(『ぬりつぶされた真実』幻冬舎から抜粋)
オサマ・ビンラディンは、1994年にサウジ国籍を剥奪された。
だがビンラディン一族は、その後も秘かにオサマとの関係を続けた。
オサマの実姉は、9.11事件の後にこう告白している。
「ビンラディン一族の54人のメンバーは、彼との関係を保ってきた」
オサマは、1991年にスーダンのハルツームに移住した。
オサマは1997年のCNNのインタビューで、「私の母・叔父・兄弟たちは、ハルツームに9回も私を訪ねてきた」と明かしている。
アメリカ当局によれば、オサマの義兄弟のムハンマド・ハリーファは、アルカイダの資金調達を担当してきた。
元CIAのヴィンセント・カニストラーロは、「ムハンマド・ハリーファは、アデン・イスラム部隊に資金提供をしていた疑いがある」と言う。
この部隊は、2000年10月にイエメンのアデン港でアメリカ駆逐艦USSコール号を爆破した事件で、犯行声明を出している。
オサマの兄弟であるマフルース・ビンラディンは、1979年にあった『メッカの大モスク占拠事件』に参加した人物である。
マフルースは、当時サウジアラビアに亡命していた「シリアのムスリム同胞団」と友情を結んでいた。
このムスリム同胞団の数百名が大モスクを占拠し、「西洋の凡庸な模倣であるサウジ政権には、合法性はない」と抗議した。
この事件は2週間後には鎮圧されて、占拠したメンバーはすべて処刑された。
だがマフルースだけは釈放された。
ビンラディン家の者だったからである。
サウジの諜報機関は、「大モスクの建設に関わったビンラディン一族だけが、治安部隊の裏をかける現場の図面を持っていた」と明らかにしている。
マフルースは、現在はビンラディン・グループのメディーナ支部を率いている。
ビンラディン一族は、「オックスフォード・トラスト・フォー・イスラミック・スタディーズ」に、巨額の寄付を毎年している。
この団体は、オサマのテロ組織網の一部と見なされている「IIROのロンドン支部」と同じ住所に、本部を設置している。
(2014年8月6日に作成)