8.30国会デモに参加した①
体験を記す
(2015.9.4.)

8月30日に、全国的に大規模なデモが行われました。
安倍内閣が進める「戦争法案」を成立させないように、国民の意志を示す必要があるからです。

国民の過半数は、戦争法案を違憲と考えており、成立を求めていない。

それを無視して強行可決させようというのですから、『いま立ち上がらずして、いつ立ち上がる』という状況です。

今回は、『国会前に10万人が集まるのを目指す』という野心的なデモが、中心軸でした。

どの位集まるのか興味があったし、「戦争法案、アメリカに隷属する自民党+公明党の政権」には怒り心頭なので、私も参加してきました。

参加してみて、『シュプレヒコールを改善する必要性』を、私は深く感じました。

まずデモの体験記を書き、その後にシュプレヒコールへの提言を書きます。

8月30日の当日。

私と母は、国会前デモに参加すべく、自宅を出発しました。

14時からデモは始まるのですが、ロマンスカーに乗って霞ヶ関駅に向かい、13時15分に到着しました。

霞ヶ関駅に着きましたが、デモに参加する様子の人はそれほど多くありません。

(まだ集まっていないのか、それとも雨模様なので参加者が少ないのか)と考えつつ、(現地にはトイレが無いと思われるので、いま完全に出しておこう)と駅構内のトイレに向かいました。

15分かけて大便を出し、すっきりした表情でトイレから出てみると、いきなり人が増えていました。
全員が、服装から見てデモに参加する人です。

参加者たちは、それぞれ固まりつつ、「今日はどれくらい集まるかなあ」などと話しています。

私が意外に思うほど、参加者たちはリラックスしています。
緊張感や闘争心をあらわにしている人は、ほとんど居ません。

態度から見て、デモ参加の熟練者が多いようでした。

トイレ前の通路に増え続ける人々を見て、(まずいぞ、人がどんどん集まってきている。急いで国会前に行かないと、場所を確保できないかもしれない。)と思いました。

そこでキョロキョロと辺りを見回して母を捜したのですが、居ません。

女子トイレの入り口を見ると、行列ができており、その列は入り口から3mも続いているのです。

結局、母が出てきたときには、13時45分になっていました。

外に出て国会に向かいます。
幸いな事に、雨は止んでいました。

駅周辺からすでにデモ参加者がたむろしていて、かなりの人数がいました。

ビラを配っている人がおり、それを見ると国会前がメインステージですが、日比谷公園にもステージがあり、さらに宣伝カーが街中にばらばらに4つ配置されている。

それぞれの場所に人が集まるようになっていて、地図で説明されていました。

地図を頼りに国会に向かったが、少し進むと参加者の長い行列ができ上がっていました。

そうして、これを渡れば国会が見えてくるという大通りの交差点では、警察の人が「すでに国会前は人が一杯で、こっちからは行けません。迂回して下さい」と叫んでいました。

言われたとおりに、大通りを渡らずに右に曲がりました。

大通りに沿って迂回路とされる道を進んだが、人で溢れており全然進みません。
先をうかがってみても、人人人で、国会に行ける感じがありません。

仕方ないので、元の交差点に戻ることにしました。

交差点では警察官が4人ほどで通行を止めていましたが、多くの人がそれを振り切って道路を渡っていました。
私たちもそれを見習い、警察官の脇をすり抜けて大通りを渡ります。
警察官は苦笑して見守るだけでした。

