サッカー男子代表
W杯最終予選の初戦で負けたが、私に驚きはない
(2016.9.2.)

昨日にサッカー男子代表は、W杯出場をかけた最終予選の初戦となる「対UAE」を行いました。

「最終予選の初戦で負けた場合は、100%W杯出場を逃す」というデータがあり、この試合は日本のホームだったしで、負けてはいけない試合でした。

結果はどうだったか。

日本はやや不利な判定に苦しめられたとはいえ、内容には見るべきものがなく、試合を通じて相手に主導権を握られて、1対2で敗れました。

多くのサッカー・ファンには衝撃の展開だと思いますが、私はこれを予想していました。

「今の男子代表の実力、選手のやる気、監督の力量を考えたら、今予選では敗退する可能性がある」と思っていたからです。

一言でいって、男子代表はザッケローニ監督が退任して以降、成長していません。

アギーレ監督の頃は、ザックが積み上げたものにプラスをする意思が見えました。
だから可能性を多少は感じていたけど、すぐに辞任となった。

その後を継いだハリルホジッチ監督は、過去の遺産を継承する気が全くなく、かといって明確なビジョンもなく、ザックが作ったものを劣化させてきたにすぎません。

この経緯を見る中で、「迷走しているなー」「大きな勘違いを、サッカー協会もハリル監督も選手もしているなー」「各国が強化を進める中で、日本は停滞しているなー」「このままだと日本はW杯出場を逃すかもなー」と思うようになっていました。

