女子サッカー③ A代表について②
(2018.1.8&27&31.)

昨年11月から連続して書いてきた女子サッカーを取り上げる日記。年を跨いでしまいましたが3回目の記事です。

前回で予告した通りに、女子代表(なでしこジャパン)をテーマにし、東アジアカップの感想や、私の考えるスタメン構成を書いていきます。

まず昨年12月に行われた『東アジアカップ』の感想からです。

日本は3試合を闘ったのですが、後半になるほど失速しましたね。

最後の対北朝鮮は、出来が悪く負けてしまった。

この大会の初戦(対韓国)では、久しぶりにボランチに宇津木瑠美さんを使ったんです。

私は前回の記事で指摘したとおり、ここしばらくボランチで使われてきた中里優さんの技量をあまり評価してません。
彼女の存在がなでしこジャパンの低調さの主因とまで見てました。

だから、中里を変えて宇津木をスタメン起用したのを目撃し、「おっ、期待できそうだ」と感じました。

試合が始まってみると、久しぶりに安定感・安心感のある内容で、「そうそう、これ位はやってくれないとね。代表なんだから。」と嬉しくなった。

ボランチは攻守の要だから、そこのプレイが良質だとチーム全体に充実感が出ます。

阪口+宇津木のコンビは、阪口+中里の2倍くらい良いね。

初戦で勝ち、チームも久しぶりに機能してる感じで、「良い流れになってるじゃないか」と思いました。

ところが!

すごく良いコンビネーションを見せていたのに、第2戦(対中国)で宇津木を外して、今度は猶本光を起用しました。

猶本さんは悪くないけど、代表のスタメンを張れるレベルじゃないです。
ていうか、宇津木がとても良かったのに、なんで外すの?

アンカーで起用された隅田凛さんも、代表に入れていいレベルにないと思います。

中国の出来が良くなかったから勝てたけど、以前の強さの中国相手だったら負けてたと思います。
日本はチグハグなプレイが多かったから。

そして第3戦(対北朝鮮)では、今度は宇津木が起用されたけど、なんと左サイドバックでの出場でした。

いや~、見てて辛くなったよ。
とても活躍した選手が、そのポジションから外されて、別のポジションで出されるなんて。
見方によったら苛めですね、あれは。

なんか悲しそうだったもの、宇津木瑠美さん。

ボランチは阪口+隅田が起用されたけど、やはり隅田の出来はいまいちでした。

よく分からないな、勝つ気がないのかな、高倉監督には。

右サイドバックには高木ひかりさんが使われたけど、あの選手はボランチかセンターバックの方が良いのは明らかじゃない。
正直、ボランチでなら隅田より良いし。

大会を通じて謎だったのは、『鮫島彩をセンターバックで使い続けたこと』です。

左サイドバックで出せば世界トップクラスなのに、なんでそこで使わないのかな。

鮫ちゃんのこと嫌いだから苛めてるの?

たぶん誰も言ってくれないだろうから私が言うけど、こんな起用を続けてたら選手から信用を失いチームが崩壊するよ、高倉さん。

私の見るところ、もうすでに崩壊しかかってる気がするな。
ここで修正しないと終わりだと思います。

振り返ってみると、永里・姉(旧大儀見)もCFで凄い実績を挙げてきたのに、高倉体制になってすぐに左サイドで使われたよね。

あれもホント意味分からなかった。

鮫島も永里・姉も、W杯やオリンピックで優勝や準優勝したメンバーだよ。
世界最高レベルの選手です。

そういう選手に別のポジションを当てるのって、本来ならもの凄い覚悟や理由があるはずです。
でないと納得しないでしょ、みんな。

だが高倉さんからは、そういう重い決断をしている自覚を見てとれないのです。

佐々木則夫・監督の頃から、別のポジションにコンバートする事は行われていました。
だけど、佐々木さんがやるのにはそれなりの説得力があったよ。

例えば上尾野辺めぐみを左サイドバックで使ったけど、彼女が一番得意なのは攻撃的なポジションでトップ下とかでした。
でもそのポジションには宮間や阪口というそれ以上の能力を持つ選手がいました。

宮間や阪口には負けるけど、上尾野辺の能力は素晴らしい。試合に出したい。
だから最適性ではないポジションだけど使う。

この起用法は分かります。
最高のタレントをピッチに揃えるというのは、一つの理想だから。

これと、高倉監督のしている事は、違います。

だって、鮫島より良い左サイドバックって今の日本にいる?
川村が負傷離脱している今、宇津木よりも安定感のあるボランチっているの?

