イスラム教の基本

(『誰にでもわかる中東』小山茂樹著から)

イスラム教徒の数は、1999年現在で11.5億人いる。
世界人口の6分の1を占めている。

イスラム教の簡明さは、抜群である。
唯一神アッラーへの帰依は徹底的で、神の絶対性にあいまいさがない。

イスラームとは、「神への帰依」を意味する。

この教えを説いたのは、預言者ムハンマド(マホメット)である。
彼は610年から布教活動をし、それは亡くなる632年まで続いた。

彼が最初の説教をした聖地メッカは、当時アラビア半島の商業の中心地であり、富裕な商人階級が支配していた。

富裕階級は富と権力の追求に明け暮れて、腐敗が横行し、偶像崇拝と多神教信仰が盛んに行われていた。
ムハンマドの教えは、これを打破する革新的な思想だった。

ムハンマドはユダヤ教やキリスト教の影響を受けて、様々な要素を取り入れた。

唯一神、天使、審判の日、復活、天国と地獄、魂の永遠性などは、その具体例だ。

ユダヤ教は「選ばれた1民族」の宗教であり、キリスト教は「聖職者や教会が、神と人の間に介在」していた。
ムハンマドは、この点を厳しく批判した。

イスラム教では、神の前では万人が平等で、ムハンマドもただの人に過ぎない。
聖職者も教会も存在しない。

(残念ながら、この重要な教義は形骸化しており、実際には聖職者が権威を握っている状態です)

中東の多くの国はイスラム教を国教としており、中東を語るにはイスラム教抜きには不可能である。

特に、1979年にイラン革命が成立して以降は、イスラム回帰(イスラム原理主義)の運動が高まっている。


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