ロズウェル・テクノロジーを兵器開発に用いる①
暗視装置

(『ペンタゴンの陰謀』フィリップ・J・コーソー著から抜粋)

私は、ロズウェル事件でアメリカ軍が得た品々のうち、陸軍が持っている分の調査と、そのテクノロジーを兵器開発プロジェクトに用いるよう命じられた。

それで下調べをして、上司のアーサー・トルードー中将に報告書を出した。

私はトルードーに、「ロズウェルのテクノロジーを兵器開発に活かすため、協力してくれる科学者のリストをまとめたい」と提案した。

「頭にあるのは、どの科学者だ?」

「まずロバート・サーバーカです。
それにヴェルナー・フォン・ブラウン、ハンス・コーラー、ハーマン・オバース、ジョン・フォン・ニューマン(※ジョン・フォン・ノイマンの誤訳か?)です。」

「彼らはロズウェル事件を知っているのか?」

「彼らは皆、アメリカ政府の『研究開発委員会』とつながりがある以上、多少とも知っているでしょう。」

アイゼンハワー政権の時代、研究開発委員会のトップは政府の諮問委員に選ばれた。

(諮問委員会にはロズウェル事件が報告されていたから、)地球外生物の機密情報は研究開発委員会にも伝わっていた。

私はこう打ち明けた。

「私がホワイトハウス(の国家安全保障会議)で働いていた時、ロバート・サーバーカは研究開発委員会の委員でした。

それからハーマン・オバースは、『レッドキャニオンに設置されたレーダーが捉えた物体は、ロズウェルに墜落した宇宙船と同じ類いのものではないか』と言ってました。」

私はさらに提案した。

「アメリカ軍が業者に委託している開発プロジェクトの目録を作成して、ロズウェルのテクノロジーがどれに使えるか調べましょう。
そして科学者に判断を仰げばいい。」

トルードーは、「先に製品化できそうなもののリストを作ろう」と指示した。

私は、ロズウェルで入手した品々を逆行分析(リバース・エンジニアリング)することで、製品化できそうなものを、箇条書きした。

それらは、現在ではありふれた物もあるが、製品化できたのはロズウェルで入手したテクノロジーのおかげである。

①映像倍増管(のちに暗視装置になった)

②光ファイバー

③スーパー・テナシティ・ファイバー

④レーザー

⑤分子を圧縮した合金

⑥集積回路、超小型化したロジックボード

⑦移動式の原発(イオン原子炉)

⑧ガンマ線を照射した食品(長期保存できる食品)

⑨第三の脳・誘導システム(ロズウェルで入手したヘアバンドの技術)

⑩粒子ビーム(スターウォーズ用の迎撃兵器)

⑪電磁波を使った航行システム

⑫劣化ウランの発射体

上の製品開発リストにふさわしい科学者を、アーサー・トルードーはアメリカ軍の人材ファイルをめくって探した。

調べたところ、ヴェルナー・フォン・ブラウンはあらゆるロケット開発に参画しており、1959年に「アメリカ軍がUFOの研究をして新しいテクノロジーを獲得した」と公言していた。

さらにロズウェルで入手したシリコン・ウェハーの報告書には、ジョン・フォン・ニューマンの名前が載っていた。

ロバート・サーバーカは特に重要な人で、アイゼンハワー政権では研究開発委員会に名を連ねていたし、(アメリカ政府の)UFO研究の諮問委員会から相談を受けていた。

サーバーカは、ネイサン・トワイニング中将に「ロズウェルで入手したものをライトフィールド基地に運んで調査するように」と進言した人でもある。

サーバーカは、「1950年には、アメリカ政府の研究機関によって、ロズウェルで入手したものの分析が行われていた」と断言している。

私たちが協力を求める科学者には、ウィルバート・スミスも加えられた。

スミスは1950年11月にカナダ政府に、「アメリカで墜落した宇宙船の調査を行うように」と促していた。

スミスは、サーバーカからロズウェル事件の話を聞いていた。

以上の科学者は、いずれも軍需企業と関係を保っていた。

ベル研究所、IBM、モンサント、ダウケミカル、ゼネラルエレクトリック、ヒューズといった企業である。

トルードーは、「私は幕僚長の所へ行って、予算の申請をしてくる。君は科学者に会って、了解を取りつけてくれ」と言った。

私は、「最初に映像倍増管に着手します。かつて開発を手がけたことがあり、第二次大戦の末期にドイツが開発していた装置を押収したことがあります」と応じた。

するとトルードーは、こう提案してきた。

「それなら手始めに、(バージニア州の)フォートベルヴォアに行ったらどうだ?

