参院選挙の感想と分析
(2016.7.14.)

7月10日に、参議院の選挙がありました。

参議院は6年の任期があり、3年ごとに半数の入れ替え(選挙)が行われます。

今回の選挙は、私にとって意外な結果でしたね。

もっと自民党+公明党が議席を減らすと思っていたし、共産党が伸びると思っていました。

選挙結果は、こうなりました。

自民 55  民進 32  公明 14  

おおさか維新 7  共産 6

社民 1  生活 1  こころ 0  無所属 5

(※選挙直後に、無所属で出た人の1人が自民党に加入し、自民党が56、無所属が4となりました。ややこしいし誠実でない動きなので、以下の文章では上記の数字で語ります。)

今回の選挙については、大手メディアは「改憲勢力が3分の2になった」というのを大きく報じています。

しかし、私が注目したのは『民進党が勢力を盛り返していること』です。

率直に言って、自民党の勢いはかなり落ちていますね。

以前だったら、自民党は民進党の倍以上を獲っていたと思います。
2013年の参院選では、自民党が65議席、民主党は17議席でしたから。

公明党が3議席も伸ばしたのは、驚きです。(2013年は11議席だった)

どう見ても、ここ数年に同党のしてきた事は、信者と教義を裏切るものだからです。

なぜ議席が増えるのか 、理解しづらい。
やはり支持母体の創価学会は、えらそうな事を述べ立てていても、実態は「どんな事にでも従う奴隷たちの集まり」なのだろうか。

共産党は、もっと行けると思っていました。

最も国会論戦で気を吐いていたし、打ち出す政策も国民生活に根ざした弱者目線のものだからです。

いま苦境にある人は、最も頼れるのは共産党なんですけどねー。

6議席という結果は、共産党に入れた私としては、残念きわまりないです。

もっとやってくれないと困る。奮起してほしい。

共産党は2013年は8議席だったので、「失速した」と報じるメディアもあります。
だがその参院選は、それまで政権を担っていた民主党への不満が爆発し、民主党に入れていた人が共産党に流れたのが要素としてありました。

民主党(民進党)が復活してきた中で6議席なのだから、失速したとは思わないけど、まだ国民に長所が浸透していないですね。

安倍首相らが唱える「日本共産党は危険な団体」という話に、いまさら乗る(騙される)人がそうそう居るとは思えません。

とはいえネット上には、このプロパガンダを信じている人が溢れていますね。
「共産党は暴力革命を目指している」とかの、極端な見方をする人がかなり居る。

この人達の意見を見ていると、排他的かつ攻撃的な態度と、固定観念に凝り固まった頭脳を感じ、「冷たい人々だな」と感じてしまう。

期待したほど伸びなかったとはいえ、各選挙区を見ると(私の住む神奈川もそうですが)、次点に共産党候補がいる事が多いです。

落選はしても、共産党は獲得票は増やしている。
徐々に国政の中で確固とした地位を築きつつある、と見ています。

この参院選挙は、実際には「自民党の退潮」を示していると思います。

自民党は、前回(2013年)からは議席を10減らしている。

「改憲勢力で3分の2」とメディアは言うけど、はっきりいって公明党は改憲勢力ではありません。

(もっとも、公明党は利益のためならば信念を簡単に曲げるので、改憲勢力に豹変する可能性はある)

「参院でも自民党は過半数を獲得」ともメディアは報じているが、前回の参院選で大勝したのが影響しているのであって、今回だけを見たら過半数にはほど遠い。

簡単に過半数を獲っていた以前とはぜんぜん状況が違います。

自民党は、もう安心していられる状況ではない。

このことが分からずに、憲法改定などの国民の求める事と乖離した政策を進めるならば、次の衆院選では政権交代もあり得る。

自民党は、もっと国民の声に耳を傾けるべきです。

子供の6人に1人が貧困生活を強いられている状況で、その解決を最優先しないのは、本当に理解しがたい。

自民党およびその支持者たちは、「日本を輝かせる」とか「国力をアップさせる」とか言います。

それをしたいなら、まずまともな食生活すら出来ない子供達を救え!

