5月3日の憲法集会に参加しました
リポートと感想
(2015.5.9~11.)

5月3日に横浜みなとみらいの臨港パークで行われた、『憲法集会 ~戦争・原発・貧困・差別を許さない~』に参加してきました。

このような集会に参加したのは初めてで、色々と感じる事がありました。

そこで、その体験記を書こうと思います。

13時半から講演(呼びかけ人らの演説)がスタートする予定なので、それに間に合うように現地に向かいました。

13時過ぎにみなとみらい駅に着き、トイレに行って、案内地図を見てから、外に出ました。
しかし、集会に向かう人らしき方はほとんど見当たりません。

「あまり人が来ていないのかな?」などと思い、「もしかすると参加者は300人とか、そんなものかもな」と思いながら歩いていきました。

とても天気の良い日で、強い日差しを浴びながら、観光客らしいのんびりした人に交じって臨港パークに向かいます。

「人数なんて関係ない。私は平和のために活動する人間なのだ。たとえ15人しか集まってなくても気にしないぞ。」 と、心中の熱いハートで盛り上がりつつパークに近づくと、大量の人間が目に飛び込んできました。

どうやら、すでに参加者のほとんどが来ているようです。
私のようにギリギリの時間で現れる奴は、ごく少数だったらしい。

パーク内に入ると、人で埋め尽くされており、座れる場所はほとんど無い状態でした。
多くの人は、すでに場所を確保しており、座って講演前のミニ・コンサートに耳を傾けていました。

ざっと見た感じでは、1.5万人ほど居るようです。
後で「3万人が集まった」と壇上から報告されましたが、私の見た限りでは2万人よりも多くはなかったと思います。

(途中で抜けた人、途中から参加した人を入れると、3万人なのかもしれません)

あまりに人がいて、居場所を見つけられないので、あと少しで講演が始まる時間でしたが、そこらをうろつく事にしました。

右手に港の海を見つつ、大きなステージの後ろを抜けて奥に進んでいくと、テントが並んでいます。
気になったので近づいてみました。

そのテント群は、様々な活動団体が、署名を募ったり書籍を売ったりしているエリアでした。

試しに覗いてみると、「30人学級を要望する署名」やら「特定秘密保護法の廃止を求める署名」やら「原発の廃炉を求める署名」と、テントごとに違うものを扱っていて、ありとあらゆる署名を募っています。

活動に共感できるので、署名をしましたが、きりがありません。
テントによっては、2つの要望書を見せてきて、両方に署名を求めてきました。

「全部に署名をしていたら、1時間はかかるぞ。世の中には、こんなにも活動をしている団体がたくさん存在するのか。」と、びっくりしましたね。

結局、6つほど署名をしたところで、今日は満足する事にしました。
すでに講演は開始されていて、大江健三郎さんの声がスピーカーから流れています。

テントでは様々なものも売っており、『戦争は秘密から始まる』という特定秘密保護法の危険性について書いた本と、『福島3号 核爆発』というDVDを購入しました。

前者は、帰りの電車内でとても面白く読みました。
充実した内容です。

後者は、100円だったから買ったのですが、数日後に家で再生したところ、8枚の写真が収められているだけでした。
4枚は福島原発の事故現場を上空から映した写真、4枚は原発に関する新聞の切り抜きです。
「軽い詐欺なんじゃないか」と思いましたよ。

大江さんの講演が始まったので、ステージの近くに移動しました。

ステージ正面の広場はすでに満員なので、ステージ脇の出演者がスタンバイするテントの側に行き、そこから聴くことにしました。

かの有名な大江さんなので、もの凄い感動のある演説をするかと期待したのですが、閃きに満ちた言葉などぜんぜん無くて、ごく普通のクオリティでした。

話す内容よりも、むしろ元気の無い声のほうが気になりました。
声が枯れており、弱々しくて聴き取りづらいのです。

大江さんが「今回が参加する最後になる」と強調するので、「身体の具合が悪いのだろうか」と心配になりました。

その後、いく人かが続けて講演をしました。

私の心に一番響いたのは、憲法学者の樋口陽一さんの話です。

樋口さんは、憲法の理念について説明し、安倍内閣の進めている事がどれほど憲法に反しているかを分かりやすく教えてくれました。
憲法集会に相応しい内容だったと思います。

その後には、ゲストとしてきた民主党、共産党、社民党、生活の党の代表者が、それぞれ5分間ずつ話をしました。

その中では、民主党の長妻さんの話と、共産党の志位さんの話が、なかなかでした。

長妻さんは憲法の歴史について話し、志位さんは安倍政権の憲法破壊(憲法違反)について話しました。

色んな人の演説を聞いていて感じたのですが、感情的になって話すと、聴き手の心に響かないですね。

話し手が冷静さ保ってくれないと、聴き手が心理的に不安になり、言葉が身体に入らなくなります。

社民党の吉田さんは、泣きの入った口調で大声で語りましたが、私には不愉快でした。

「国政に参加する党の党首が、理性を失った情けない声で人々に語りかけてどうする。負け犬の遠吠えの響きがするぞ。」と思いましたよ。

樋口さんや長妻さんは一貫して冷静に話し、私は好意を持ちました。

基本的に、どの講演(演説)も物足りなかったです。

その原因は、一人ひとりの持ち時間の短さにあります。
一人の持ち時間が5~10分なので、あっと云う間に終わってしまい、尻切れトンボになるのです。

この集会は、講演内容よりも、『戦争をしない事を誓っている人々が一堂に会すること』に意味を求める集会でした。

その後は、様々な活動団体の代表が、活動報告をしました。

皆さんが立派な活動をしており、「なるほどなあ、そんな活動をされているのですか。頑張って下さい。」と共感いたしました。

これで基本的には閉会となり、再びミニ・コンサートが始まりました。
時間は16時前だったと思います。

強い日差しでバテていたので帰る事にし、大勢の人が駅に向かうのに合わせて、駅に向かいました。

ステージ前の広場を抜けていったのですが、所々に20人くらいの人が輪になって集まっています。
何かと思って様子をうかがうと、「西湘教組」などの教職員組合なのでした。