だから、昨日のみじめな敗戦を目にしても、特に驚きはなかったです。

むしろ「やはり、こうなったか」と、頷いてしまった。

私は、ハリル監督が就任してしばらくしてから、「この監督は大した事ない」と思いました。

だからこそ、2015年11月9日の日記では「世界トップクラスの監督を招聘し、ハリルを解任しよう」と書いたのです。

私が高く評価していたザックは、日本の文化を学び、日本人の性格を理解しようとし、日本選手が活きるサッカーをしようとした。

ザックには、日本について勉強する意欲があった。

この態度は、ハリルには全くないと思う。

私には、「ハリルにはサッカーの深い知識がない」と確信した出来事がありました。

それは、今年の初夏に行われたユーロ(ヨーロッパ選手権の本大会)の時です。

この大会はWOWOWが放送したのですが、ハリルは特別な解説者として起用され、いくつもの試合を解説したのです。

で、その解説の内容の無さに失望しました。

正直、日本代表監督をしているのに、WOWOWにしょっちゅう出て試合の解説をする時点で、私はかなり引いていましたよ。

「この人、ちゃんと仕事をしているのか?」と不信感を持った。

さらに、もったいぶった偉そうな態度で出てきて、教授が生徒に教えるみたいな感じで試合解説をするのだが、耳を傾けるとほとんど内容がないのです。

ハリルは、見た目は頭が良さそうだが、深い洞察がない。
『見栄えは良いが、開けて食べたらまずいスイカ』みたいな印象を受けましたね。

その一方で、同じく解説者に起用された前なでしこジャパン監督の佐々木さんは、独自の視点に立つ良い解説をしていました。

なでしこジャパンがオリンピック出場を逃した事で、私はかなり彼に腹を立てていたのですが、解説が立派なのでだいぶ怒りが鎮まりました。

『ハリル監督には、選手の才能を見る目も、日本に合う戦術を作り上げる力も無い』と感じています。

彼を解任しないかぎり、現在の状況は改善しないでしょう。

UAEに負けた(重要な試合に負けた)のを理由に、ハリルを解任するのがベストの選択だと思います。

だが、決断力も知恵もない日本サッカー協会には、これが出来ないでしょう。

だから、日本がW杯出場を逃す可能性はけっこうあります。

私は、今の男子代表に希望を持てない。

私が希望を持てないのは、監督が無能だからだけではありません。

『現代表の中心となっている選手のうち、多くの選手に向上心が欠如していること』、これも深刻です。

長谷部、本田、吉田、長友。

この選手たちは、精神的に守りに入っており、向上心を感じません。

彼らは口では色々とかっこ良い事を言うが、最近は自分の立場に満足していて、その地位を守るためにサッカーをしている。

さらに、「これからの代表の中心になる」とメディアや解説者が言う清武も、向上心が欠如していると私は知りました。

具体的に書かないと、読者の皆さんはこの意見に納得しないと思うので、本田と清武について詳しく書きましょう。

まず、本田圭佑です。

彼はACミランに所属していますが、スタメンに定着することはなく、いつまでもピッチとベンチを行ったり来たりしています。

ACミランは名門クラブの1つだから、スタメンに定着できないのは仕方ない部分もある。

それは理解しているけど、問題なのは『本田に危機感がない事』です。

驚く事に、本田はチームでスタメンを獲得できない状況なのに、『サッカークラブの経営者』を始めた。

オーストリアの3部チームを買収し、そこの経営者に収まって、「チャンピオンズリーグに出場させる」と言い出した。

サッカー選手は、一生できる職業ではなく、不安定な職業です。

だから副業を始める者もいるが、大抵は家族に店を持たせたりと、自分はサッカーに集中できる状態を保ちます。

本田の始めた『サッカークラブの経営』は、どうみても選手生活と両立するのが難しい。

本田の話を聞くと、どうもサッカー選手としては限界を感じているらしく、選手として世界一を目指すのは諦め、クラブ経営者として世界一を目指すことに切り替えたらしいのです。

彼ははっきりそう言わないが、ニュアンスとして感じ取れる。

本田の決断は、1人の人間の決断であり、私は良否を言いません。

しかし、サッカー選手として成長する事を重視せず、クラブ経営者の顔がメインになってしまった男は、日本代表には要らない。

もし選手として成長したいと強く思っていたら、まず所属チームでスタメンに定着するのを目指しますよ。

私は、『本田は選手として成長する意思が弱い、もう殆ど無い』と感じています。

私は、本田を日本代表から外す事を、強く求めます。

そもそも、所属チームで安定して試合に出ていない選手を、代表に招集する必要があるだろうか?

次に、清武弘嗣です。

彼は今シーズンから、スペインリーグのセビージャに移籍しました。

サッカー・ファンなら誰でも知っていると思いますが、スペインリーグは世界最高のリーグです。世界で一番レベルが高い。

だから、この移籍を知った時は、そこに挑戦する事を選んだ清武は偉いと思いました。

彼がそれまで所属してドイツのハノーファは、見事に最下位となり2部に降格しています。

だから、「実績を残していないのに、よくセビージャは獲得したな」と、その意味でも感心する移籍だった。

とにかく、清武の移籍に私は注目していました。

だから、「スペイン・リーグが開幕する前に、カップ戦としてセビージャとバルセロナが対戦する。おそらく清武は試合に出る。」と知ると、それを観る事にしたのです。

で、放送されたのを観たのですが、心底から清武に失望しました。

「こいつは駄目だ。この人物を日本代表の中心に据えたら、大変な事になる。」と、寒気まで覚えました。

読者の方は、「どうした、その試合で清武に失望したのか?」と思っているかもしれませんね。

しかし私が失望したのは、試合で見せた清武のパフォーマンスではありません。

この試合の放送はWOWOWが行ったのですが、ハーフタイムに『清武へのインタビュー』の録画を流したのです。

スペイン・リーグに挑戦する清武に対して、その意気込みをWOWOWは取材したかったのでしょう。
移籍の発表があった後にインタビューをとったのです。

そしてそれを、清武がスペイン・デビューしたこの試合に、ハーフタイム枠で流した。
メディアがよく行う、盛り上げるための宣伝を込めた取材ですよね。

普通だと、新たな挑戦をする者に取材する場合、やる気を感じさせてくれる内容になるし、気持ちの良い前向きな話が多く出てくる。
だが、このインタビューはそうじゃなかった。

内容は、こんな感じでした。

質問者

スペインリーグへの移籍、おめでとうございます。

世界最高峰の舞台ですが、どんなお気持ちですか?

