(『大恐慌のアメリカ』林敏彦著から抜粋)
アルヴァン・ハンセンは、1938年の講演で次のように述べた。
「需要と供給のギャップを埋めるには、継続的に投資支出を行わなければならない。
その投資は、『人口増加、フロンティアの拡大、技術革新』の3つの要因によって、成功に導かれる。
ところが、今のアメリカは人口が増加せず、住宅などへの投資が落ち込んだ。
さらに、世界で領土を拡大していくフロンティア時代は終わった。
従って、これからは発展は技術革新に求めなければならない。
今のアメリカは、技術革新がなくて、3つの条件がすべて失われている。
これが、長期不況の理由である。
この状況を打破するには、減税をして消費を刺激したり、公共事業を進めるのが有効だ。
しかし、そうしたやり方にはジレンマがある。
大量の失業を放置したり、大規模な公共支出で失業を救おうとすれば、経済統制に直行することになる。
景気が回復してきたら、公共支出は徐々に減らさなければならない。」
アルヴァン・ハンセンは、ケインズの主張する「社会的に管理された投資を処方する」というアイディアには、賛成しなかった。
しかし、1938年に再び不況が深刻化すると、他には方法がないとして、熱心な積極財政論者になった。
(2013.8.1.)