バレーボールのVリーグは、カップ戦の「黒鷲旗」も終了して、閉幕しました。
私は、今シーズンのVリーグは、女子の試合はTV放映される時は見てきました。
その感想は1月の日記でも書いたのですが、その後に見続ける中でさらに色々と感じています。
リーグの決勝戦が素晴らしい内容だったので、それを中心にしつつ、感じた事を書いていきます。
まず決勝戦についてですが、対戦カードは「久光対NEC」になりました。
私を含めて、観戦した方の90%以上が、「久光が勝つ」と思っていたはずです。
と云うのも、久光はリーグ戦を通じて圧倒的な強さをキープしていたし、NECはエースのイエリズさんが負傷離脱していたからです。
NECはプレイオフに入ってからぐんぐん調子を上げており、良いバレーボールを展開していました。
でも久光の方が、選手層は厚いし、経験でも優っている。
久光はリーグ2連覇をしているチームであり、他のチームとは別格の存在です。
ところが!!
第一セットこそ久光が取りましたが、NECは全員バレーで見事な試合を続けて、圧勝といっていい内容で勝ってしまったのです!
まさしく波乱の結末でした。
NECの勝因を分析すると、『イエリズさんの離脱により、チームが危機感を持って1つになった』のが大きかったと思います。
イエリズさんは決勝ラウンド(プレイオフ)に入る直前に負傷し、NECは決勝ラウンドはエース抜きで闘うことになりました。
私は「エースが居ないんじゃ、厳しいんじゃないか?」と心配したのですが、NECは各選手が奮起して、それまではスパイクをあまり打たなかったルーキーの柳田さんらが次々とスパイクを決めだします。
NECは、イエリズさんが居た時は彼女に頼りがちで、攻撃が単調でした。
それが、エースが居なくなった事で多くの選手がスパイクを打つ事になり、ポテンシャルの高い若手がいたために機能して、多彩な攻撃に変化したのです。
NECは、ルーキーの選手として、柳田さんと古賀さんの2人がいるのですが、特に前者が凄いです。
柳田さんは、身長が168cmと低いのに、傑出したジャンプ力とフォームの美しさにより素晴らしいスパイクを打ちます。
決勝ラウンドのうち1試合は、彼女の活躍で勝ったといえるほどでしたよ。
私はすっかり感心し、「身長が180cmあればなあ。これだけ空中での姿勢が美しいアタッカーは、日本女子では他には長岡しかいない。長岡クラスになれる才能があるのに…。まだ遅くはない、牛乳を飲んで身長を伸ばせ。」と思いましたよ。
ついでに指摘すると、同じくNECに所属する白垣さんは、身長は高く手足は長くて恵まれた体格をしているのに、フォームが美しくないため損をしています。
力みすぎているので、空中で姿勢が崩れています。
上半身の力だけで打とうとしており、下半身の姿勢が疎かになっています。
長岡さんや柳田さんは、全身を弓の様にしならせて、その力で打っています。
腹筋や背筋の力を、無駄なくボールに乗せている感があります。
白垣さんは、肩とか腕の力だけで打とうとしていますよ。
フォームを改善すれば、もっともっと良い選手になれます。
白垣さんは現状でもイエリズさんに次ぐエース格ですが、フォームが良くなればNECの完全なエースのなれると思います。
話を元に(決勝戦に)戻しましょう。
NECは、上記の選手の他にも、近江さん、島村さんという、ハイレベルの選手がいます。
この2人も、今まではイエリズの影にいてどこか遠慮している感じでしたが、イエリズが居なくなると一気に輝き始めました。
自覚によりここまで選手は変わるのかと、目を見開きましたよ。
元々NECは、久光に次ぐ選手層を誇っていたのですが、それが遺憾なく発揮される状態になったため、チーム内に魔法が生じました。
攻撃にリベロを除いた全選手が深く関わるため、久光はどこを抑えればいいのか(マークすればいいのか)分からなくなり、完全に混乱していました。
あの知将・中田監督でさえ、打つ手が無くなり、最後はお手上げ状態でしたねー。
決勝戦でのNECは、守備も最高でした。
NECでキャプテンを務める近江さんは、レシーブが上手くて以前から感心しています。
彼女は今シーズンのVリーグMVPに選ばれましたが、スパイクとレシーブの両方をハイレベルでこなすオールラウンド・プレイヤーですね。
NECの正リベロである岩崎さんは、それまでは良いと思わなかったのですが、決勝戦では素晴らしいレシーブを連発していました。
「こんなにやれる選手だったのー?」と思いましたよ。
久光のほうも、良いバレーはしていましたよ。
でも、NECの勢いに圧倒されて、本来のプレイが途中から出来なかった。
特に、石井さんがマークされて全然スパイクを決められなかったのが、痛かったです。
