(『早わかり世界近現代史』から抜粋)
第一次世界大戦は、「ヨーロッパ諸国の没落と、アメリカの台頭」という劇的な変化をもたらした。
第一次世界大戦は、ヨーロッパに大打撃を与えた。
大戦の戦費の総額は3000億ドルを超えて、交戦国たちの国富の3割にも上った。
ヨーロッパは、長い間蓄えてきた富を、一挙に失ったのである。
フランスの打撃は深刻で、復興のために数千億フランの国債を発行するはめになった。
国土が戦場にならなかったイギリスも、776万トンもの商船を失った。
このうちの86%は、ドイツの潜水艦の攻撃によって沈没した。
これにより、イギリスの輸出は激減した。
イギリスは50億ドルの外国証券を売却し、60億ドルの対外債務を負い、対外投資の4分の1を失った。
こうして、金融帝国イギリスは崩壊した。
アメリカは、世界一の債務国だったが、第一次大戦中と戦後にヨーロッパ各国に物資を売ったりお金を貸すことで、世界一の債権国になっていった。
35億ドルの債務国だったアメリカは、一躍して125億ドルの債権を有する「世界一の債権国」となった。
金の保有量も46億ドルとなり、世界の半分近くを占めるまでになった。
アメリカの海外資産は、270億ドルに拡大した。
工業生産も、1929年には全世界の42.2%を占めるまでになる。
アメリカのモルガン銀行は、1920年代に、ヨーロッパ諸国に9.6億ドルも貸し付けた。
(ヨーロッパ諸国は、復興のためにお金が必要だった)
こうして生まれた巨大な富を背景に、アメリカは膨大な消費をするようになった。
アメリカはさらに、戦後のワシントン会議により、イギリスと同等の海軍力を保持する権利を得た。
第一次世界大戦は、アメリカがヨーロッパを追い抜くきっかけになった。
第一次世界大戦により、ドイツ帝国、オーストリア帝国、ロシア帝国、オスマン・トルコ帝国が滅亡した。
そして東欧では、多くの国が独立した。
(フィンランド、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィアが独立した)
(2013.6.2.)