(『南アフリカを知るための62章』から抜粋)
南アフリカの公立病院は、大混雑していて評判が悪い。
南アには公立病院と私立病院があるが、私立病院は治療費が高額である。
私立病院を利用する人々は、医療保険に加入している。
問題は、医療保険の加入率が低いことだ。
加入率は15%(2005年時点)で、残りの85%は公立病院に行くしかない。
公立病院の大混雑の理由には、医師と看護師の不足もある。
医師不足は深刻で、南アは1995年にキューバと協定を結んで、キューバ人医師を受け入れ始めた。
近年では、イランやチュニジアからも医師を受け入れている。
南アの医師・看護師は、より良い給与・条件を求めて、地方→都市、公立病院→私立病院、国内→外国、と移動してしまう。
公立病院における看護師の空席率は、40%(2008年)である。
南アでは、伝統的な医療も根強く残っていて、施術者は19万人いると言われる。
農村地帯では、現在でも施術者が頼られている。
施術者は2種類に大別でき、1つは伝統的な呪医である。
呪医の霊媒力で祖先の霊のメッセージを受け取り、そのメッセージを守ることで病気を治そうとする。
もう1つの施術者は、伝統的な薬草医である。