イスラム国が日本人2人を人質にとっている件について
東京新聞の解説に共感する
(2015.1.22.)

一昨日のことですが、中東のイスラム過激派組織『イスラム国』が、日本人2人を人質にとっている事が判明しました。

イスラム国は、「72時間以内に2億ドルの身代金を用意しなければ、2人を殺す」と声明を出しています。

この行為は、もちろん非人道的なものですが、「あいつらは悪魔のような奴らだ」で済ましてしまうと、何の解決にも繋がりません。

感情的になって憎悪を膨らませる事なく、きちんと深く考える必要があります。

冷静に見るとすぐに分かるのですが、アメリカ・イギリス・フランスなども、テロリスト掃討を口実に、空爆などの『非人道的な行い』をしています。

彼らの軍事作戦で、多数の一般市民が犠牲になっています。

つまり、どちらもテロリストなんです。

まず、それを冷静に見抜きましょう。

アメリカ達が(強者が)殺人をすれば「テロリストを倒す正義の戦争」になり、イスラム圏の者が殺人をすれば「残虐で破廉恥なテロ行為」となる。

おかしいじゃないですか!

現在の『イスラム教徒テロリストとの戦争(テロのと戦い)』は、2001年の9.11事件から始まりました。

あれからもう13年以上経ちますが、テロは減らず、むしろ増えています。

これは、当然なのです。

本質的な解決方法を、まったく採っていないのですから。

結局のところ、この争いは(テロとの戦い)は、ゲームなんですよ。

理性も知性も愛もない、幼稚な考えに基づいた火遊びです。

テロの根源には差別や貧困があるのに、それは無視して(解決しないで)武力を用い、暴力の連鎖に持ち込む。

そうして、戦いが延々と続き、軍事産業が儲かる。

これが、真相です。

軍事産業のためのゲームにむりやり参加させられて、犠牲を強いられている一般の人々たちは、本当に可哀相です。

残念ながら、自分たちの戦争ごっこと金儲けのためには平気で人を殺せる人達が、世の中には居ます。

今回の人質事件では、『テロがなぜ起きたのか』という視点が一番重要です。

それを考えなければ、また同じような事件が起きる可能性が残るからです。

人質の2人を助ける努力も大切ですが、2人は危険を覚悟で現地に行ったのだし、あまりナーバスにならない方がいいと思います。

正直な話、身代金の額が2億ドルと巨額すぎる事からみて、最初から殺す方針なのだと思います。

(高めにふっかけて有利に交渉しようとしている可能性もありますが、たぶん違うでしょう)

