先日に、ザックジャパンとブラジルの親善試合がポーランドで行われました。
日本は0対4で敗れ、メディアは「ザックジャパン初の惨敗」と報じました。
ですが私は、惨敗だとは思いません。
私の感じた事を書きます。
まず試合を観ていて思ったのは、「今のブラジルは強いぞ」という事です。
現在のブラジルは、ネイマールを始めとして、「若くて才能があり、なおかつ真面目な選手」が揃っています。
伝統的にブラジルは「遊び好きで不真面目な選手」が何人かいるものなのですが、今の代表には居ないように見えます。
このため、ブラジルとしては珍しく組織としてまとまっており、皆が献身的にプレイをしています。
ブラジルは、「すばらしいテクニックとひらめきはあるが、チームとしてのまとまりに欠けるため、個の力が最大限に活かされることがない」という状態が、10年ほど続いてきました。
ついにそこから抜け出したのではないか、と私は思いました。
「今のブラジルは、スペインと並ぶレベルに近づいており、世界最強国のレベルだ」と思いました。
もう一つ気になったのは、「点差がついても、ブラジルが全然手を抜かない」という事です。
普通だとブラジルは、大きな大会でない時は、2点差くらいがつくと手を抜きます。
相手をなめてしまうのです。
そこがブラジルの弱点なのですが、この試合では一切そのような手抜きはありませんでした。
この理由として、「次回のワールドカップはブラジルで行われるので、モチベーションが高い」ことと、「ワールドカップが自国開催なので予選が無い。そのために親善試合が貴重なチーム作りの場になっている」ことがあります。
要するに、ブラジルは本気でこの試合に挑んできたわけです。
ここまでに説明したように、今回のブラジルは『良い仕上がりで強い、さらにモチベーションも高い、本気の状態』でした。
そのブラジルと闘った日本代表は、どうだったでしょう?
結果は0対4でしたが、私は「しっかりと正面から闘っており、ボールもキープ出来ている。以前だったら押し込まれて、カウンター狙いの雑なボールクリアーくらいしか出来なかったのだから、これは大前進だ。」と思いました。
日本が「本気のブラジル」と前回に闘ったのは2006年ワールドカップで、この時も大差で敗れました。
しかし、サッカーの内容は今回の敗戦の方がはるかに良いです。
私は今回の試合を観て、「日本は強くなったなー」と思いましたよ。
ここからは、日本代表の課題を書きます。
目に付いたのは、攻撃の時にボールをキープ出来るのに、攻めあぐねていた事です。
ブラジルに守備を固められると、行き詰っていました。
この状態の解決方法は、3つあります。
1つは、「逆サイドに速いボールを展開させて、揺さぶりをかける」ことです。
もう1つは、「選手たちが積極的に動き、ブラジル守備陣を引き付けることで守備陣形を崩して、スペースを作る」ことです。
あと1つは、「スピードの速いワンツーパスを使って、狭いスペースでも突破する」ことです。
上記の三つを行うには、今よりも正確かつ速いパスを使用しないといけません。
具体的に言うと、『パススピードを1.2倍くらいにあげる』必要があります。
そのためには、『パスの受け手の利き足に、パスをピタッと合わせる技術』が求められます。
パススピードを上げれば上げるほど、受け手の利き足に正確に届くように、パスを出す必要があります。
FCバルセロナの選手たちは、この技術がもの凄くて、数十メートルのパスでも数センチしかずれません。
この神業が、あのパスサッカーの土台です。
逆に言えば、この技術があればバルセロナのサッカーにかなり近づけます。
今の日本代表に求められるのは、『速いパスを正確に出す技術(正確に蹴る技術)』だと思います。
戦術や組織力、基本のテクニックや運動量は、負けてなかったと思います。