なでしこジャパンがリオ五輪出場を逃した
敗因の分析①

(スポーツ報知WEB 2016年3月8日と3月9日の記事から抜粋)

なでしこジャパンは、リオ五輪の最終予選で負け、4大会ぶりに五輪出場を逃した。

世界の頂点を争ってきたチームが、なぜアジア最終予選で敗れたのか。

「代表に行かなくてもいいですか?」

ある若手選手は、所属クラブのスタッフにこう訴えた。

1人の選手に限った話ではない。「ボールが来ない」と嘆く選手もいた。

最終予選では、日本選手の平均年齢は27.1歳だった。

佐々木監督は「プレッシャーのかかる予選なので、経験のある選手を選んだ。経験値を活かしてもらいたい」と話していたが、(結果は出ず目論見は)裏目に出た。

2012年のU-20W杯では、日本は3位に入っている。

才能ある若手はいるが、なでしこジャパンに定着していない。

背景には、ドイツW杯組の強すぎる結束があった。

世界一に上りつめた戦友だけが持つ、独特の一体感。

若手は戦術になじむのに苦労するばかりではなく、ミーティングやロッカー室での会話や、宿舎での生活でも疎外感を味わった。

持ち味を出せずに終わり、代表活動後に精神的なスランプに陥る選手もいた。

若手に疎外感を押しのける個性や実力がなかったのも無視できないが、なでしこジャパンは同じ顔ぶれが続いて相手チームに研究された。

3月7日のベトナム戦で勝利した後、佐々木監督はアジア最終予選で敗れたことについて、こう語った。

「実戦的な試合がもう少し必要だった。オーストラリアや中国は、連戦で試合をやってきた。準備について反省している。」

昨年のカナダW杯後にも、キャプテンの宮間は「もう少し一緒にすごす時間があったり、試合をこなせていれば(優勝できたかも)」と訴えている。

だが、主力がW杯後に経験した試合は、11月のオランダ遠征のみ。
それも、2試合を組める日程なのに、1試合のみだった。

最終予選前の壮行試合も実現しなかった。

開催地の大阪に入るまでに、日本は2度の合宿をしたが、9日+7日だけだ。

オーストラリアは、4週間に及ぶ長期合宿を行っていた。

鮫島は、「合宿ではずっと紅白戦をしたが、対策の範囲が狭かったのかな」と反省する。

今予選は日本開催で、地の利はあったが、「勝って当然」という空気は重圧になった。

観戦したある指導者は、「日本は判断が遅い。チームの意思統一ができていない。練習で何をやっていたのか。」と首をかしげていた。

(サッカーキングWEB 2016年3月8日の記事から抜粋)

リオ五輪出場を逃したなでしこジャパン。

キャプテンの宮間あやは、「今までは正直、何かに守られているのかなと思う位だった。『これは入らないだろう』という得点が入ったり、逆に『絶対に入った』というシュートで失点しなかったりしていた。」と回想する。

五輪をかけた最終予選で敗退が決まった後、JFAの野田朱美・女子委員長は「他国のレベルの進歩が著しかった。ビルドアップやボールポゼッションといった、自分たちのストロングポイントを消されてしまった。」と語った。

ライバルたちは、日本をしっかりと分析し、対策を講じていた。

今予選でなでしこジャパンは、2月29日の初戦・対オーストラリアで、完敗した。

DF熊谷は、「試合への入り方が良くなかった」と反省を口にする。

前線からプレスをかけてきた相手にペースを乱され、ビルドアップでパスミスを連発。
25分には、警戒していたクロスボールから先制点を許した。

41分には、主審にボールが当たるアンラッキーな形から、2失点目を喫した。

試合後にFW大儀見は、「少しナーバスになっていた。リスクを冒してサポートに行けるか、ボール保持者を追い越していけるかがカギになる。もっとリスクを冒さないと得点を奪うのは難しい。」と指摘した。

