(『世界歴史大系 アメリカ史2』から抜粋)
第一次世界大戦が始まると、米国では反戦論が広がった。
米国人には、この戦いはヨーロッパ諸国の病的な戦いに見えた。
ウッドロウ・ウィルソン大統領も、中立を宣言した。
しかし、英国との長いつながりと、米国の西半球での覇権を容認した英国政策により、親英となっていった。
さらに、英国はドイツの残虐さを誇大に宣伝して、米国に浸透させた。
米国は戦争中に、英仏への輸出により大儲けをし、両国にカネも貸した。
ドイツの潜水艦による攻撃で、米国の船が沈没する事件が発生すると、ドイツとの間に緊張が生まれた。
ドイツは、米国船を攻撃しないと約束をした。
ウッドロウ・ウィルソン大統領は、「戦後は米国が中心になって、新たな世界秩序を作る」と述べ、この考えは世論でも盛り上がっていった。
ウッドロウはこの考えに基づいて、講和会議の斡旋をした。
そして、国際法と自由貿易による新秩序を提案した。
ウッドロウ・ウィルソンは、1916年5月に国際連盟の結成を説いた。
彼は、その年の大統領選に勝ち、再選を果たした。
1917年2月1日に、ドイツは無制限の潜水艦攻撃を始めた。
(潜水艦攻撃の対象に、米国船も加えた)
これを見た米国は、2月3日にドイツとの断交を宣言した。
同年3月には、ロシアで三月革命(共産主義革命)が起こった。
ウッドロウ・ウィルソン大統領は、これによって条件が変わったとして、第一次世界大戦への参戦を決定した。
反対者は少なかった。
米国の参戦の背景には、「大戦は終結に向かっているが、このままでは戦後の講和会議が米国抜きになる可能性がある」という状況があった。
1917年5月には、『徴兵法』を可決させ、陸軍兵を20万人から400万人に増やした。
1918年に入ると、100万人の兵士をヨーロッパに送った。
同年9月に、ドイツは降伏した。
米国の戦費は320億ドルかかり、米政府の負債は10億ドル→200億ドルに増加した。
物価は2倍になり、所得税は最高税率が77%に引き上げられた。
(税率を一気にものすごい上げている!)
アメリカの産業は軍需生産が中心となり、食糧などは統制下に置かれた。
法人企業の利潤は、30%の高い値を保った。
参戦により、政府の権限は飛躍的に拡大し、企業との結びつきも強くなった。
(戦争がこうした状態を生む事は、覚えておく必要がある)
検閲はひどくなり、1917年には『スパイ法』、18年には『治安法』が可決された。
社会党の党首ユージン・デブスは、この新法によって、10年間の投獄となった。
戦争景気により、労働条件は改善し、黒人の賃金も改善した。
女性も、より多くの職につけた。
この時期の女性の活躍によって、ウッドロウ・ウィルソンも女性の参政権支持に転じ、1920年8月に『女性の参政権(選挙権)』はついに達成された。
社会浄化・社会統制の一つとして、『全国禁酒法』が1920年1月から実施された。
(2013.4.21.)