、その日本教のプロデューサーが、日本青年協議会なんじゃないかと。

塚田

私の著書では、日本教の諸団体の事務局長が椛島有三である事を書きました。

多くの宗教団体が日本会議に集まっているわけですが、末端の信者や会員さんと中央とか事務方の考えていることは、一致していない。

参集する教団には多様性がある。

菅野

そうですね。

例えば沸所護念会は、昔よくいた愛国おじさん・おばさんの集まりみたいな感じ。

本当に素朴な郷土愛。

塚田

なんとなく日本会議にいろんな団体が参集しているが、それぞれの教団が信徒に説いている事と、日本会議が政治的に実現しようとしている事が違う。

日本会議に参加したり協力している人には、「進もうとしている道が、分かっていますか?それが、あなたの教祖が目指したものですか?」と問いたいです。

菅野

この方面については、日本のことなのに海外の方が研究が進んでいる感じがある。

ケネス・オルフの書いた『国民の天皇』とか。

1970年代から40年間、ほぼ同じメンツが日本の右傾化運動を支えてきた。

だけど学者はその辺を書かず、右傾化に対抗する人々が研究して書いてきた。

靖国神社の国家護持法案(国会で廃案になった)以降、四分五裂した宗教界がどう再編成されたのかの研究も、誰もやってないですよね。

靖国問題の当時の資料で頼りになるのは、日本共産党の資料が中心です。

塚田

共産党の宗教分析力は高く、赤旗の記者だった柿田睦夫さんも貴重な蓄積を成した。

でも、研究者はあまり参照しない。

私は、属性に関係なく、事実とデータを捉えているものは資料として用いた。

一点だけ言っておきたいのは、『社会的に問題のある団体や勢力と平気で協働してしまう、日本会議やその周辺に関連する政治家の姿勢』です。

これは当然、問題視されるべきものです。

具体的には、まず統一教会と、その政治団体である国際勝共連合や関連団体。

統一教会が霊感商法や海外送金などで、多大な被害を国民に与えてきたのは、動かしようのない事実です。

この団体と、複数の現職閣僚や国会議員が関係している。

それでいて「美しい国」なんて、ちゃんちゃらおかしい。

幸福の科学(幸福実現党)の問題もあります。

「霊言」という形で、日本の神々や歴代天皇の本心とするものをかたったり、批判的なジャーナリズムを社会的に攻撃したりしている。

彼らは突然に、靖国神社に行きだしたり、皇室や日本文化を機関誌などで取り上げ始めた。

菅野

こうした団体が、排外主義者やいかがわしい連中と結びついてしまう。

末端の信徒や会員の人たちは、本当に気の毒だと思います。

「皆さんの求めていたものは、それなんですか」と言いたい。

ある思惑を持った人間が、宗教を利用して人々を動かしている。

「動かされている人々よ、目を覚ませ」と言いたいです。

(2016年3月19日に作成)


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