(『世界歴史大系 アメリカ史2』から抜粋)
『ニクソノミクス』は、ニクソン政権の打ち出した経済政策論である。
ニクソン政権は、政府の過度の介入が経済不安の原因だとし、景気刺激策をせず、民間の創意を重視した。
そして、「財政支出の縮小」「企業への税優遇」「賃金・物価への不介入」「通貨供給のコントロール」を行った。
ニクソンは地方分権を強調して、福祉は大きく後退させた。
1972年には、連邦税を州に分配する法を可決した。
だが、好ましい成果は挙げられず、インフレと不況のスタグフレーションとなった。
1971年8月には、失業率は6.1%、物価上昇は4.5%となった。
貿易収支は、ついに赤字に転落した。
ニクソノミクスの失敗は歴然となり、71年8月には大胆な政策転換をした。
それは、「62億ドルの減税」「賃金・物価の凍結」「外国保有のドルとゴールドとの兌換停止」「10%の輸入課徴金」であった。
(2014年5月15日に作成)