子供達の環境をこんなにしておいて、将来の日本について明るいビジョンを語る彼らの感覚は、おかしいと思う。

見るたびに「無責任な連中だな」と呆れますね。

自民党は、憲法改定を封印したほうがいいです。

過去にそうしたように、改憲論議は封印した上で、国民生活を良くする事に注力しましょう。

この「大人の判断」を、もう一度選択してほしい。

少し前までは、私は完全に安倍政権を見限っていました。
その頃だったら、「大人の判断を取り戻してほしい」なんて言わなかった。

だが最近になって、少し見直しました。

というのは、私が5月11日の日記で述べた「消費増税と衆参ダブル選挙は、国民が求めていないので実施しないほうがいい」という提案を、採用したからです。

もし消費増税と衆参ダブル選挙をしていたら、もっと自民党は議席を減らしていたでしょう。

安倍政権は、退潮期に入ったからかもしれないが、以前よりも一般国民に目を向けるようになってきたと思う。

だからこそ、ここで言いたい。

『 改憲論議は封印して、国民の求める事を行おう 』

ぶっちゃけた話、国民の求めない改憲を無理にやろうとしても、国民投票で否決されますよ。

そんな不毛なことして時間を無駄にしてほしくない。

今の日本には、もっと大切な問題がたくさんあります。

多くの人が「生活が苦しくなってきている」と感じているし、将来に不安を持っている。

それを解決する事こそ、政治がやらなければならない事です。

野党4党に話を移すと、共闘は確実に成果を挙げましたね。

11もの1人区で勝利し、福島と沖縄で自民党の現職大臣を落選させたのは、まさに共闘があったから。

民進党が復調してきたのは、「共産党らと共闘したこと」と、「市民活動家との結びつきを強めて、政策がリベラルに振れてきた」のが大きいと考えています。

民進党は、自分の力で復活してきたと勘違いしてはいけません。

民進党は、謙虚な姿勢を続ける必要がある。

それをしている限り、上昇傾向は続くと思います。

私としては、自民党と公明党みたいに、民進党と共産党は結びつきを深めてほしい。

民進党は、「政権を獲ったら、共産党と連立政権をつくる」と宣言したほうがいいと考えています。

共産党を疑問視する民進党の政治家がいるが、「特殊な集団」という点では公明党と共産党は大差ないと思うのです。

自民党は、政権を獲るためならば、どんな勢力とも結ぶしたたかさがある。
かつては社会党とすら手を結んだ事がある。

これに対抗するには、共産党との政権を構想する位の度量が必要なんです。

生活の党と社民党は、今回は1議席をとりましたが、そろそろ消えてもおかしくないですね。

この2党は、他党との合併(もしくは他党への合流)を真剣に考える時期にきていると思います。

生活は民進党、社民は共産と合併するのが、政策からみれば自然でしょう。
利害や過去の対立を越えて、実現してほしい。

民進党には、生活の小沢一郎さんを毛嫌いしている人がいる。
野田元首相らのことです。

だが、ライバルの自民党は、一度は離れた鈴木宗男なんかを迎え入れている。

私は、利害得失を計算してかつての敵を迎え入れる自民党のやり方に、違和感を持っています。
だが、その一方ではあの度量の広さに感心もしています。

民進党の岡田党首は、小沢一郎に手を差し伸べて、復党させるべきだと思います。

これをしたら、当然ながら反発する有権者もいる。
だが、私は20年ほど日本の政治を見てきましたが、意外なほど有権者の多くは「仲直り」に寛容なんですよ。

民進党は、「共産党と連立政権をすること」と「生活の党を吸収すること」を決断したら、政権交代を実現できると思います。

流れはすでに、野党4党に来ていると感じています。

この2つを行えば、自民党が少し上で提案した『改憲論議は封印して、国民の求める事を行うこと』をしなければ、次の衆院選で政権交代することは十分に可能だと考えます。

もうすぐ告示される都知事選では、野党4党の共闘が確定し、鳥越さんを立てる事に決まりました。

私はこれを、高く評価していますよ。
こうした共闘を続けていけば、自公に勝利する回数は増えていくでしょう。

他の野党に話を移すと、1議席もとれなかった日本のこころ~は、近いうちに消えると見ています。

基本的に、自民党よりも保守的な政策を唱える党は、短命に終わるのが続いています。

これを見ると、右寄りの保守層は極めて少数なのでしょう。

おおさか維新は、頑張りましたね。7議席も獲るなんて。

私の心には訴えかけないのですが、大阪周辺ではあのメッセージが好まれるようです。

