イラク侵攻も、正当性のないものだった
イラク侵攻は、世界支配計画の一環だった

(『なぜアメリカはこんなに戦争をするのか』から抜粋)

アメリカは、アフガニスタンへの侵略の時は、「テロとの戦争」という論理を使った。

その後にイラクに侵略した時は、その論理が変わった。

イラクは9.11事件とは何の関係もなく、アルカイダとの関係もなかったからである。

アメリカ国務長官のパウエルは、国連で「イラクとアルカイダは、数十年にわたって協力関係にある」と発言し、大恥をかいた。

アルカイダは創設されてから10年も経っていなかったし、オサマ・ビンラディンはアメリカCIAの要員としてアフガニスタンで戦った男だからである。

アメリカは、イラク侵略(イラク戦争)の大義名分として、『イラク軍の大量破壊兵器の保有』を挙げた。

しかし国連の査察団は、イラクで大量破壊兵器を見つけていない。

にも関わらず、アメリカは侵攻の準備を続けて、イラク侵略をした。

イラクは、世界第2位の石油埋蔵量を誇る。

「徹底的に探査をすれば、サウジアラビアを超えて世界第1位になる」とも言われている。

石油企業の出身であるブッシュ大統領やチェイニー副大統領が、それを意識していないはずはない。

実際に戦後には、イラク石油の支配をめぐる交渉が、ロンドンなどで始まっているという。

(※これは、2003年の記事からの抜粋である)

1997年にアメリカで、『新アメリカ世紀プロジェクト(PNAC)』という右翼シンクタンクが創立された。

有力な会員には、チェイニーやラムズフェルドやジェブ・ブッシュがいた。

PNACは2000年の大統領選の直前に、白書を作成した。

その白書は、こう述べている。

「ソ連の崩壊後には、アメリカ軍に対抗できる勢力は残っていないので、その優位な軍事力を活かして、もっと積極的に世界を支配すべきだ。

冷戦は終わったが、軍事費は減らすのではなく、増やすべきだ。

仮想敵国は、イラン・イラク・北朝鮮だ。

海外のアメリカ軍基地を、増加・強化しよう。

特に中東と東南アジアでは、アメリカ軍の駐留は不足している。

この変革の過程は、かなりの時間がかかるだろう。

真珠湾攻撃のような、災害的で刺激的な事件が起きないかぎり。」

この白書では、海外のアメリカ軍基地を「アメリカの防衛地帯」と呼び、そこにいるアメリカ軍を「新しいフロンティアにいる騎兵隊」と呼んでいる。

つまり海外基地のある国を、新しいアメリカ領土と見なしている。

白書には、9.11事件を望むような記述もある。

ブッシュ政権は、9.11事件をきっかけに、その白書の構想を実行に移した。

(2014.6.10.)


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