(『ペンタゴンの陰謀』フィリップ・J・コーソー著から抜粋)
ロズウェル事件のファイルには、異星人の検視・解剖をした報告書もあった。
異星人の脳は驚くほど地球人と似ていたが、かろうじて息のあった異星人の脳を調べたところ、低周波に似た信号が見られた。
またロズウェル陸軍航空基地の医師によると、異星人の脳は神経で統合されているのではなく、電磁波で統合されていると見られた。
その一文は、私の心をかき乱した。
かつてローマで副参謀長をしていた時の事が思い出された。
私は当時、25歳の大尉としてローマで勤務し、暇な時はローマ大学で学んでいた。
ローマ大学ではジスレロ・フレシュ博士と出会ったが、彼は『なんらかの宇宙現象、あるいは地球に絶えず降り注ぐ電磁波によって、人間の細胞内のフィラメントが活性化され、脳波と共鳴する』と説いていた。
フレシュは、「体内の電磁波の解明は遅れているんだ。だけど電磁波が原因で起こる現象はとても多い」と語った。
フレシュはカスミロ・フランク教授を紹介してくれたが、フランクは兎の脳で実験していた。
兎の脳から発する低周波を測定して、随意筋への伝達を調べて、筋肉が特定の周波数に反応すると分かった。
筋肉が麻痺した場合、損傷は必ずしも筋肉ではなく、筋肉が正しい周波を受け取れなくなっているのだと、フランクは言った。
フランクの研究室に招かれ、兎の脳に電極を埋め込み、どの筋肉が麻痺するかを見学した。
彼に言わせると、麻痺は低周波の成せる技で、その証拠に実験台から降ろされると兎は元気に飛び跳ねた。
その後、フランクからカスティラーニ博士を紹介された。
カスティラーニは、「睡眠病」といわれる病気を発見し、「カスティラーニ軟膏」という皮膚病の治療薬を完成させた人だ。
彼は、「発疹・乾癬・炎症などは、肌の電磁波の共鳴を変えることで治療できる」と説いた。
カスティラーニ軟膏は、肌の静電気の状態を変えて、脳の低周波に治療をさせる化学反応物である。
上記した3人の学者は、奇抜な発想ゆえに研究費もおりず、学界の支持もなかった。
ところが私は異星人の脳についての報告書を見て、彼らとのやり取りが鮮やかによみがえった。
私は、上司のアーサー・トルードー中将に報告書を書いた。
「異星人の脳は電磁波によって統合され、宇宙船を長距離にわたって動かすなどしていた可能性があります。
低周波と電磁波を関連づけることが出来れば、あながち空想とも言えません。
なおCIAが、千里眼の超能力者と共同でプロジェクトを始めています。
CIAは、KGBの「サイコトロニック・テクノロジー」と同じ訓練を施そうとしています。」
私は、アメリカ陸軍研究開発局・海外先端技術部に配属された結果、ロズウェル事件でアメリカ軍が入手した品々や報告書に接したわけだが、ロズウェルで入手した技術を使ってミサイルの開発をするよう提案した。
私がこの提案をしたのは、ソ連がICBM(大陸間弾道ミサイル)の制御に成功し、迎撃ミサイルも開発していたからだ。
トルードーは私の報告書に目を通すと、「心配するな、こいつは連邦議会と上院国防歳出委員会のごく一部にしか見せん。あっちは秘密を守ると言ってくれている。」と言った。
私は(1961年末に)議会に出す報告書で、次のようなミサイルを提案した。
「人間の脳をモデルにした2つの半球から成る、ミサイルに搭載するコンピュータを開発する。
片側の半球は人工衛星からの位置データを受け取る。もう片方はエンジンや弾頭部の切断といった制御をする。
2つのコンピュータが連係して動き、データは低周波でやり取りする。
このミサイルが、敵の迎撃ミサイルを探知したら、弾頭の制御コンピュータが反動推進エンジンを発射して、未然に回避する。」
上の提案は、ロズウェルの異星人が低周波を使って宇宙船を操縦したのを応用したものだ。
発展させれば、ミサイルの動きを人間の脳波で制御できるかもしれない。
私の報告書を見たハロルド・ブラウン中佐は、こう言った。
「今はこのシステムを導入する時期ではない。
あと数年もすれば月の軌道をめぐる月ロケットが完成する。
そして人工衛星にソ連領のすみずみまで測量させる。
その時こそ、この迎撃ミサイルの登場だろう。」
結局、迎撃ミサイルが配備されたのは20年も後だった。
(2022年10月23日に作成)