太陽光発電の基本③ パネルの材質、変換効率

(『図解入門 太陽光発電の基本と仕組み』から抜粋)

太陽光パネルの材料は、現在は90%が「シリコン系」です。

シリコンとは、「ケイ素」のことです。

ケイ素は、地上に多く存在し、砂や岩の主成分です。
枯渇の心配はありませんが、高純度なシリコンを作るためにはコストがかかります。

「シリコン系」は、現在は主流ですが、高純度のシリコンを必要とするためコストは高めです。

「有機物系」は、変換効率はやや低い(12%ほど)ですが、低コストなので将来性があります。

最近は、「有機物系」パネルの開発も進められていて、こちらは軽量にしたり曲げたり出来ます。

パネルの変換効率は、現在は10~20%です。

太陽光には、様々な波長の光が含まれていますが、利用できる波長帯域は半導体の種類によります。

1種類の半導体では、最大の変換効率は30%と考えられています。

そのため、複数の半導体を用いるパネルが開発されています。

複数を用いれば、変換効率は40%超も可能です。

『シリコン系』は、「単結晶」「多結晶」「アモルファス」の3タイプに分かれます。

「単結晶タイプ」は、シリコンが規則正しく配列されるため、高い変換効率(20%)を得られます。
しかし作るのが大変で、高値になります。

「多結晶タイプ」は、現在の主流で、変換効率は15%ほど。

「アモルファス・タイプ」は、シリコンが規則的に配列されておらず、変換効率は低い。

ただし、薄膜フィルムに作る事が可能で、コストダウンを出来ます。

『有機物系』は、有機化合物を材料にしたものです。

こちらは、「色素増感タイプ」と「有機薄膜タイプ」の2種類があります。

有機物系は、変換効率は12%ほどですが、実用化が期待されています。

「色素増感タイプ」は、植物の光合成を模倣した発電メカニズムを採用しています。

これは、非常に軽量にでき、安価に作れます。
シースルーにも出来るので、窓やサンルーフに貼り付けて使う事が考えられています。

このタイプは、蛍光灯の光などの「弱い光」も、電気に変換できます。
驚くことに、月明かりほどの非常に弱い光でも、発電が可能なのです。

「色素増感タイプ」を使えば、蛍光灯やLED照明の電気エネルギーを、一部であれ回収・再利用できます。

「有機薄膜タイプ」は、有機化合物でできた半導体を材料にします。

これは、塗って使用できるタイプで、製造コストも非常に低くできそうです。

通常ではあり得ない変換効率を可能にするのが、『量子ドット・タイプ』のパネルです。

ナノ粒子(ナノ・メートル・サイズの半導体粒子)を使えば、より広い波長の範囲で太陽光を吸収できます。

ナノ粒子を規則的に配列したものは、「量子ドット」と呼ばれます。

量子ドットは、様々な光を吸収する事ができるため、太陽光を広い波長範囲で吸収できるのです。
これにより、『変換効率は最大で60%になる』と見積もられています。

ナノ粒子を規則正しく配列する技術が、求められています。

『酸化ニッケルを半導体に用いた、透明なパネル・タイプ』も研究されています。

これは、「紫外線のみを吸収して電気に変換する」パネルで、窓に使えば紫外線を取り除くことが出来ます。

原料のニッケルは安いですし、窓ガラスに使用する方向で研究されています。


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