ロシアの天然ガス(LNG)戦略 (2013年3月19日)

(ワールドWaveから抜粋)

以下は、石川一洋さんの話です。

先月の13日に(2013年2月13日に)、クレムリンでエネルギー戦略の重要会議が開かれた。

そこでプーチン大統領は、LNG(液化天然ガス)が今後の天然ガス取引の中心になるとし、『LNG輸出の自由化』を決定した。

プーチンのコメント

「LNG工場の建設には、5~10年は必要だ。巨額の費用もかかる。

 LNG発展のために、条件を整えなければならない。

 その中には、LNG輸出の自由化も含まれる。」

石川

これまでロシアは、国営のガス会社「ガスプロム」が、天然ガスの輸出を独占していました。

これを決めたのは、プーチン氏でした。

プーチン氏は、エリツィン時代にエネルギー市場を握っていた財閥の力をそぎ、天然ガス輸出の国家独占体制を敷いたのです。

司会者

なぜ今、自由化をしようとしているのですか?

石川

一つは、世界の天然ガス市場が大きく変化しているからです。

LNGの需要が毎年20%以上も増加し、パイプラインからLNGへとガス市場が変化してきています。

もう一つは、アメリカのシェールガスが、4~5年後には世界市場に出回ろうとしているからです。

ロシアの現状は、ほとんどがパイプラインを通じたヨーロッパ向けの輸出で、LNGによる
ガス輸出は4%にも満たないのです。

ロシアには「このままでは世界のLNG市場に入り込めなくなる」という危機感があります。

国内でも、ガスプロムの独占に対する反発が強まってきています。

プーチン氏にガス輸出の自由化を強く進言したのは、国営石油会社「ロスネフチ」のセチン社長だったのです。

セチン氏は治安機関の出身で、プーチンの側近です。
セチン氏は、「エネルギー産業こそが、ロシアの支えだ」という信念を持っています。

セチン氏は先日に訪日し、日本のエネルギー企業の幹部と面会しました。

そして、ロスネフチが米エクソンモービルと共同で構想しているプロジェクト『サハリンからのLNG輸出』に、日本企業の参加を提案しました。

4月末には安倍首相が訪ロする予定ですが、その前にセチン氏を派遣して、日本の情勢を把握しようとしたのです。

プーチン氏は、側近の言う事を信頼する人物です。

司会者

具体的には、ロシアはどのようなLNGプロジェクトを考えているのですか?

石川

ロシアは日本に対して、「3つのプロジェクト」を提案しています。

1つ目は、ガスプロムの提案です。

これは、東シベリアのガス田から3000kmの長いパイプラインをウラジオストックまで
引いて、そこにLNG工場を建てて輸出する、というものです。

これは国家プロジェクトで、プーチン氏は2017年までに実現すると発表しています。

2つ目は、セチン氏が持ってきたロスネフチの提案です。

サハリンの油田(ガス田)から、日本に輸出します。

これは経済性は一番あります。なぜなら、サハリンは日本に近いからです。

3つ目は、独立系のガス会社「ノバテク」の提案です。

これは大きな構想で、北極圏のガス田から北極海航路で船を運航して、LNGを運ぼうとするものです。

これは、経済性が問題になってきます。

ロシアは、3つのプロジェクトを全部やると、日本に言っています。

全てのプロジェクトで、日本との協力を望んでいます。

なぜかと言うと、日本は世界最大の天然ガスの輸入国だからです。

日本は、世界のLNGの4割を買っています。

日本は現在、とても高い値段で天然ガスを購入しています。

アメリカ市場に比べると、5倍近い価格です。

ロシアと交渉して価格を低くするのが、日本にとっては大切です。

ロシアはヨーロッパ市場で苦戦しており、日露両国が満足できる値段は見つかると思います。

○村本のコメント

これはTV番組の特集だったのですが、すごくロシアの現状が分かりました。

ロシアは3つのプロジェクトを提案していますが、明らかに2つ目の提案が良いですね。

日本は、「2つ目のプロジェクトが良いです。これで、まずは行きましょう。」と、はっきりと伝えるのがベストだと思います。

しかし、3つのプロジェクトを全てやろうとするなんて、さすがロシアですねー。
日本人には出来ない発想です。


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