(『タックスヘイブンの闇』から抜粋)
イギリス圏のタックスヘイブンは、世界全体の半分を占めており、3つの層で構成されている。
① イギリス王室の属領
ジャージー、ガーンジー、マン島
② 海外領土
ケイマン諸島、ジブラルタル、ヴァージン諸島、バミューダ、タークス・カイコス諸島 など
③ シティ・オブ・ロンドンと強いつながりのある場所
香港、シンガポール、バハマ、ドバイ、アイルランド、モーリシャスなど
①~③を総合すると、世界の国際銀行資産の半分近くになる。
これらの場所は、シティ・オブ・ロンドンと繋がっており、マネー・ロンダリングのネットワークを構築している。
アメリカの雑誌『タックス・アナリスツ』は、2007年に「王室属領の脱税資産は、控えめに見ても1兆ドルだ」と報告している。
王室属領は、ヨーロッパに照準を合わせている。
海外領土のうち、カリブ海地域のメンバーは、アメリカに照準を合わせている。
14ある海外領土は、イギリスと緊密な関係にあり、最も権力を持っているのはイギリス女王に任命される総督である。
ケイマン諸島の場合、総督は内閣を統轄し、警視総監・会計検査院長・法務長官・裁判官を任命している。
イギリスの情報機関であるMI6は、この地で活発に活動している。
ケイマン諸島は、世界第5位の金融センターで、8万社が登記している。
世界のヘッジファンドの4分の3が支店を置いていて、1.9兆ドルの預金がある。
エヴァ・ジョリは、「これらのタックスヘイブンは、現代版の植民地主義なのだ」と説く。
中国への海外投資の多くは、イギリス領ヴァージン諸島を経由している。
インドへの海外投資の40%以上は、モーリシャスを経由している。
(モーリシャスは、イギリス連邦の加盟国である。
wikiによると、モーリシャスの会社がインドで上げた収益への課税は、免除(無税)になっている。
そのため、海外からのインド投資の44%がモーリシャス経由となっている。)
モーリシャスは、中国からアフリカへの投資の経由地にもなっている。
規制緩和をして経済を解放する国が増えるほど、より多くのマネーがこの脱税ネットワークに入っていった。
ロンドンでのユーロダラー誕生から始まったオフショアの発展は、「イギリス本島に近い王室属領」→「カリブ海の海外領土」→「香港などのアジア」と広がってきた。
(2014.3.8.)