常圧の二酸化炭素を原料にして、プラスチックをつくる

(『Newton 2021年11月号』から抜粋)

大阪市立大学、日本製鉄、東北大学の研究チームは、触媒反応を使って、常圧の二酸化炭素からプラスチック(ポリカーボネートジオール)を合成するのに成功した。

ポリカーボネートジオールは、ポリウレタンの原料の1つである。

ポリウレタンは、ポリカーボネートジオールとジイソシアネートを混合して作られる。

現状では、ポリカーボネートジオールはホスゲンや一酸化炭素から作られている。

ホスゲンは一酸化炭素を使って作られ、一酸化炭素は石油から採っている。

大阪市立大学の田村正純・准教授は、過去に高圧の二酸化炭素とジオール(アルコールの一種)を、触媒を使って反応させて、97%の収率でポリカーボネートの合成に成功していた。

なお収率とは、理論上で得られる量に対する、実際に得られた量の割合である。

だが二酸化炭素を高圧にするには、大きなエネルギーが必要で、合成で発生する水を取り除くために脱水剤も必要だった。

そこで今回の研究チームは、脱水剤を使わないために、水を蒸発させて取り除くことにした。

ジオールには沸点の高い1,6-ヘキサンジオール(沸点250℃)を用い、210℃にして実験を行った。

すると常圧の二酸化炭素でも、92%の収率が得られ、水も取り除けた。

触媒は酸化セリウムを使った。

この技術の実用化では、工場から排出される(捨てられる)二酸化炭素を使う予定だ。

だが工場から排出されるガスは、二酸化炭素以外も混ざっている。
どう解決するかは、これから研究する。

捨てられている二酸化炭素から、プラスチックが生まれるかもしれない。

(2022年8月6日に作成)


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