ソチ五輪 フィギュア・スケート 女子個人を見て
(2014.3.11~12.)

ソチ五輪については、『ソチ五輪を見ていての感想 心が燃えない その理由』で書いたとおり、あまり情熱を持てませんでした。

そんな中、フィギュア・スケートだけは、なぜか熱心に見てしまい、特に「女子・個人」はショートとフリーをライブで見て、勢いあまってその後のエキシビジョンまで見ました。

その感想を書きます。

どうしてそこまで「女子・個人」に入れ込んだかと言うと、その前に行われた団体戦で、ロシアのリプニツカヤ選手の演技に瞠目したからです。

『彼女の演技に惚れ込んでしまい、個人戦の彼女の演技を見ようとしたところ、他の人のも一緒に見てしまい、気付いたらほとんど全部を見ていた』という事です。

そうして、浅田真央さん、ソトニコワさん、キム・ヨナさんの演技にも、心が動かされました。

結果としては、リプニツカヤさんは転倒してしまい、メダルを取ることが出来ませんでした。

まあ、彼女はこれからもあるし、しょうがないです。残念ではありますが。

フィギュア・スケートは、「男子・個人」も少し見ましたが、転倒が多く盛り上がりに欠けると感じました。

「女子・個人」の方が選手たちの平均レベルが高く、ミスも少なくて白熱していました。

「フィギュア・スケート 女子・個人」は、今回の五輪でもベストの種目だったのではないかと思います。

見応えがあったし、楽しさがありました。

もっとも、私は他の種目をほとんど見ていないので、比較ができないのも事実です。

「女子・個人」で最大の話題の1つは、ショート・プログラムでの浅田真央さんの大きなミスでしょう。

私も生で観ていましたが、「どうしたんだよ、びびってしまったのか? 思い切ってやらないと! ああっ、もう!」と、悶絶しました。

3回転ジャンプのところを1回転とかには、完全に脱力しました。

リプニツカヤさんなどのミスは、やりきってのミスでしたが、浅田さんの場合は全力を出さない中でのミスです。

不完全燃焼の感が、深刻にありました。

演技を終えた後の、浅田さんのインタビューを見ました。

彼女は顔面が蒼白で(化粧ではっきりとは分かりませんでしたが、蒼白だと感じました)、抜け殻のようになっています。

「どうして失敗したのか?」との問いに、「分かりません…」と思考停止状態で力なく答える彼女を見ていたら、深く同情してしまいました。

彼女の落ち込み具合を見て、(こりゃあ、ホテルに帰ったら泣くな……)と直感し、(知り合いだったら、メールか電話で元気づけてあげるのだが)と、心配になりました。

フリー・プログラムは翌日に行われるので、彼女が短い間に立ち直れるかが焦点でしたが、(この感じだと、厳しいのではないか)と私は思いました。

結果的には、翌日のフリー・プログラムでは、浅田さんは自らが「自己ベスト」と言うほどの演技を見せ、人々を驚かせます。

ショート・プログラムでは、キム・ヨナさんが1位、ソトニコワさんが2位になりましたが、私としてはキム・ヨナさんの出来には感心しませんでした。

「何で、これで1位なの? 無難にこなしているだけじゃないか!」と、判定に不満たらたらです。

「ちっ、見ていろ。明日はリプニツカヤが本気を出すんだからな!」と思いながら、TVを消して寝室に移動しました。

そうして、翌日のフリー・プログラムです。

すっかり興味が出てきた私は、最初から観る事にしました。

浅田さんは、早めの順番で出てきました。

顔を見るとこわばっており、目の下にはくまが出来ていて、(予想通りにやばそうだ…)と心配しました。

ところが、皆さんがご承知の通り、滑り出したら快調なのです。

私は、音楽がスタートして、彼女が後ろにスーッと移動し始めるや、すぐに(おっ、昨日とは違うぞ!?)と思いました。

滑りっぷりに力強さがあったし、身体も切れている感じがあります。

ジャンプを順調にこなしていく彼女を見て、ジャンプを成功させるごとに「よしっ! イエス!」とガッツポーズをしてしまいました。

私はこれまで、フィギュア・スケートをほとんど観たことがなく、技についても知識が無かったのですが、だんだんと浅田さんが多彩なジャンプを持っている事に気づき始めました。

