コーランとは

(『イスラム世界のこれが常識』から抜粋)

コーランは、アラビア語で書かれた、「イスラム教の根本聖典」である。

正しい発音は「クルアーン」とされる。

読む・唱えるという動詞から派生した語がクルアーンで、「読まれるもの・読誦されるもの」という意味である。

ムハンマドは、天使ジブリールを通じて、アッラーから啓示を受けた。
その神から下された啓示をまとめた本が、コーランである。

啓示は当初、ムハンマドの仲間によって記憶されたり、骨片に記されていた。

しかし失われてしまうのを恐れたカリフが編纂を始め、第3代カリフのウスマーンの時代に標準版が完成した。

コーランは114章から成り、各章には名称が付いている。

文章の長い章から短い章へと配列されているので、コーランを覚える際は最後の方から始めるという。

ムハンマドの布教初期のメッカ時代の啓示は、85章ある。

短く荒々しい調子が特徴で、「やがて終末の日が訪れ、神の裁きが行われる」という、重々しい終末論的な雰囲気に包まれている。

ムハンマドがメディーナに移住した後の啓示は、28章ある。

長く冗漫な散文調が特徴で、内容は現世的である。
日常生活に触れ、導き的な内容である。

メッカなどと戦っていた時期なので、ジハードをすすめる啓示も多い。

キリスト教の新約聖書は、神の言葉をまとめたものではないので(神の子イエスの言行をまとめたものなので)、イスラム教では認めていない。


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