なでしこジャパン W杯の2戦目を観て
(2019.6.16~17.)

一昨日になでしこジャパンのW杯2戦目となる、対スコットランド戦が行われました。

初戦で引き分けていたので、どうなるかと心配していましたが、2対1で勝ちましたね。

この試合、なでしこジャパンのサッカーはかなり良かったです。

一番良かったのは、4バックのラインコントロールで、高い位置を保っており、何度もオフサイドを取れていました。

4バックとボランチの連係も良くて、それもラインを高く保てた理由だと思います。

ラインを高く設定する事で、FWからDFまでの全体の陣形がコンパクトになり、日本の得意とする足元の上手さを活かした、細かくパスを繋ぐサッカーが出来ていました。

日本に有利な展開に持ちこめたので、攻守両面で相手を圧倒し、前半で2点を獲ることができました。

後半に入ると相手が点を獲りに来て、押し込まれる時間が増えましたが、なでしこはお互いをカバーし合う守備を粘り強く行い、危ない場面はあまりなかったです。

試合終了間際にCBの市瀬菜々さんの不用意なバックパスから、失点してしまいましたが、それでも完勝といってよい内容でした。

試合を観ていて「かなりチームが仕上がってきたじゃないか」と思いましたよ。

前回の記事で指摘しましたが、初戦では何人かの選手が冷静さを失っていて、結果的にチームプレイがあまり出来ていませんでした。
この試合では全員が落ち着いてプレイしており、一体感があって、なでしこらしい連係が随所に見られました。

初戦で最も舞い上がっていた横山久美さんと長谷川唯さんをスタメンから外したのは、大正解だったと思います。

CBも南萌華さんから市瀬菜々さんに替わりましたが、菜々さんは上記した失点に繋がる大ミスはしてしまったけど、それ以外は素晴らしい働きをしていました。

初戦では、ピッチ上の選手たちだけでなく、解説の澤穂希さんまで異常なテンションでおかしかったです。

声が常に上ずっていたし、アナウンサーが問いかけても返事がすぐに返せないなど、解説にならない状態でした。

たぶん多くの人が(私もそうだったのですが)、今回のなでしこジャパンに不安なものを感じていたのだと思います。

初出場の選手が多いし、最近の戦績はいまいちだし、チームの仕上がりも悪いしで、「やっべえぞ、このままじゃあ」と口には出さないでも思っていて、皆に焦りがあったのでしょう。

多くのサッカーファンが、スコットランド戦の勝利でほっと胸を撫でおろしているはず。

これで次のイングランド戦では引き分けでも、決勝トーナメントに進めるからね。

イングランドに勝てば、グループリーグの1位抜けもできます。
決勝トーナメントの組み合わせを考えると、やはり1位で抜けたいところです。

1位抜けだと多分、準決勝で最強のアメリカと当たるけど、それは仕方ないです。

スコットランド戦でのなでしこジャパンは、パスの繋ぎ方、守備時のボールホルダーの囲み方が、日テレ・ベレーザを彷彿とさせました。

私は「ベレーザがしている素晴らしいサッカーを日本代表に導入しよう」と提案してましたが、それが実現した感があり、嬉しかったですね。

高倉麻子監督になってからは、サッカーの形が見えず、それが弱点になっていると思っていました。

選手達に共通理解がない感があり、皆がフラフラしているというか、確信を持てずにプレイしている状態でした。

だからベレーザのサッカーを取り入れるのが良いと思ったのです。

今の代表にはベレーザの選手が多いし、ベレーザ以外の選手も対戦する時に(ベレーザは絶対王者なので)綿密に研究・分析するだろうから、そのサッカーを熟知していると考えました。

選手達が「あのサッカーは、こうだ」としっかりイメージできるので、それを共通理解の基盤にすれば、チームに芯ができます。

選手達に共通のイメージが湧けば、質の高い才能ある選手が揃っているので、一気にチームが仕上がるかもと思いました。

実際にスコットランド戦の出来は良かったので、この路線で進めばいいんじゃないかな。

なでしこジャパンに一体感が出てきたし、ここから先は温かく見守る事に専念しようと思います。

このところなでしこの記事ばかり書いてきたので、そろそろ他の記事を書きたいのです。

グループリーグを突破できれば、その先で負けてもそれほど批判を食らわないでしょう。

前回の日記に書いたけど、今回のなでしこジャパンは20代前半の女性ばかりのチームなので、私はどんな成績で終わっても怒る気はないです。

ただし負けた時に、「今回のチームは若手中心だったから負けても仕方なかった、次の大会が期待できる」という論調だけは勘弁してくれ。

それをやられたら怒ってしまうので。

今回のメンバーのうち、20代前半や10代の選手には、「次のW杯や、その次のW杯にも出られるだろう」と思っている人がいるかもしれません。

選手の中には「将来のエース候補」とかマスメディアに持ち上げられている者もいるからね。

でも冷静に考えてほしい。
4年後に自分が怪我をしていたり、そもそも日本がW杯出場権を逃していたり、同じポジションに強力なライバルが現われて絶対的な存在になっている、といった可能性は十分にあります。

確率的に考えて、W杯に自分が出られる事は、奇跡的な事なのです。

だから、20代前半だろうが10代だろうが、最初で最後のW杯出場なのだと考えてほしい。

その上で、悔いの残らないように全力で味わってほしい。

負けた時に、「この経験を次の大会に活かしたい」と言う選手がたまに居ます。

あれが嫌いなんですよね。

1年ごとに開かれる大会ならまだしも、W杯みたいな4年ごとの大会でこれを言われると「この人、どれだけ驕っているんだ!」と腹が立ってしまいます。

「この経験を次の大会に活かしたい」、この言葉って、自分が4年後の大会に出られる前提で話していますが、あまりに周りをバカにしていますよ。

私からすると、他の選手や他の国が努力する事を無視している発言にしか思えないです。

なので、この発言されると、発言者の年齢に関係なく「ふざけんな、この野郎!」と思っちゃうんですよ。

なでしこに限らず、数年に1回の大きな大会を終えた選手には、「2度と経験できないほどの貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました」と言ってもらいたいです。

その上で、再び出場したい選手は「もう1度出場できるように、努力を続けていきます」と言えばいい。

次も出られる前提で「次はどうたらこうたら」と話すのは、格好悪いし、逆に惨めに見えるので、やめたほうがいいです。

「4年後に向けた言葉を聞かせて下さい」と、マイクを向けて質問するメディア人も、押しつけがましいし、知的レベルが低く見えるので、やめて下さい。

この質問に対し、「4年後のことなんて分かりませんよ」と怒った様子で返事する選手もいるけど、この応じ方のほうがむしろ正直で誠実だと思います。


日記 2019年4~6月 目次に戻る