「なるほどねー、それで期待されているのかー」と思いました。

この日のバック・ミュージックは、ショパンの曲でしたが、彼女の悲壮な演技ぶりにとてもマッチしていましたね。

これも、演技が良く見えた一因だと思います。

この日の浅田さんについては、『演技を終えた瞬間に泣き始める』のにも驚きました。

「泣くのが、早いよー。着火が早っ!」と、思わずつっこみを入れてしまいました。

まさか最後の決めのポーズから、ダイレクトに泣きモードに入るとは…。

普通だと、お客への挨拶を終えて、席について得点を見るあたりで涙を見せます。

予想外の展開を見て心理的に動揺するところに、さらにかわいい泣き顔をアップで見せられた私は、(浅田真央って、なかなか可愛いな)とファンになってしまいました。

私の知り合いに1人、熱心な真央ファンがいて、「真央ちゃんは違う」と、だいぶ前に目を輝かせながら主張していました。

私にはさっぱり理解できなかったのですが、何となく今回に理解できました。

人が応援したくなるものが、彼女にはありますね。

それに彼女は、日本人には珍しいほどのスタイルの良さがあり、色っぽさもあります。

どうやって1日で立ち直ったのかが気になったので、彼女が帰国後に受けたインタビューもチェックしました。

彼女は、「最初は落ち込んでいたが、だんだんと落ち込んでいる自分に腹が立ってきて、それで立ち直った」と言いました。

私にも同じ経験があるので、「なるほど、説得力があるなあ」と思いました。

彼女の演技や話ぶりや態度を見ていたら、(この人は、相当に頑固で気が強そうだな)と気付きました。

あんな可愛い顔をしていますが、男を尻に敷くタイプですよ、彼女は。

もし私が彼女と結婚したら、完全に尻に敷かれて、3ヶ月に1回くらいは土下座をさせられるほどの、土下座外交を強いられると思います。

まあ「男は尻に敷かれた方が幸せになる」というのは当たっていると思うので、特に問題はないのですが。

世間では「かわいい真央ちゃん」と評されていますが、私はそれに賛同しつつも、ややビビっています。
あの人は、怒らせたら怖い人です。本能的にそう感じます。

浅田さんでだいぶ文量をとりましたが、彼女の後に出てきた選手たちも、皆が素晴らしかったです。

私が優勝候補と見ていたリプニツカヤさんは、この日も転倒してしまいました。

若さがでましたねえ。彼女も相当に気が強そうですが、まだこの大舞台では緊張してしまうのでしょう。

これからに期待します。

この日は、とにかくソトニコワさんの演技が素晴らしかったです。

力強さがあり、安定していたし、表現が多彩で見ていて楽しくなるものでした。
途中で観客に手を振るのが、とても良かったです。

彼女が金メダルを取ったわけですが、それだけの内容だったと思います。

キム・ヨナさんも、前日のショートよりも明らかに良くて、美しい演技でした。

ただ、迫力というかぐっと来るものが足りなかったです。
やはり、ブランクが大きく影響したと思います。

総評としては、フリー・プログラムはとてもクオリティが高く見応えがありました。

オリンピックを観た!という満腹感がありましたよ。

浅田さんは、ショートのミスが響いてメダルに届きませんでしたが、私が見た印象ではショートでミスをしなくてもメダルは厳しかったと思います。

それ位に、皆のレベルが高かったです。

浅田さんについては、ジャンプは凄いですけど、それ以外の部分に課題があると思います。

ジャンプ以外にも見せ場がないと、これからは優勝できないと思います。

いま彼女は引退するかどうか迷っているようですが、日本のフィギュア・スケート界を考えると、現役を続けてほしいですね。まだ22歳ですし。

彼女が居なくなったら、かなりフィギュア・スケートの人気や注目度が落ちると思います。


『日記 2014年1~3月』 目次に戻る

『日記 トップペ-ジ』に行く

『サイトのトップページ』に行く