(『世界歴史体系 アメリカ史2』から抜粋)
レーガン政権の最重要課題は、景気対策だったが、「レーガノミクス」という経済方針を打ち出した。
この経済政策は、ケインズ(の理論)に批判的で、マネタリズムと供給サイドの経済学だった。
物価は貨幣供給量に依存するとして、インフレを貨幣現象と捉えて供給を減らし、民間を強化するために規制を減らして大幅な減税を行い、設備投資を活発にしようとした。
(当時のアメリカは、石油価格の高騰の影響もあり、高いインフレ率に悩まされていた)
だが、レーガノミクスはむしろ逆効果となり、1981~82年は景気後退して、失業率も9%近くになった。
政府の歳出は、福祉の切り詰めにも関わらず、軍事費の拡大から赤字が増えた。
景気は83年から好転し、レーガンはそれを実績として翌年に再選した。
だが、レーガノミクスはすでに財政面で破綻していた。
再選後も、軍事費の突出によって財政赤字は拡大した。
貿易赤字も深刻で、アメリカはついに第一次大戦期以来で債権国から債務国に転じ、世界最大の債務国となった。
さらに民間についても、活性化を図ったにも関わらず競争力は低下し、「空洞化」が指摘された。
1987年10月には、1929年の大恐慌以来の株の大暴落が起きた。
(2016.1.24.)