清武

正直、スペイン・リーグについて知らないんですよ。

ドイツに移籍した時も、全然わからない状態で行きました。

質問者

スペインリーグについて知らない?

清武

(すでにスペインでプレイしている)乾君に聞いたら、「選手全員が上手い」という事です。

質問者

入団したセビージャは、ヨーロッパ・リーグを三連覇している強豪チームで、清武さんとポジションを争う選手が4人も居ます。

その中には、この間のユーロに出場した選手もいます。

スタメンを獲得するのは大変だと思うのですが、どんな心境ですか?

清武

その4人について、全員知らないので、答えようが無いです。

どんな選手か知らないから、ぜんぜんビビッてません。

……これを目撃した時、私は目が点になり、正に呆然としました。

こんなにおバカな回答を連発するインタビューは、かつて目にした事がありません。

「清武って、信じられないほどのバカだな。サッカーを全然勉強してない。サッカーがチームスポーツだと理解しているかすら怪しい。」

こう思う自分を、抑えることは出来なかった。

繰り返しになるけど、スペイン・リーグは世界一のリーグです。

プロのサッカー選手が、そのリーグをチェックしていないって、それだけでもう駄目でしょ。

ドイツに移籍した時も、そのリーグを知らないままに行ったという事は、彼は普段サッカーを観戦していないのでしょう。

自分が加入するチームについて、事前に情報を入手していないというのも、完全にアウトですよ。

はっきり言って、清武の意識はアマチュアを脱していません。

私はこのインタビューを見終えた時、「清武がスペイン・リーグで成功する事はない」と確信しましたね。

こんな怠惰な気持ちで活躍できるほど、スペイン・リーグは甘くないからです。

それと同時に、「こんなに低い意識でプレイしているのに、世界レベルでそれなりに通用している清武って、ものすごい才能を持っているな。才能だけはメッシと並ぶ位にあるのかもしれない。」とも思いました。

こんなにサッカーに対して不真面目なのに、世界で活躍できる清武って、ある意味すごいよ。

もの凄い才能を有しているが、あまりにサッカーを理解していないので、清武はこれ以上伸びないでしょう。

伸びしろはゼロと見ていいです。

どうでしょうか。

本田と清武に向上心がない事が、理解していただけたと思います。

この状態は、長谷部や長友や川島にも見られます。

この人達は、海外でプレーしている事にあぐらをかき、それだけで日本ではちやほやされるので、調子に乗っている。
謙虚な姿勢や、学ぶ姿勢を、放棄している。

日本のサッカー関係者は、「世界を体験させれば、それだけで選手は大きく成長する」と勘違いしていますね。

そのため、海外に移籍すると、それがオーストリア・リーグだろうがスイス・リーグだろうが、無条件に称賛する。

「世界を経験したら、それだけで伸びる」と皆が思っているから、U-23の選手たちもそう思ってしまっている。

先日にオリンピックで日本代表が惨敗した時も、出場した選手たちは「この経験は無駄にならない」と言う者が多かった。

しかし、冷静になって考えてほしい。

どんな体験も、それを大切にして、そこから学ばなければ意味はない。

日本のオリンピック代表は、世界に全く歯が立たず惨敗しました。

それなのに、キャプテンの遠藤航は「あと少し足りなかった」と言った。

ナイジェリアにボコボコにやられたのに、5対4のスコアだけを見て、FW陣は「攻撃は通用していた」と述べた。

これを見た時、「この人達って、現状認識が全くできていないな」とびっくりしました。

こんなふざけた認識では、世界を経験しても何も学べない。

例えばボクシングで、ボコボコにされて2ラウンドでKOされたのに、「あと少しだった、攻撃は通用していた」と発言したら、「こいつはアホだな」と思うでしょ?

ナイジェリア戦は、ナイジェリアが5対2と大量リードして試合を決めた後に、体力を温存するためにギアを落としたから、日本が2点を入れて5対4まで持って行けたのです。

それなのに攻撃は通用しただと? 

