(『北朝鮮の真実』重村智計著から抜粋)
『米朝の枠組み合意』は、北朝鮮の核開発の問題について、米朝の間で1994年に結ばれた合意である。
合意の目的は、北朝鮮の核開発の凍結および撤退と、米朝の国交正常化であった。
○ 合意の内容
① プルトニウムを生産できる黒鉛炉と建設中の原子炉を廃止して、2003年までに2基の軽水炉(これはプルトニウムを取り出しにくい)に置き換える
② 軽水炉が完成するまでの間は、原子炉を停止するのに対応して、暖房と発電のために毎年50万トンの重油をアメリカは提供する
③ 双方ともに、国交の正常化に向けて行動する
④ アメリカは、核兵器を北朝鮮に対して使用せず、脅したりもしない
⑤ 北朝鮮は、92年の朝鮮半島の非核化の共同宣言を履行する
⑥ 北朝鮮は、NPTに留まる
⑦ 核施設では、IAEAの査察を再開する
⑧ 北朝鮮の使用済み核燃料は、再処理せずに完全廃棄する
⑨ 軽水炉が納入されるまでに、IAEAの査察を認める
⑩ 原発(軽水炉)の完成と同時に、核施設は破壊する
⑪ ワシントンと平壌に、連絡事務所を設置する
北朝鮮での原発建設や重油供給は、日米韓の3ヵ国が中心になって設立した『KEDO(朝鮮半島のエネルギー開発)』が行った。
実はアメリカは、国交のない国やIAEAの基準を満たしていない国には、法律で原子力技術を供与できない事になっている。
このため、日韓に原発建設の資金を担当させて、自分は年間50万トンの重油を担当した。
(日本の負担額は10億ドルだった)
(2013.10.13.)