日本人が10人殺害された、2013年1月のテロ事件の内幕

(毎日新聞2013年1月の記事から)

アルジェリアの天然ガス施設で、1月16日に「日揮の従業員」ら数十人の外国人が、イスラム武装勢力に拘束された。

17日にアルジェリア軍は攻撃をし、人質35人ほどが死亡した。

武装勢力はプラント施設に立てこもり、「政府軍が攻撃した場合は、人質を殺す」と警告していた。

犯行をした『イスラム聖戦士血盟団』は、「仲間の釈放」と「アルジェリア政府が、マリへのフランスの軍事介入に協力しないこと」を要求していた。

アルジェリア政府は、交渉しない姿勢を示していた。

『イスラム聖戦士血盟団』は、200~300人の構成で、リーダーのモフタール・ベルモフタールはアルカイダの北アフリカ組織『AQIM』の元幹部である。

ベリモルタールは、1991年~93年はアフガン内戦に参加。
2011年のインタビューでは、「カダフィ政権の兵器を獲得した」と述べている。

彼は、麻薬密売などが批判されて、12年12月頃にAQIMから追放されていた。

血盟団は、アルジェリアがフランス軍に領空通過を認めたため、同国を犯行現場に選んだらしい。

アルジェリアには、2011年6月時点で日本企業は14社が進出し、日本人1000人が居住している。

日本企業は天然ガス以外にも、高速道路建設や化学肥料プラントなども受注している。

アルジェリア軍が施設奪還作戦を強行したのには、ガス施設の重要性がある。

アルジェリアは輸出の99%を天然ガスと原油に頼っており、今回占拠された天然ガス施設は国内生産量の12%を占める。

脱出した人質の証言によると、人質を乗せていた武装勢力の車両4台が政府軍に爆撃されて、多数の外国人が犠牲になったという。

武装勢力は「政府軍が近づけば、施設ごと爆破する」と主張していたが、政府は強行策を貫いた。


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