正直、関西に一度も住んだことがないので、なんで「おおさか」と党名に入れるような地域色たっぷりの党が国政選挙でここまで支持されるのか、分からないんですよ。

橋下徹という人物に、私は全く魅力を感じません。
あのキャラを好む大阪気質が、どうも理解しづらい。

おおさか維新は、もっと自民党と対決してほしいですね。

おそらくおおさか維新を支持する人には、「東京人に負けたくない」「東京を倒したい」との気持ちがあるのだと思う。

それだったら、民進党や共産党を批判するよりも、自民党を批判してほしい。

地方分権を唱えながら、中央政府の与党と仲良くする姿勢が、意味不明かつ的外れに見えて仕方ないです。

最後になりますが、参院選前の大手メディアの報道については、心底から失望しました。

私が高く評価している「東京新聞」と「報道ステーション」ですら、低レベルの報道に終始していた。

強い疑問を感じたのは、『安倍政権の3年半についての検証を、ほとんどしていなかった事』です。

選挙前の報道では、まず現政権のしてきた事を1つ1つ検討するのが大前提でしょ。

今までの事を語らず、「憲法改正がこのままだと実現する」とばかり報じるから、有権者は訳が分からないと感じてしまうんですよ。

そもそも、改憲勢力が3分の2をとっても、国民投票で賛成多数にならなければ憲法改定は実現しません。

「自民が大勝したら、憲法が変わる」という訴えは、少々安易すぎました。

権力に媚びない東京新聞などのメディアや野党4党は、今までに安倍政権がしてきた事を、面倒がらずにサボらずに詳しく解説すべきです。

これをしないから、有権者の心に浸透しないのです。

安倍晋三ら権力を握りしめている者達は、有権者を舐めている。

だからこそ、まともな政策論争を選挙戦でしない。

これと同じに、近年の政治の流れをきちんと教えない大手メディアや野党4党も、どこかで有権者を舐めているのだと思う。

報道ステーションは、選挙戦の期間中も、スポーツに大きな時間を割き、海外のテロ事件や国内の殺人事件を最初に報じていた。

国政選挙のある時くらいは、それを最初に持ってきて、スポーツの報道枠は減らせよ。

それ位のことも出来ないのか。

今回の参院選でも、投票率はどの地域もおおむね50%台だった。(全国平均は54.7%)

この低い数字は、大手メディアや政治家が政治の実情をきちんと説明しないのが大きい。

しかしながら、50%台がずっと続いているのを見ると、有権者のうち35%くらいは全く選挙にいっていないのでないだろうか。

「政治や経済の状況がどうであれ、選挙には行かない」と決めている人が、35%くらいを占めている可能性が高い。

それで、行ったり行かなかったりというあまりやる気のない人が、10~15%くらいなのだと思う。

今の日本は、必ず選挙にいく意識の高い人と、選挙の重要性を理解していない人に、2分されている。

私が35%くらい居ると推察する全く選挙に行かない人々は、へたをすると「選挙って必要なんですか?」とか「投票権って、良いものなんですか?」との質問をしてくる。

ぶっちゃけた話、政治や歴史に関する知識は、中学生よりも下です。

投票権を得たばかりの10代の人達ならともかく、20代とか30代とかそれ以上の年齢の人達を相手に、「選挙は必要なものです」との初歩的な話をするのは、けっこうキツイものだと思います。

「投票権って、良いものなんですか?」みたいな初歩的な説明を求める人は、政治にもともと関心が薄いので、誠意をもって説明しても3日で忘れる可能性がある。

こうした事から、大手メディアも政治家の多くも、彼らを無視するのでしょう。

無視したくなる気持ちも分かるのだが、やっぱり無視してはいけない。

それをしたら、メディアとしても政治家としても失格です。

政治報道では(有志の方々の解説でも)、『意識の高い人に向けた、政治の現状の詳細な解説』と、『政治に関心の薄い人に向けた、分かりやすく初歩から教える解説』の、2つを併用する必要があります。

これを行うには、やはり大きい時間枠が必要。

選挙期間中は、一般の新聞とテレビ・ニュースは、スポーツなんて報じなくていいです。
スポーツ新聞とかスポーツ専門チャンネルに任せよう。

そういう気概を見せてくれ。

「スポーツを報じろ」とのクレームが来たら、「国政選挙はとても大切なもので、いまは選挙期間中なのでそれを優先します」と堂々と言ってしまいなさい。


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