大通りを渡っても、人が一杯なため前進できません。

目の前には「憲政記念公園南庭園」があり、そこにも参加者がたくさん入っていますが、まだ収容の余裕がありました。

そこで国会前に行くのは断念し、公園内で過ごす事に決めました。

ところが、公園は高い鉄柵で囲まれていて、入り口は限られています。
そして、入り口の周辺は人でびっしりです。

入園するための行列ができており、この行列もちっとも進みません。

この行列に加わっている間に、14時を回って、シュプレヒコールが始まりました。

これを聞いて、(間に合わなかったか……完全に乗り遅れた……)と脱力しました。

警察の人はここにもおり、「国会前は一杯なので、日比谷ステージに行って下さい」と説明しています。

公園内にはスペースがありましたが、入口は完全に人波でふさがっており、いつ入れるか分からない状況なので、日比谷ステージに行くことにしました。

大行列から離れて、母と「凄い人数だ、10万人に到達しているかもしれない」と話しつつ、トボトボと日比谷公園に向かいました。

行列を避けるために、皇居に沿うように遠回りして向かう事にしました。
私は霞ヶ関に来たのは初めてで、途中にある省庁の建物を興味深く見ました。

霞ヶ関の雰囲気や街並みを観察していて感じたのは、「活気がなく、空疎な雰囲気が漂っている」という事です。

日本の政治の中心地なのに、それを担っている活気や輝きは一切無くて、街全体が冷めている空気なのです。

「日本の政治の無能ぶり、停滞ぶりが、街の空気からも感じ取れるな」と思いましたよ。

皇居を含めてパワーを全く感じませんでした。
パワースポット感はゼロで、私の住む小田原などの方がよほどエネルギーがあります。

ようやく日比谷公園に入ると、疲れがどっと出ました。

まだデモが始まって30分も経っていない時間ですが、人波に激しく揉まれたのと、国会前に行けなかった失望感と、無駄に歩いたのとで、くたくたです。

公園内のベンチに座り、少し休憩しました。

この公園はとても広く、デモ集会をしている場所からは距離があるため、とても静かで、子供たちが設置されている遊具で遊んでいます。

すぐ近くで、ホームレスらしきお爺さんが、体操をしていました。

一段落したら、猛烈に腹が減ってきました。

で、コンビニや食堂があるか周りを見渡しましたが、官庁エリアの一角だからか、影も形もありません。
通りに出てキョロキョロしてみましたが、無機質で冷たいビルしか見えません。