攻撃が長岡さん頼みだと、やっぱり厳しい。他の人ももっと決めないと。
長岡さんは、この試合だけでなく、シーズンを通して素晴らしいスパイクを見せていましたね。
少し神がかっているレベルでした。
エースとして1試合に何十本もスパイクを打つのに、アタック決定率が50%近いんだもん。
一人で試合を決めてしまうレベルの活躍でした。
あまりに凄いので、「人間業じゃない、そのうち怪我しちゃうんじゃないか」と心配になったほどです。
今シーズンは木村沙織さんがいまいちの出来で、「現状では、長岡が日本一のアタッカーだな」と思ってます。
決勝に勝ちあがった久光とNECは、久光はリベロが2人、NECはセッターが2人、クオリティの高い選手がいるんですよ。
大抵のチームは、リベロとセッターは1人の選手で試合を通します。
でも、試合の中で疲労が溜まってきて、徐々にパフォーマンスが落ちてしまいます。
私は、「セッターやリベロを試合中に交代できるのは、非常に有利だ。優勝を狙うならば、そういう試合運びができるようなチーム作りをしなければならない。」と感じましたねー。
久光は、普段はリベロの2人を頻繁に交代させて戦うのに、決勝戦では座安さん1枚で通したんですよ。
あれは、采配ミスだったと思います。
さて。
話をシーズン全体に移します。
今シーズンのVリーグは、1月の日記にも書いたのですが、最初のうちはレシーブのクオリティが低かったです。
そのために、ラリーが続かず、盛り上がりに欠ける内容でした。
それが、シーズンが進むにつれてどのチームもレシーブが向上し、試合が白熱するものになりました。
私は見ていて、「やっぱりレシーブが良いと、バレーボールは面白いなあ」と心から思いましたよ。
1月の日記では「リベロで良いと思える選手がいない、佐藤あり紗がまずまずやれるくらいだ」と嘆いたのですが、今シーズンを見終えて、かなりやれるリベロを見つけ出しました。
ここで突然ですが、私が付けるVリーグのリベロ・ランキングの発表です。
1位 佐藤あり紗(日立) 2位 座安琴希(久光) 3位 丸山亜希(岡山)
この3人は、調子に波がなくて、シーズンを通して安定していたし、試合中も集中力を持続していました。
佐藤さんと丸山さんは守備範囲が広く、他の人では届かないボールでも拾えます。
座安さんは守備範囲では少し物足りないのですが、レシーブの精度が高くて、セッターが動かなくていい絶妙の位置にパスを渡せます。
これに準じる存在として、ルーキーながらレギュラーで活躍した佐藤澪さん(トヨタ車体)も高評価です。
こちらの佐藤さんは、とにかく俊敏性がずば抜けていて、動きの早さと細かい足のステップではすでにVリーグの中でナンバーワンだと思います。
「ポジショニングとレシーブ技術を上げていけば、日本を代表するリベロになれる器だ」と思ったのですが、日本代表の眞鍋監督もそう感じたようで、早々と代表入りしました。
後に詳しく書きますが、日本代表のメンバーが、先日に発表されました。
私が一押しの佐藤あり紗さんは、入っていません。
彼女の、牛若丸みたいなスリムでしなやかな動きと、ボールに飛びつく気迫が好きなので、残念です。
ちなみに、丸顔で垂れ目の狸みたいな顔付きも、気に入ってます。
NECの岩崎さんは、代表入りし、今シーズンのベスト6にも選ばれました。
先ほども書いたように、私はあまり彼女の良いプレイを見た事がないです。
代表戦がテレビ放送される日を待ち、彼女がやれる人なのかを見極めたいと思います。
ついでに、私が付ける今シーズンのルーキー・ランキングも発表しちゃいます。
1位 柳田光綺(NEC) 2位 佐藤澪(トヨタ車体)
3位 金田修佳(岡山) 4位 古賀紗理那(NEC)
このうち、佐藤さんと古賀さんは代表入りし、古賀さんは「大物の新人」としてメディアも注目を始めています。
しかし、私に言わせると、柳田さんのほうが古賀さんよりも才能は豊かです。
身長が180cmあれば……。
3位の金田さんは、器用さを持っていて、ブロックに当てて外に出すなど、上手いスパイクを見せます。
岡山の監督である河本さんからいじられても動じない所から、メンタルも強そうです。
そうだ、ついでなんで、河本監督についても言及しましょう。
私は、河本監督には問題があると思います。
というのは、試合中に選手にダメ出しをする時に、ダメ出しよりも「いじめ」になっているからです。
彼の言い方には(指示の伝え方には)愛情や配慮がなく、「そんなんでよく試合に出ているな」みたいな侮蔑のニュアンスを漂わすので、言われた選手はショックを受けて顔が凍り付いてしまうのです。
チーム全体がお通夜のような空気になる事も多く、私は怒りを覚えて「お前が選んで出してるんじゃないんかい! 選手に責任を転嫁するな!」と突っ込みたくなります。
