日本柔道界は、一番大切な相手への敬意を見失っている
(2012.8.7.)

今回のオリンピックでは、日本柔道の不振が問題視され、批判の対象となっています。

かつて無いほどに、メダルの獲得数が少ないからです。

しかし私は、成績よりも、『選手たちの態度』に不満を覚えました。

まずなにより、オリンピックという祭典を楽しんでいない。
これで、柔道のすばらしさを世界に伝えるなんて、絶対に無理です。

そしてもう一つ、対戦相手への敬意を表していない。
これでは、柔道の一番のすばらしさを表現していないのと同じです。

なぜこんな状態なのか。

その理由は、「金メダルを取れ、というプレッシャー」にあります。

マスコミや柔道関係者が、金メダルのことばかり言うものだから、選手達は結果ばかりを考えて、覇気を失っているのです。

これは、メダルを取る事が正義だという、「悪しき勝利至上主義」に毒されている事が、根本的な問題です。

本来、柔道は『道』と名付けられているように、勝利よりも心身の鍛錬が目的のはずです。

「自分に勝つ事」や「謙虚な姿勢を学ぶ事」、「何歳になっても精進し続ける事」が究極の目標であり、相手に勝つ事は二次的な事のはずです。

この核心の部分を、今の日本柔道界は見失っています。

私はメダルを取る事は重視しない人間ですが、この「核心を見失っている事」が、競技結果の不振にもつながっていると思います。

日本柔道界は、もう一度原点に立ち返ってほしい。

日本柔道界は、「金メダルを取る事が、誇りを守る事であり、柔道のすばらしさを伝える事だ」と思っているようです。

ですが私は、「リラックスして楽しみながら全力を出す事、そしてなにより相手への敬意を常に持つ事が、柔道のすばらしさを伝える事だ」と考えます。

メダルが取れなくても、本当の意味で柔道のすばらしさを観た人に伝えられれば、それで成功だと思います。

吉田秀彦さんらを育てた大石康さんの、「メダル授与の時に、銀や銅の表彰台でうなだれるのではなく、笑顔で金メダルに輝いたライバルを祝福してほしい」というコメントが、新聞に出ていました。

私は100%この意見に賛成します。


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