(『大恐慌のアメリカ』林敏彦著から抜粋)
1930年代の大不況の中から、『ケインズ経済学』が生まれた。
ケインズ経済学は、「マクロ経済学」という領域を切り拓いた。
経済学者のジョン・ケインズは、「不況は、貯蓄が投資を上回ったために起こっている。それを解決するには、国際的な協調による金融緩和が一番重要だ。」と主張した。
さらに、「公共事業だけではなく、インフラの整備や私企業への貸付も重要だ」と訴えた。
彼は、「不況期には、貯蓄は美徳ではなく有害である」と言い、「不況期には果実を生まない事業でも幸福につながる。百万長者が墓としてピラミッドを建設する事や、地下にただ穴を掘る事でさえも、貯蓄の中から支払われるなら有用だ。」と述べている。
ジョン・ケインズは、「不況期には、赤字をしてでも積極財政をした方がいい」と主張した。
これは、当時の多くの学者も言っており、独創的ではない。
彼が不滅となったのは、「不況期には赤字積極財政」の考えを理論的にまとめ上げて、『マクロ経済学』という視点を生み出したからである。
○村本尚立のコメント
この考えに基づいて、バブル崩壊後の日本では積極的な財政出動(公共事業)が行われました。
しかし、景気は回復しませんでした。
私が思うに、積極的な赤字財政(公共事業)は、闇雲に行っても効果はなく、『未来に繋がる分野に投資する目的』で行う事が大切だと思います。
1990年代~2000年代の日本は、飽和状態の銀行業や土建業にお金を回しました。
そうではなく、インターネットのインフラ整備とか、再生可能エネルギーへの投資にお金を回していれば、社会が活性化(若返り)して、景気は上向いたと思います。
「国際的な協調による金融緩和」は、近年はよく行われていますが、結果としては「新たなバブル経済を生んでしまう事」が多いです。
本質的には、あまり有効だと思いませんね。
(2013.8.28.)