彼女達がそのポジションで日本一なのに、なんでコンバートするのよ。

東アジアカップでのなでしこジャパンは、出だしは良かったのに、高倉監督の迷走采配でめちゃくちゃになった。

私はそう見てます。

おかしな采配で収穫の少なかった大会でしたが、私が唯一「これは嬉しい出来事だ」と感じた事があります。

それは、『岩渕真奈の成長』です。

これには驚きました。

岩渕さんは、佐々木監督時代からスタメンで起用されていたし、10代の頃から代表で活躍してきた選手で、高評価する人が多いです。

だが私は、「攻守に色々と動き回り、ドリブルも多くするけど、あまり有効なプレイになってない。無駄なプレイが多い。」と感じてました。

だから私の記事では、なでしこジャパンのFWのスタメンで使ってほしい選手として、彼女の名を挙げたことは一度もなかったと思います。

ところが今回は、左サイドMFでの出場だったが、攻守両面でとても機能していました。

見ていて、「ああ、岩渕のやりたい事が初めて理解できた」と、彼女と理解し合い友達になったような感覚になりました。

ありきたりな言葉でいうと、「戦術眼が上がった」とか「ポジショニングや味方選手との連係力が上がった」という事なのでしょう。

私としては、見栄えの良くない汚らしい姿のさなぎだったのが、脱皮して美しい蝶になった様な、大変身に感じられました。

岩渕さんって、顔立ちが整ってるからマスコミ主導で「美しいプレイをする知的で可愛い選手」とのイメージが流布されてます。
でも私の印象では、根性論で頭が固まった、ボールだけ見てそれをとにかく追いかける、ハンターに使役されて兎を追いかける犬みたいなイメージでした。

阪口とか川澄奈穂美といった頭脳的なプレイヤーの対極に位置する、垢抜けないダサイ選手。
そう認識してました。

今回のプレイは、ダサくなかった。

頭を使っているし、ピッチを広く見てそれを基に判断していました。

好印象だったし、目立ってもいたよ。

今までの岩渕さんって、「得点を決めたい」との想いが強すぎたのだと思います。

だからボールとゴールばかり見ている印象で、周りの選手との絡みをしてもチグハグだったし、しょっちゅう空回りしてました。
かつての永里姉妹もそういう所あったなあ。姉はそれを克服し、妹は引退したが。

そのやり方で点が取れるだけの圧倒的な才能があれば良いけど、岩渕さんは結局あまり取れてなかったから。

さあ、そろそろ話を進めましょう。

この記事の本題は『私の考えるなでしこジャパンのスタメン構成』なのですが、その前に年末にあった『皇后杯』に少し触れさせて下さい。

というのも、祝福すべき特別な出来事があったのです。

なんと、『清家貴子が怪我から復帰』してました!

私は、清家さんがなでしこリーグにデビューした当初から大注目しており、まだなでしこジャパンに選ばれた事のない選手にも関わらず「日本で最高の選手の1人」と書いてきました。

そんな選手なのに、大怪我をして1年以上も試合から遠ざかっていたのです。

「あんな素晴らしい才能が…。もう戻って来ないのだろうか……」と、少し涙目になって心配してたのですが、皇后杯の準決勝を観戦したところ、途中出場ではありましたが、元気な姿を見せてくれました。

さらに! 彼女は芸術的なドリブルを見せて、得点まで決めてくれました!