日本は陣形が間延びして、選手間の距離が開き苦戦した。

オーストラリアのスタジッチ監督は、「相手の良さを消すのに集中していた」と振り返る。

日本は相手の術中にはまり、1-3で敗れた。

中1日で迎えた第2戦・対韓国では、日本は見違える動きを見せた。

初戦の4-4-2から、宮間をトップ下に据えた4-2-3-1に変更し、「1人1人の距離が近くなった」(大儀見)と、選手間の距離が改善した。

前半はボールポゼッション率を高めて試合を支配したが、ゴール前での精度を欠き得点できず。
後半に運動量が落ちると、押し込まれる場面が増えた。

それでも、70分にPKをGK福元が止めると、87分に岩渕が先制点をとった。

だが、福元と熊谷の連携ミスから失点し、1-1で引き分けた。

再び中1日で迎えた、第3戦の対中国。

熊谷は「チームとしてこの試合に懸けていた」と言うが、佐々木監督は機能していた4-2-3-1から、再び4-4-2に戻した。

そして、「2トップの大儀見と横山に向けて、ロングボールを多用しろ」と指示を出した。

選手たちはその指示を徹底できず、立ち上がりから不安定なプレーを連発する。

そして14分に、自陣でのパスミスから先制点を許した。

大儀見は、「監督がそういう判断をしたのだから、選手は従うべき。でも、前半の立ち上がりは徹底できなかった。まだまだプロフェッショナルでない部分かなと思う。」と振り返る。

ロングボールを多用する意図について、大儀見はこう説明した。

「その方がチャンスになりやすかった。短くパスを繋いでも効果的でないとなると、ロングボールを前線に入れてこぼれ球を拾う形のほうがゴールする確率が高いから。」

少ない手数でゴールに迫る考えは理解できるが、それは日本の持ち味を捨てる手でもあった。

選手間の距離は開き、オーストラリア戦と同じ苦境になってしまった。

中国のビニ監督は試合後に、「フィジカル・プレーに集中しろと選手に伝えていた」と話している。

体格で優る中国に、日本はロングボール主体の攻撃で挑み、球際の勝負に出てしまった。
中国にとっては願ってもない展開だったろう。

結果が出ない中で、焦った佐々木監督は安直な手法に傾斜してしまった。

日本は1-2で敗れ、4大会ぶりの予選敗退が決まった。

いま振り返れば、大会前に親善試合を組んで実戦に慣れておくことは出来なかったのか。

上田栄治・副女子委員長は、「インターナショナル・マッチデーに試合を組むのは難しかった。現場からの要望もなかった」と話すが、今後に向けた検討材料だ。

自国開催だったのも、マイナスに作用した面がある。

さらに、対戦相手のスカウティングは十分に機能していたのか。

熊谷は、「追われる(研究される)立場である事を理解して準備しないと、勝ち続けるのは難しい。それを痛感した」と話す。

○ 村本のコメント

相手に研究されたのも確かに大きかったと思います。

でも最大の敗因は、『調子の良し悪しをメンバー選考の基準にしなかったこと』だと思う。

この最終予選のなでしこジャパンには、調子の上がらない選手と、怪我を抱えた選手が含まれていた。

佐々木監督は、選手のコンディションを全く考慮せず、連係とか戦術理解度に頼る人選(愛弟子に頼る人選)をした。
これが最大の敗因だと考えます。

このことについては、当時の日記にも色々と書いているので、興味のある方は読んでみて下さい。

W杯で2位になったチームがオリンピック出場を逃したため、マスコミは大騒ぎになった。

だが、アジアには強いチームが日本を含めて常に数チームいる。

出場枠が2つなのだから、出られない可能性は考えておかなければならないですよ。

敗因とされた事の中で、私が納得できないのは、「自国開催がプレッシャーになり、マイナスに働いた」という話。

どのスポーツも、ホームでやれば圧倒的に有利です。それは常識中の常識。

これをサッカー関係者が口にするのを聞いた時、「自国開催を負けた言い訳にするなんて、最低だな」と呆れましたね。

(2016年10月28日に作成)


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