お高くとまってちっとも使えない街に、失望しました。

疲れたし、参加者が沢山来ているのを知って満足感もあったので、(このまま帰っちゃおうか)と思い始めました。

母に相談したところ、「とりあえず日比谷ステージを見に行こう」と説得されました。

で、向かいました。

数分かけて到着すると、ステージ前には人がびっしりです。
数千人はいたでしょう。

すぐ近くに小規模なレストランがあったので、「安いなら入って食べよう」と表にある値段表を確認したところ、「本日は予約が一杯」とのこと。

店内をうかがうと、混んでいる様子は全くない。

「舐めとんのか、霞ヶ関! 調子こいてんじゃねえ!」と腹が立ちました。

ステージでは誰かが演説をしていましたが、腹が減ってそれどころではない。

「腹が減ってはいくさはできぬ」と、さらに店を探したところ、ステージの脇に大規模な食堂があるのを発見しました。

一直線に向かい、入店します。

普段は肉を食べない私ですが、景気づけのためにカツカレーを注文しました。
850円ほどでした。

そして、カツカレーをほおばりました。

しばらくすると、外ではステージ壇上での演説もいったん終わり、休憩に入ったようです。

しかし、食堂内には空席がたくさんありましたが、デモ参加者たちは数人しか入ってこない。
(真面目な人達だなあ)と感心しました。

食べてみると、カツカレーのカツは、一般の食堂ではあり得ないほどのクオリティでした。

「美味い! なぜこんなに良い肉と油を使っているんだ? 霞ヶ関だからか、生意気な。」と思いました。

満腹になったら、デモ集会に参加する意欲はすっかり無くなりました。

正直な話、これだけ大勢の人が集まったのを確認しただけで、すでに完全に満足していました。

食べ終わって一息ついていると、15時になり、外では参加者全員でのシュプレヒコールが始まりました。

それを店内で冷静に聞きつつ、「もっと良い言葉に変えなくてはいけないなあ」と改めて思いました。

外に出ると、小雨が降り始めています。

参加者の多くは雨具を着て対応しているが、やや疲労している様でした。

私は参加者たちの献身さに感動と感謝をしつつ、そこを離れる事にしました。

母と相談して、「せっかく来たのだから、もう少し見学しよう。首相官邸と議員会館を見にいこう。」と決めました。

そこならば、人はあまり居ないだろうし、一度は生で見ておくのも悪くないなと考えたのです。

そうして向かったのですが、雨は強くなってきたし、着くのに20分くらいかかりそうなので、気持ちが萎えてきました。

歩いていると、ちょうど霞ヶ関駅にさしかかった。

その時、猛烈に帰りたくなりました。

そして、あっさりと計画を変更し、母の了承を得て駅の構内に入っていきました。

いま振り返ると、霞ヶ関の持っている冷たく空疎な雰囲気に耐え続けるのは、私には無理だったようです。

私と霞ヶ関は、水と油の関係であり、そこに居るだけで疲労が蓄積していくのです。
よほど体調を整えていかないと、2時間も居られないと分かりました。

駅に入った頃から、雨で身体が冷えたのとストレスとで、猛烈な下痢に襲われてしまいました。

帰路に3度もトイレにいく羽目になり、1度などトイレが満席で待たなくてはならず、危うく漏れてしまうところでした。

帰りのロマンスカーでは、憔悴しきって寝込んでました。

小田原に着き駅から出ると、デモ行進を終えた人が5~6人ほどで、記念写真を撮っていました。

(地元のデモに参加するのもアリだったな)と思いましたよ。

今回のデモ参加の総評を言うと、参加者の多さには感動しましたが、内容には不満を持ちました。

私は、シールズの最近の活躍をメディアを通して知り、「シュプレヒコール等がおしゃれなものに変わった」と聞いて、とても期待していました。

ところが、現地で聞いたシュプレヒコールは、以前と全く変わっていません。
拍子抜けしましたよ。

歴史的といってほどの大規模なデモに参加してみて、『集まった人々のエネルギーは、2割しか活かされていない』というのが、私の偽りない実感です。

この現状を打破するために、私はシュプレヒコールについて1つの提言をしようと思います。

それは、『8.30国会デモに参加した②』で詳しく論じます。

最後になりますが、今回の国会前のデモについては、デモ側は12万人の参加と言い、警察は3万人の参加と言い、大きな差があります。

私の実感では、7~9万人だと思います。
参加者の総数では、10万人に到達したかもしれません。

私が国会に向かった時の混雑ぶりは、サッカーのトヨタカップ決勝を観に行った時と同じくらいの人の群れ(行列)でした。

つまり、6万人くらいは来ている感じでした。

そうして他にも、日比谷ステージ、4つの宣伝カー・ステージがあって、そこにもそれなりの人が集まっていた。

こう考えると、『最低でも7万人、最高では10万人超えもあり得る』と推測できます。

翌日の新聞を見たら1面には、国会前に大量の人が集まっている姿が、上空から撮られた写真で載っていました。

これを見た読者は、「凄い数だ、でも10万人もいないな」と思ったでしょう。

でも、上記しましたが警察は「もう一杯なので、他の場所に行って下さい」と指示していたし、隣の公園にも大量の人が来ていました。

写真に映っているのは、一部にすぎません。

今回のデモが歴史に残るものだったのは、間違いないです。

それを過小に評価するのは、権力にすり寄る行為と言っていいでしょう。

戦争法案の正体を見抜き、はっきりと「NO」を突きつけている人は、全国のあらゆる場所におり、その数は臨界点を超えていると、実感できました。

この状況で法案を通せば、自公は次の選挙で政権から陥落すると、私は見ています。

(続きはこちらです)


日記 2015年7~9月 目次に戻る