北朝鮮によるテロ事件(有名な5つの事件を書きます)

(『北朝鮮の真実』『そうだったのか!現代史2』から抜粋)

(北朝鮮が行ったテロ事件のうち、有名な5つの事件を書きます。

 幸いな事に、近年にはテロ事件は起きていません。)

① 朴正煕・韓国大統領の暗殺未遂事件

1968年1月21日に、北朝鮮の特殊部隊31人が、韓国の大統領官邸を襲って朴正煕を暗殺しようとした。

官邸から800mの地点で警備兵と撃ち合いになり、2週間の掃討で29人が死亡し、1人が逮捕されたとされる。

韓国側は、68人が死亡した。

逮捕された金新朝は、「朴正煕を殺せば韓国の民衆が立ち上がる、と北朝鮮は判断した」と述べたという。

② 朴正煕・韓国大統領の暗殺未遂事件

在日韓国人の文世光は、1974年8月15日に、国立劇場の式典に参加した朴正煕・大統領を狙って発砲した。

弾は朴の夫人である陸英修に当たり、夫人は死亡した。

文世光は、大阪の交番から盗んだ銃を使用した。
このため、日韓の外交問題にも発展した。

後に金正日は、朴の娘である朴槿恵に謝罪した。

文世光は、北朝鮮の工作機関の指示で実行したと言われている。

③ ラングーン爆弾テロ事件

韓国の全斗煥・大統領は、1983年10月にビルマを訪問した。

ビルマは社会主義国で、この訪問は韓国大統領が初めて社会主義国を訪れるものだった。

北朝鮮は、韓国が社会主義国と親しくなるのを恐れて、全斗煥を暗殺しようとした。

そして、ビルマに3人の工作員を派遣した。

3人は、遠隔操作の爆弾をアウンサン廟の屋根に仕掛けた。

しかし、全斗煥の到着が遅れたため、全斗煥らは助かった。

ビルマ側の楽団が演奏の練習を始めたところ、「大統領が到着した」と勘違いした工作員はリモコンスイッチを押した。

このため、大統領は無事だったが、閣僚4人を含む韓国人17人が死亡し、ビルマ政府要人も4人が亡くなった。

工作員3人のうち、1人は射殺され、2人は逮捕された。

そして、全面自供により北朝鮮の犯行だと判明した。

④ 大韓航空機の爆破事件

1987年11月29日に、大韓航空機がアンダマン海の上空で爆破された。

乗客と乗員の115人は、全員が死亡した。

犯人は、北朝鮮の工作機関の指示を受けた、金勝一と金賢姫だった。

金勝一は70歳、金賢姫は25歳だった。

2人は中継地で降りており、時限爆弾を機内に残していた。

2人は、偽造した日本のパスポートを使っていた。

金勝一は毒薬で自殺し、金賢姫は捕まり犯行を自白した。

そして、1988年のソウル・オリンピックを阻止する目的で行ったことが、明らかになった。

アメリカは、この事件をきっかけにして、北朝鮮を「テロ国家」に指定し、経済制裁に踏み切った。

金賢姫への取り調べの中で、日本語を教えた日本人女性の存在が明らかになった。
そして、この人物は田口八重子と判明した。

この事実により、「日本人が拉致されているのではないか」という疑惑が出たが、北朝鮮は否定した。

金賢姫は、1990年に死刑判決が出た。

しかし韓国政府は、「真犯人は北朝鮮当局である」として、金賢姫を恩赦で釈放した。

金賢姫はその後、取り調べに当たった捜査員と結婚している。

⑤ 李韓永の暗殺

李韓永は、本名を李一男といい、金正日の甥にあたる人物である。

彼は、ジュネーブに滞在した際に、韓国の情報機関員に騙されてソウルに来てしまい、帰国できなくなった。

その後、金正日のロイヤル・ファミリーの秘密を書いた「平壌15号官邸の抜け穴」を出したため、北朝鮮の工作員に暗殺された。

(2013.12.11.作成)


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