あそこはこの10年間、暗視装置を開発している。

行く時は軍服は脱いで、背広で行くんだぞ。軍用車も使うな。
誰にも知られてはならん。

ロズウェルの暗視装置は、フォートベルヴォアの人(開発者)にヒントを与え、いつしかその事実は歴史に埋もれる。」

私は背広を着て、フォートベルヴォアを目指した。

フォートベルヴォアは、ワシントン界隈の軍事基地でも屈指の重要拠点で、裏ではUFOテクノロジーの研究をしていた。

またフォートベルヴォアは、陸軍工科学校を有し、ミサイルの弾道試験や兵器開発のデータベースを備えている。

国家安全保障会議(NSC)の暗号解読の要員を養成する施設もあった。

フォートベルヴォアは、うわべは陸軍基地を装いながら、実は墜落したUFOの回収に責任を負い、墜落機の写真や映像フィルムの保管場所となっていた。

そもそも暗視装置は、第二次大戦中にドイツが開発した赤外線ファインダーがあった。

しかし赤外線ファインダーは、やたらとかさばり、実戦で役立たなかった。

私はフォートベルヴォアの研究所棟に行き、暗視装置担当の開発顧問であるポール・フレデリックスに会った。

私は話を切り出した。

「私の持ってきたコレがあれば、研究時間は短縮され、新しい可能性が生まれると思います」

フレデリックスは言った。

「トルードー中将は、ウチの開発チームの全員と接触を保っておられます。
だからどんな資料か、察しはついています。」

「くれぐれも内密に。ご自由に使っていいが、何もかもフォートベルヴォアで考案した事にしてもらいたい。我々は予算を提供し、手柄は全てそちらのものとなります。」

「この会話はどうなります?」

「予算が降りたら、この会話は無かったことにし、あなたの手帳から私との約束は抹消してもらう。」

「そこまで秘密のものとは、何なんです?」

私はロズウェル事件でアメリカ軍が入手した暗視装置の図を、フレデリックスに渡した。
そして「実物はペンタゴンにあります」と伝えた。

「誰がこれを身に付けていたんです?」

「報告書によると、遺体のそばに落ちていました」

「遺体の? ロズウェル事件の墜落現場ですか?
トルードーは、遺体のことは何も言ってなかった。」

「ロズウェルで見つかったものですが、国家機密なので私に話せるのはここまでです」

「ロズウェル事件は一種の伝説だと思っていました。
何かが見つかったにせよ、ソ連製だろうと。」

「異星人の遺体の検視・解剖が行われ、『接眼レンズ』が取り外された時、光をことごとく集める複雑な反射材だと分かった。
つまり夜間の映像増幅器(暗視装置)だと。
だが、これまでは手を付けずにしまい込まれていました。」

「何らかの分析を、すでにしたのでは?」

「AMC(アメリカ軍・航空資材本部)の諜報員が見て、ドイツが開発しようとしていたもの(暗視装置)だと分かりました。
問題は、ドイツの開発に異星人の手助けがあったかです。」

「あるいは我々のように墜落機を入手していたのかも」

「とにかく、ロズウェル事件の現場報告書と、暗視装置の略図をお預けします。
開発に活かしていただけるなら、実物を送らせます。
軍需企業に特許権を与えてけっこうだが、出所がどこかは口が裂けても言わないこと。」

ポール・フレデリックスは、報告書を読み始めた。

私は説明を加えた。

「その報告書は、接眼レンズよりも、ライトフィールド基地で異星人をどう扱ったかが書いてあります。
レンスは調べようがなかったし、身に付けたら失明するかもと恐れたらしい。
しばらくしたら死蔵品になっていました。」

「フォートベルヴォアでは、開発チームは黙って働くように教育されています。
この暗視装置がどこかの国から盗んできた技術である、それを開発に活かせと言うのなら、そうしますよ。」

「異星人のテクノロジーだと、悟られないだろうか?」

「技術者たちは脇目もふらずに仕事に励み、プロジェクトが完成すれば次のプロジェクトが始まり、前のことは忘れてしまう。
実戦で使われる頃には、誰も思いも及びませんよ。」

私たちは握手し、私は研究所をあとにした。

5年くらいでアメリカのどこかの工場で暗視装置が生産され、それは「アメリカ製」となっているのだ。

暗視装置の件は、ドイツですでに開発歴があり、アメリカでも1950年代から研究していたので、わりあい簡単にことが運んだ。

1963年にはプロジェクトはマーティン・マリエッタ・エレクトロニクス(現在のロッキード・マーティン社)が手がけて、アメリカ軍に暗視装置が配備されていった。

(2022年10月16日に作成)


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