あれは可哀相ですよ。
セッターの宮下さんなんて、ダメ出しを常に食らっているので、顔がこわばり続けて固まってしまい、眉間には深い皺が刻まれ、笑顔が1度も出ないほどです。
ダメ出し後に岡山は盛り返すことが多いので、指示自体は的確なのだと思います。
言い方をもっと優しくしてほしいですね。
河本さんは、報道陣と話す時には笑顔で優しいんですよ。
あれで選手にも接すればいいのに。
外ヅラと内ヅラが違いすぎです。
ここからは、日本代表のメンバー選出について語ります。
私は、「バレーボール・チャンネル」なるTV番組を、少し前から見始めました。
そこでは代表メンバーの発表会見が1ヵ月ほど前に放送されたのですが、その陣容には不満のほうが強かったです。
私の一押しのセッター「土田望未」と、期待のリベロ「佐藤澪」が入ったので、「ほう! その才能を見抜いたか、よしよし」とも思ったのですが、それ以外の才能が無視されていました。
スパイク、レシーブ、サーブのすべてを高レベルでこなす「佐々木美麗」。
レシーブがVリーグで屈指の上手さで、スパイクもなかなかで、VリーグMVPとなった「近江あかり」。
ブロックとクイック攻撃で輝き、サーブもリーグ屈指の実力を持つ「島村春世」。
ブロックの鬼でサーブも上手く、かつては代表でキャプテンをしていた経験豊富な「荒木絵里香」。
この才能溢れる方々が、驚くことにメンバーから漏れていたのです。
私は、「どういう事だ。眞鍋、ちゃんとVリーグをチェックしてるのか?」とすら思いましたよ。
そうして……。
この記事を書くにあたって、ネット検索で代表メンバーを再確認したところ、またまた驚く事に島村さんと荒木さんがメンバーに入っているのです!
怒りはだいぶ収まりました。
でも、佐々木さんと近江さんも試してほしい。
近江さんはMVPなんですよ、入れるでしょ普通。
彼女は上手いだけでなく、根性があります。あれを私は評価しています。
もし私が代表監督だったら、スタメンに佐々木さんと近江さんを使いますよ。
それぐらいに素晴らしいのに…。
島村さんは、ミドル・ブロッカーなのですが、もう少し体重を絞るとさらに良い選手になると思います。
あと2.5kg絞れば、さらに活躍できると思う。
シーズン当初よりは絞れてきてますけどね。
ちなみに、彼女はシーズン中に髪型を大きく変え、ばっさりと切ってショート・カットにしたのですが、すごく似合ってますよ。若々しくなりました。
あとは、海外でプレイしている江畑さんについても言及します。
彼女は以前はスタミナに欠けており、疲れてくるとスパイクのフォームが乱れる欠点がありました。
その事を日記で指摘したこともあったのですが、その後バレーボール・チャンネルで彼女を取り上げた時に、頑張って筋トレをしていました。
自分の忠告を受け入れられた気がして、すごく嬉しかったですねー。
映像で見ても筋肉がついてきており、期待できそうです。
代表戦での活躍を楽しみにしていますよ。
代表といえば、キャプテンを誰にするかも重要なポイントだと思います。
木村さんが最近はキャプテンを任されていますが、彼女は一生懸命に頑張っているのですが、どうしても適任だと思えないのです。
私はVリーグを観ている中で、『座安さんのキャプテンシー』を評価するようになっています。
彼女は久光でキャプテンをしていますが、味方の鼓舞は上手いし、常に落ち着いているし、熱いハートを持っているし、戦術眼はあるしで、感心することしきりです。
「今の女子バレーボーラーで、座安以上に代表キャプテンに向く者はいない」と、私は確信するようになっています。
座安さんは、怪我で代表を離れていましたが、今回ふたたび代表メンバーに選出されました。
彼女をキャプテンにするのがベストだと思う。
あとは、代表に初選出されたセッターの土田さんに、一言アドバイスしたいです。
土田さんはトスのフォームがとても安定していて美しく、精度の高いトスを上げ続けられます。
そこが私が推す理由です。
彼女のトスが大好きなので注目して見ていたところ、ある問題点に気付きました。
それは、『トスを上げる位置が、ネットからわずかながら遠い』という事です。
土田さんのトスは、あと5cmくらいネットに近い位置に上げたほうが、打ちやすいと思うんですよ。
細かい話ですが、トスを上げる位置ってめちゃくちゃ重要ですから。
選手によって欲しがる位置は違うし、相手のブロックの高さでも変わってくると思うのですが、見ていて「あと少しネットに近い方がいいなあー」と感じるんですよねー。
検討してみて下さい。
色々と書き連ねましたが、Vリーグがシーズン中にどんどん白熱してレベルが上がったのを考えると、代表のレベルも上がっていると思われます。
夏にある世界大会がとても楽しみです。