(『北朝鮮の真実』重村智計著から抜粋)
核兵器は、そのままでは兵器にならず、爆撃機やミサイルを必要とする。
北朝鮮は爆撃機を持っていないので、ミサイル開発をするのである。
核爆弾をミサイルに搭載できるほど小型化し、ミサイルの制御システムが完成しないと、核兵器としては機能しない。
北朝鮮は、まだそこまで到達していない。
核爆弾には、プルトニウムか高濃縮ウランが必要である。
プルトニウムは、自然界には存在せず、原子炉でウランを核分裂させることで作られる。
北朝鮮は、黒鉛減速炉(ソ連が供与した)の使用済み核燃料から、プルトニウムを生産した。
使用済み核燃料からプルトニウムを生産するには、「再処理施設」が必要である。
アメリカによると、これまでに60kgのプルトニウムが生産されたという。
これは、原爆6~13個の量である。
現在の北朝鮮は、原子炉と再処理施設の稼動を止めている。
高濃縮ウランによる核開発に、方針を変えたらしい。
高濃縮ウランの製造には、「遠心分離機」が必要である。
北朝鮮は2002年に、遠心分離機をドイツから輸入しようとして、摘発された。
この時期から、核開発が再開したらしい。
北朝鮮は、2011年11月にアメリカの専門家2人を招き、2000基の遠心分離機を見学させた。
核爆弾を小型化するには、技術・部品・核実験が必要で、北朝鮮はまだ小型化を実現していない。
北朝鮮は、独自に部品を作れず、国際ヤミ市場で購入するしかない。
それには莫大な金が必要で、アメリカの監視も厳しい。
そのため、まだ完成していない。
北朝鮮のミサイル開発は、旧ソ連のスカッド・ミサイルを独自に改良したものである。
北朝鮮は、中東戦争の際に、エジプトにミグ戦闘機のパイロットを貸し出した。
その見返りに、エジプトからスカッド・ミサイルを手に入れた。
ソ連は、北朝鮮にはミサイルを供与しなかった。
現在の北朝鮮は、射程の長いテポドン・ミサイルを開発している。
ノドン・ミサイルは、液体燃料タイプで、射程距離は1500kmである。
日本を射程に収められる。
命中精度がとてつもなく低いので、軍事専門家は脅威ではないと判断している。
テポドン・ミサイルは、二段式の液体燃料タイプで、射程距離は3000~4000kmである。
液体燃料タイプは、燃料の注入に時間がかかるので、反撃を受けやすい。
ノドンとテポドンに搭載できるほどの小型核爆弾は、まだ完成していないと言われている。
ミサイルは、そのままでは破壊力はない。
5階建てのビル1つも破壊できない。
だから北朝鮮のミサイルは、それだけでは軍事的には大した事はない。
(2013.12.8.)