嬉しかったよ。
抱きしめてキスしたいくらいでした。

怪我する前に比べて、顔つきが精悍になり大人っぽくなってたなあ。
身体は少し太めに思ったが、フィジカル・トレーニングして太くなったのかもしれない。

久しぶりにプレイを見たけど、やはり特別・格別でした。

一つ一つのプレイにセンスの良さを感じるんだよねー。
他の選手が見えてない事まで感じ取れてるというか、他の選手たちよりも数手先まで読めてるというか。

こればっかりは教えてどうなるものじゃない。嗅覚とか閃きの領域の能力だから。

清家さんは浦和レッズに所属していて、この試合の相手は現在最強の日テレ・ベレーザでした。

残念ながら1対2で負けてしまったが、私の目は後半始めから出てきた清家貴子に釘づけでしたよ。

右サイドハーフという、彼女にとってはベストといえないポジション(私はベストはCFだと思ってます)だったのですが、攻撃時は輝きまくってた。

彼女の得点シーンは、「今年見た女子サッカーの得点シーンで、最も美しいものだ」と思ったほどに、完璧でしたね。

後半も終わりに近づいていた時間帯に、ベレーザのペナルティ・エリアの少し外(バイタル・エリア)でこぼれ球を拾った清家選手。

そこから寄せてくる相手選手たちをかわしつつドリブルでペナルティ・エリア内に侵入し、最後はスライディングぎみに完璧なシュートを決めました。

個人技で強引に決めた得点ですが、普通の日本女子選手だとドルブルの途中で相手に寄せられると体勢(身体の軸)が崩れて、倒れてしまったり、シュートが枠を外れたり弱くなってしまうんですよ。

そうならない彼女のプレイは、男子に近いものを感じるんですよねー。
「規格外」と思わされる。

素晴らしく美しい得点なので、興味の湧く方はネットで検索して見てほしいです。

たぶん「皇后杯準決勝 日テレ対浦和 ダイジェスト」で検索すれば出ると思います。

ドリブルしていくコース、寄せてくる相手に対する腕を使ってのガードの仕方、ドリブル中のボールの置く位置、シュート・コースの作り方、作ったコースに正確に打ち込むシュート技術と、どれもが一級品です。

難しい動きの連続を、流れるように美しく素早く行い、簡単にやってしまうんですよね、この選手は。

ちなみに、前回の記事(昨年末の記事)で大絶賛して、私が代表入りを強く求めているベレーザの才能豊かなDF清水梨紗。

彼女は、清家がドリブルを始めると危険をいち早く察知して立ち塞がったのですが、逆をとられて見事に抜き去られてます^^

あまりにあっさり抜き去られているので、よーく見ないと空気みたいで気付かないほど。

でも梨紗が駄目なのではない、貴子が凄すぎるのである。

復帰してすぐにあれほどのゴールが決められる清家貴子、やっぱ天才だわ。

コンディションが上がってきたら、リーグで大活躍するだろうし、代表入りしてスタメンに入るなあ。

この得点シーン、感動して何度もリプレイしていたら気付いたのですが、FWの菅澤優衣香さんが地味ながら良い仕事をしてます。

自分をマークしていた岩清水梓に身体を当ててブロックし、岩清水が清家を止めに行けないようにしてます。

菅澤さんは、最近こういう献身的なプレイが増え成熟してきましたね。ポストプレイもかなり上達しました。
以前はもっと得点にこだわり、自分が自分がと焦ってました。岩渕さんと同じ症状だったのです。

浦和レッズは、菅澤と安藤梢を獲得したことで、攻撃力はかなり上がりましたね。
清家が復帰した今では、リーグトップクラスとなりました。

だが、もともと弱点だった守備力は未だにあまり上達せずです。

DFでは私も期待している乗松瑠華が負傷離脱しているので、彼女が戻れば多少は変わるかもしれません。
前から思ってるのですが、CBが弱いです。
あと左SBの北川ひかるが集中力を欠いて大ミスをする事があります。

GKの池田咲紀子は良いので、DF陣が頑張ればリーグ優勝も狙えるのですけど。

MFでは、柴田華絵を前から高く評価しています。

皇后杯の準決勝では、彼女は途中からボランチにポジションを変えたのですが、良かったです。
柴田さんは、サイドに置くよりも中央に置いたほうがいいね。

私がなでしこリーグを見始めて少ししてから書いた記事(もう数年前のことになります)では、「リーグで最高の選手は、川村、清家、阪口、柴田、澤の5人だ」と指摘しました。

