(『タックスヘイブンの闇』から抜粋)
2007年にインドに対する投資額で1位だったのは、モーリシャスだった。(全体の43%)
モーリシャスは、長い間イギリスの植民地だった国で、今日でもシティ・オブ・ロンドンと繋がっている。
1989年にオフショア・センターを設立し、今ではオフショアの雄になっている。
この国は、イギリス連邦の一員で、最終審の裁判所はロンドンの枢密院である。
2006~08年にモーリシャスで働いたルドルフ・エルマーは、こう語る。
「ジャージーとマン島でモーリシャス用の研修を受けてから、派遣された。
イギリスの大手銀行が、首都ポートルイスの南部に巨大な事業所を持っている。
2000年代に入ってから、こうした事業所が急増している。
シティ・オブ・ロンドンの投資会社は、資金調達のためにモーリシャスを通じて取引をする。
モーリシャスは、多くの国と(無税に近い)租税条約を結んでいる。」
モーリシャスは、投資の通路(タックスヘイブン)になっているだけではなく、『ラウンド・トリッピング』と呼ばれるマネー・ロンダリングの場にもなっている。
インドからカネがモーリシャスに送られると、そのカネは包装し直されて、インドに送り返される。
これにより、インドでの課税を逃れつつ、身元を隠しながらインドで投資できる。
この手法により、『互いに競争しているいくつもの企業が、実は同じ企業に支配されている』という状態を生み出せる。
そして、タックスヘイブンの守秘性を利用しつつ市場を独占し、高価格な料金設定をする。
(2016年5月11日に作成)