私はオリンピック代表の試合後のコメントを聞いていて、「この選手達は何も学んでいない」と苦々しく思いました。

手倉森監督の態度も、本当に異常だったな。

コロンビア戦で引き分けた直後のインタビューで、笑顔で登場して「今日のサッカー内容は良かった」と言うのを見た時、「なんて馬鹿な奴なんだ」と呆れましたよ。

コロンビアは、次の試合は勝ちぬけの決まっているナイジェリアとの対戦だし、勝ち点で2位につけているから、「ナイジェリアはメンバーを落としてくるだろう、次の試合は勝てる」と考え、日本に対して引き分け狙いのサッカーを、途中からしたのです。

これに対し日本は、勝ち点で負けており、勝たなければいけない試合でした。

引き分けの結果は、コロンビアの狙い通りで、実質的には日本の敗北だったのです。

それなのに、満足の表情を見せる手倉森。
あれは日本サッカー界の無知ぶりを象徴していたな。

ここまで書いてきた事は、どれも日本サッカー界の知的レベルの低さを示しています。

私は、『この知的レベルが変わらない限り、どれだけ選手が海外に移籍しようが、育成にお金をかけようが、日本代表は強くならない』と確信するようになっています。

正直、ハリルホジッチが監督になって以降、代表のサッカーはつまらないし、強くなっていく手応えもないので、観戦意欲が減退しています。

Uー23の若手たちも、上記のようにサッカーを知らない人達ばかりなので、期待できません。

ザックジャパンの頃が、心から懐かしい。

あの頃には希望があった。
階段を昇っているという実感を持てた。

ザックには知性があり、日本サッカー界の知的レベルを上げようとの使命感もあったと思う。

私は、ザックの戦術理論から多くの事を学びましたよ。

私は、日本代表が弱体化してきているのを感じており、すでに昨年8月の日記昨年12月の日記で強化への提言をしています。

「このままじゃマズイ」と危機感を持っていたから、勇気を出して大胆な提言をした。

「ゲームメイカーがいないから、青山を呼ぼう」
「ポストプレイができてないから、豊田を呼ぼう」
「長谷部キャプテンにはマンネリ感があるから、青山をキャプテンにしよう」
「今の日本はウイングに人材が豊富だから、それを活かす戦術をしよう」
こんな提言をしたのです。

で、青山は呼ばれなかったが、ゲームを作れる柏木が呼ばれた。
つい先日には、青山と並んで日本を代表するゲームメイカーの中村憲剛がバックアップメンバーに入った。

だが、柏木も中村もUAE戦には出なかった。

そして、ゲームを作る者がいないので、単調なサッカーになっていた。

ポストプレイについても、豊田は呼ばれなかったが、タイプの似ている金崎が選ばれた。

正直、岡崎は素晴らしいFWだが、ポストプレイは出来ない。
だから金崎に期待していた。

ところが金崎は先日のJリーグの試合で、所属チーム(鹿島)の監督の采配に不満を持ち、殴りかかるんじゃないかと思えるほどの勢いで食ってかかり、それを見たハリルから嫌われてしまった。

そうして、今予選では招集外となった。

金崎が外されたのは妥当だと思うけど、彼の代わりになれる身体を張るFWを入れないといけないでしょ。

ウイングについては、どう見てもウイングに向いていない本田が、右ウイングを任されるのが長く続いている。

そして、スペイン・リーグで結果を出している日本屈指のウイングである乾が、なぜか代表に呼ばれない。

本田は、UAE戦では中央エリアに入ることが多く、ウイングよりもトップ下をしている様だった。

ハリル監督の指示とは思えず、勝手な行動をしている気がしてならない。
本田にすごい戦術眼があればそういう独断もありだが、彼はあまり戦術眼はない。

UAE戦で先発した大島は、まだA代表に入れるレベルじゃないと思っています。

この重要な一戦で、今まで使わなかった大島を先発メンバーに入れるなんて、意味が分からない。

今の日本代表の問題点を指摘していくと、いつまでも終われないほどです。

だからもう終わりにしますが、ハリルホジッチを解任しないかぎり、根本的な解決はなされないと感じています。


日記 2016年7~9月 目次に戻る