澤は引退し川村は負傷中だけど、清家、阪口、柴田は今も輝いてますね。

考えてみると、この指摘をした時も、柴田は(猶本が負傷離脱してたので)ボランチをしてました。
身体が細いからサイドに置くほうが良さそうに思えるけど、サイドにいると輝かないんだよなあ。

今の時点で言うと、リーグで最高の才能を持つ選手には、ベレーザの清水梨紗と植木理子も加わります。

この2人も輝きを放ってる。

植木さんは若さに任せて強引なプレイをしているから、怪我しないかが心配です。
身体が細いのにガツガツいくから、見ててひやひやする。

浦和レッズに話を戻すと、GKの池田咲紀子は代表入りしたし、そこで自信を付けたらしくさらに良くなってます。

私、だいぶ前に「浦和のGKが、男子の西川選手みたいに柔らかい動きが出来てかなり良い」と書いてたんですよ。

その後、高倉監督になったら池田さんは代表入りし、スタメンでも出場しています。

「俺って、才能を見抜く目があるな~」と、彼女の活躍を見るたびに鼻高々です。

浦和は、才能のある選手がかなりいるんです。

猶本光がチームの中心みたくマスコミは報じるが、私に言わせると猶本よりも良い選手が何人もいるチームです。

FWやMFで出場していた後藤三知も、下手だけど頑張り屋でチームに尽くすので、けっこう好きだし猶本よりも良かったです。
最近見ないなと思ってたが、調べたらスペインのレアル・ソシエダに移籍してました。

良い機会なので、猶本さんについて書きましょうか。

この方は、顔立ちが綺麗なので大手メディアが贔屓してきたが、冷静な評価が殆どない選手でもあります。

大手メディアやサッカー解説者が一様に語るのは、「パスセンスの良い攻撃力のある選手」との褒め文句。
でも、私はそうは思わないんですよ。

猶本さんは、フリーの状態でボールを持つと、広い視野で良いパスを出します。

でもさ、ある程度以上の選手ならそれは出来て当たり前じゃない。

日本のボランチの頂点にいる阪口夢穂は、相手に厳しく寄せられている状態でも広い視野を維持し、正確なパスを出せます。
だが猶本は、厳しい寄せをうけると極端に視野が狭まり、パスが大きく乱れてしまうのです。

浦和レッズの試合を見れば分かるけど、猶本さんはパスミスが多い。

苦し紛れで味方選手の全くいない所に蹴ってしまい、会場全体が「何これ、どうしたの?」みたいな寒い空気になる事すら、数試合に一度はあります。

そんな選手を「攻撃力がある」とは、私には到底言えません。

その一方で、顔立ちから「似合わない」と思われて大手メディアからは無視されてるっぽいのですが、この選手は守備で泥臭く頑張れるところがあります。

危機察知力が無いのかサッカー・センスが無いのか、守備の大事な場面に顔を出す事は少ないのですが、いつもサボらずに献身的に働きます。

私として、「攻撃よりも守備を磨いていった方が大成するんじゃないか」と思うんですけどねー。

かつてフランス代表で活躍したマケレレみたいな、目立たないけど役に立つ守備職人のほうが、彼女の性格(真面目で地味で不器用な性格)に合ってると思います。

今の浦和には清家というスーパーな攻撃センスを持つ人がいるのだから、攻撃はそっちに任せればいい。

柴田も、猶本よりも攻撃センスあるよ。

正直なところ、柴田が猶本くらいに太くて逞しい身体を持ってたら、なでしこジャパンのスタメンで活躍していると思います。

えー、浦和の選手たちについて書いてたら、長文になってしまいました。

なので『私の考えるなでしこジャパンのスタメン構成』は、次回に持ち越すことにします。

女子サッカーの記事は、連続2回の予定でしたが、なんと4回ものになっちゃいますよ。
自分でもびっくり。

なお、皇后杯の決勝戦(ベレーザ対ノジマステラ)も観戦したのですが、実力差がありすぎてつまらなかったです。
100%ベレーザが勝つと思ってたけど、ノジマステラにはもう少し頑張ってもらいたかったな。

準決勝のベレーザ対レッズが、事実上の決勝でしたね。


日記 2018年1~3月 目次に戻る