私はずっとステージ脇にいたのでそれまで気付かなかったのですが、実に多くの団体が参加していて、周りにあるのぼりを見ると○○労働組合とか××の会とか書いてあります。

「こんなに細かく色んな団体があるのか!」と、驚きました。

私が注目した教組の一団は、リーダーが話し終えると解散になりましたが、最後に「生徒を戦争に行かさないぞ!」「おー!」との、締めの掛け声がありました。

普通の人から見たら時代錯誤に思える行為かもしれませんが、いまの安倍政権を放っておいたら本当に戦争を始めるだろうし、そうなれば戦死者も出ます。

私は、彼らの「生徒を戦争に行かさないぞ」のスローガンは、かなりリアリティのあるものだと思いますよ。
「勇気と誠実さのある、良い人達だ」と、脇から観察していて感じました。

それにしても、解散時に掛け声を入れるとは、あまりに古臭いです。

目指している理想はかっこ良いのに、活動の仕方が古臭いので台無しの気もします。

今回の集会では、講演の合間に1回だけでしたが、ステージ上にいるリーダーが叫ぶ言葉を、参加者みんなが追随して叫ぶ、いわゆるシュプレヒコールがありました。

「憲法を守ろう!」「戦争反対!」「平和を守ろう!」「原発反対!」といった言葉を、皆で叫ぶのですが、あんなものは全く必要ないと思います。

体質的なものもあると思いますが、私はああいうのが大の苦手です。

元々、『憲法を守って、平和で公平な社会を実現させよう』という集会なのだから、参加者の皆が心から「憲法を守ろう」とか「平和を守ろう」と思ってますよ。

あえて全員で大声で叫ぶ理由が、皆目わかりません。

少し話を戻しますが、講演者の中には、「頑張りましょう!」とか「立ち上がりましょう!」と聴衆に呼びかける人がいました。

あれも、私には意味の無いものに思えました。

「いや、頑張っているから、ここに来ているんじゃないの?」「立ち上がっているから、ここに参加しているんでしょ」と思ってしまうんですよ。

ゴールデンウィークの中、遊びに行かずにここに来ている時点で、一般の人よりも遥かに高い意識を持っているし、ほとんどの人が何らかの啓蒙活動を日々しているでしょう。

その人達に、「頑張れ」「立ち上がれ」と言ってもねー。

講演者の中には、「ここに集まっていただき、ありがとうございます」とか「いつも立派な活動をしていただき、ありがとうございます」と言う方もいました。

これこそ、正しい呼びかけですよ。

最後に、集会に参加してみて私が1番感じた事を、書きましょう。

それは、『もっと自信を持とう! あなた方が日本の平和を支えてきたのだから、堂々としなさい!』です。

大江さんら講演者には、「安倍内閣の憲法破壊(戦前への回帰)には、絶望しているが、諦めきれない」と言う方が何人もいました。

なぜ、絶望するのか? 

私は、まったく悲観してませんよ。

この集会に参加した人達は、普通の人よりも勉強熱心で、世の中の様々な実態に詳しいです。
そして、民主化実現にための活動をしています。

それゆえに、困難にぶち当たる事が多くなり、悲観的になりがちな様です。

後半部分で団体活動の報告をした方からも、心が折れかけているのをなんとか堪えているのが伝わってくる場面がありました。

しかし、冷静に考えてみましょう。

日本は戦後、1回も戦争をしていないじゃないですか。

自民党が長い間ずっと与党で、自民党議員の多くがタカ派なのに、国家官僚の多くがアメリカの顔色ばかり見る根性無しなのに、戦争をしなかった。

それは、この集会に来た人々など、平和のために真剣に活動してきた方々が、勝利を収めてきたからなのです。

私は、護憲派の人々は、『常勝集団』だと思いますよ。

彼らは高い理想ゆえに気付かないのですが、もの凄い力を持っており、長い目で見ると必ずといっていいほど勝利をしてきました。

今回集まった人の誰でも、1対1の人間力で勝負したら、安倍晋三なんて目じゃないです。

あんな坊ちゃんなんて、相手になりませんよ。

例えば「日米ガイドライン」や「集団的自衛権」では、大手メディアの多くはきちんと報じず、中には政府のプロパガンダに加わって「これで日本は平和になる」と云うメディアまであります。

そんな中で、きちんと危険性に気付き、安倍政権の正体を暴こうとしているのですから、凄い知性と志の高さです。

戦後史を書いた本を読むと、大抵の本には「何々政権の時に、この法律ができた」と書いてあるだけです。

でも深く学んでいくと、『民主的な法律は(公平な社会につながる良い法律は)、まず例外なく、意識の高い市民の活動から生まれていること』が分かります。

私に言わせると、戦後の平和な日本を創ってきたのは、政治家でも自衛隊でもなく、高い意識で市民活動をしてきた方々です。

つまり、あなた方なのです。

だから、自信を持っていいし、誇らしく輝いているべきです。

悲観する必要など全くないです。
私は今までの実績から、護憲派(平和と公平な社会を求める人々)が勝利すると確信していますよ。


日記 2015年4~6月 目次に戻る