2人は酷い殺され方をすると思いますが、冷静に対応しましょう。

冷静に考えれば、日本では毎年、交通事故死が5千件弱あり、自殺も3万件あります。

それらの死に方も、相当に酷いものがありますが、ほとんどの人は気にしていません。

何が言いたいかというと、『防げる酷い死が身近にあるのに、放っておいてるじゃないですか。今回の2人は、危機に追い込まれている人の一例にすぎない。』です。

救える命は、身近にたくさんあります。

それを重視するほうが、建設的ですよ。

さて。

『テロがなぜ起きたのか』をきちんと理解するには、イスラム側の視点を学ぶのが大切です。

「テロリストの側から考えるなんて、とんでもない」と言う方もいそうですが、それを出来るのが大人だし、それをしないと解決に向かいません。

本日の東京新聞には、イスラム側の視点を取り上げた記事があり、その内容・視点は深く的確で、私は大変に共感しました。

ここからは、その記事の抜粋を紹介します。

○ 東京新聞2015年1月22日から抜粋

イスラム国と見られるグループが、日本人の人質2人の殺害を警告している。

警告は、安倍晋三・首相がイスラエルを訪問したタイミングで行われた。

国際的な批判が強まるイスラエルへの日本の急接近は、際立っている。

イスラエルは昨年の夏に、パレスチナ人の自治区ガザを攻撃し、市民を中心に2000人が死亡した。

さらに停戦合意後も、パレスチナ人居住区への入植活動を強化している。

こうしたイスラエルの姿勢には、同盟国のアメリカですら批判している。

ところが、安倍政権は世界の流れに逆行している。

2013年3月に日本政府は、イスラエルが導入を予定する次期主力戦闘機F35の開発に参加を表明した。

14年5月には、イスラエルのネタニヤフ首相が来日し、国家安全保障局と防衛当局の交流促進・協力で合意した。

そして今回は、安倍首相がイスラエルを訪問した。

日本は、かつてはパレスチナ紛争に中立を保っていた。

近年の急速な親イスラエル姿勢が、人質事件の一因になっているのではないか。

京都大学の岡真理・教授

「安倍首相は、『中東の平和と安全のために、イスラエルと
 協力する』と言うが、中東の不安定の根源はイスラエルの
 存在です。

 その国と一緒にテロと戦うと宣言し、イスラエル向けの兵器を
 開発することは、イスラム過激派に日本を標的にする口実を
 与えます。

 日本は、『原爆を落とされたが復興を遂げ、世界に技術を
 提供してきた国』として、イスラム圏では好印象を持たれて
 きました。

 昔の自民党は、対米追随でもイスラエルとは一定の距離を
 置いていました。

 現在は、そういう認識が欠落した首相と政府が、
 イスラム圏との信頼関係を破壊している。」

東京外大の青山弘之・教授

「イスラム国は、ヨーロッパ人を刺激すると『キリスト教対
 イスラム教』の構図を決定的にするので、不利になると考えた。

 そこで、日本人が攻撃対象に選ばれたのではないか。

 安倍首相の外交パフォーマンスが、格好の標的になった。」

千葉大学の栗田禎子教授

「イスラム国にとっては、イスラエルは『聖地エルサレムを
 不法に占領する異教徒集団』で、『欧米の手先』です。

 イスラエルの国旗を背に『テロに屈しない』と会見した
 安倍首相は、『日本はイスラエルの仲間』との印象を
 与えました。」

では、日本の中東外交はどうすればいいのか。

栗田教授

「イスラエルとの安全保障上の協力関係は見直すべきだし、
 武器の輸出は誤りです。

 パレスチナ紛争の公正な解決に貢献することが、
 日本外交の役割です。

 軍事を含んだ積極的平和主義ではなく、憲法9条の平和主義
 を貫くべきです。

 9条に基づく外交は、長い目で見れば日本の企業と国民を
 守ることに繋がります。」

(抜粋終了)

私も、安倍さんがイスラエルとの軍事提携を打ち出した時には、「なんて危ない橋を渡ろうとする政権だろう、バカじゃないか」と思いました。

日本人の多くは、「北朝鮮が世界で一番危険な国だ」と思っているでしょうが、『イスラエルの危険さ』は北朝鮮の比ではありません。

恒例行事のように隣国に空爆を仕掛けて、多数の市民を殺害し続けています。

核兵器も持っています。

イスラエルは、世界屈指の非人道的な国なのですが、アメリカは常に肩をもちます。

あの関係は、本当に醜いと思います。

安倍政権は、イスラエルだけでなくオーストラリアとも軍事提携をしました。

さらに、本日の毎日新聞には、『新たにイギリスとも軍事提携を結ぼうとしており、イギリス代表と会談したこと』も出ています。

安倍さんは、集団的自衛権の行使に国民の過半数が反対しており、まだ法律が1つも成立していないのに、集団的自衛権にモロにつながる政治決断を次々と下しています。

行動を冷静にみると分かるのですが、安倍政権がしているのは、日本の安全保障体制の構築ではなく、『世界の軍事産業に進出して、金儲けをすること』です。

もし安全保障が目的なら、イスラエルという遠国かつ危険な国と軍事提携する道は選ばないです。

「安倍政権の本当の目的は、日本の軍事企業(三菱など)と組んで、日本製の武器を輸出していくことだ」と、私は見ています。

これからも、金儲けが出来そうだと判断すれば、どの国とでも軍事提携していくと思います。

早く終わらせましょう、こんな政権は。


日記 2015年1~3月 目次に戻る