ロズウェル・テクノロジーを兵器開発に用いる③
エネルギー放射器、レーザー

(『ペンタゴンの陰謀』フィリップ・J・コーソー著から抜粋)

「アメリカ陸軍研究開発局・海外先端技術部」に配属された私の仕事の1つは、通常のルートでは入ってこない技術開発の情報をつかむことだった。

例えば、アメリカ軍が保存食の開発をしていたとして、イタリアとドイツの技術が勝っていると分かったとする。

私はイタリアとドイツの技術情報を入手し、それをアメリカ軍の開発プロジェクトに盛り込む。

この仕事は(スパイ行為であり)、こっそり動かねばならず大変だった。

私はさらに、ロズウェル事件でアメリカ軍が入手した技術を、開発プロジェクトに導入する「裏の仕事」もしていた。

ペンタゴンの上層部は、進行中の開発プロジェクトにロズウェルの技術が導入されているのを知っていた。

ロズウェルで入手したものに、「誘導エネルギー放射器」があった。

ビーム放射兵器は、アメリカ軍は第二次大戦ですでに配備していたが、ロズウェルのものはそれを遥かに凌いだ。

だから科学者たちは、1950年代の初めにロズウェルのものを研究し始めた。

少し話は脱線するが、1950年代のアメリカでは「電子レンジ」が華々しく登場した。

「オーブンの半分以下の時間で調理でき、しかも凍ったままで大丈夫」との触れ込みだった。

電子レンジは、電磁放射によって調理をする。

電磁波が食品を突き抜けて、内部の水の分子を刺激し、激しい速度で並べ替えることで熱を発生させ、食品は内側から調理される。

この原理をビーム兵器に用いる研究は1945年に始まり、世界初の電子レンジである「レーダー・レンジ」を47年にマサチューセッツ州のレイセオン社が出した。

ニューメキシコ州アラモゴードのアメリカ軍基地で働くロケット科学者によると、ロズウェルの墜落機は高度な波動装置を使っていたらしく、基本的には電子レンジと同じ構造だった。

墜落現場では、ずんぐりした懐中電灯のような装置も見つかり、金属も切断する光線を発した。
エンジニアによると、これも波動装置だという。

私がホワイトハウスで働いていた1954年に、国家安全保障会議(NSC)はチャールズ・H・タウンズからビーム兵器の報告を受けていた。

(※チャールズ・H・タウンズは、1964年にノーベル物理学賞をもらっている)

気体の原子が猛烈なエネルギーを受けると、過剰なエネルギーを精密な周波数の電磁波として放出するのではないか。

1956年にベル研究所が初めて「メーザー」を製造した時、周波数の正確さからタイマーとして使われた。

メーザーの次に登場したのが「レーザー」で、メーザーは電磁波の増幅器であったが、レーザーは光線の増幅器である。

ロズウェル事件の報告書には、異星人の使うレーザー(懐中電灯型の誘導エネルギー放射器)も書かれていた。

極めて細い光線で、目標物に到達するまで目に見えない。
光線を増幅して金属をも貫通できる。

私がホワイトハウスで働いていた1950年代から、アメリカ軍は大学の研究所と共同でレーザーの開発をしていた。

理論的には、元素の原子を刺激すれば光エネルギーが生じるはずだった。

レーザーはビーム兵器としても期待されており、1960年にコロンビア大学の物理学者セオドア・マイマンが初めてルビー・レーザーの試作に成功した。

(※ネット情報を見ると、セオドア・マイマンはヒューズ社の研究所に所属していたらしく、コロンビア大学というのは誤記かもしれない。
なおヒューズ社は、巨大な軍需会社である。)

ロズウェル事件で入手した中にビーム装置があったため、レーザーの開発は盛んになったのだが、異星人が何のためにレーザーを用いていたかは謎だった。

異星人はレーザーを、航行に使ったり、通信の信号として使ったり、医療用具として使ったと思われた。

私は、内臓を抜かれた家畜の遺体の報告書や、異星人に誘拐され実験された者の報告書を読んだ。

誘拐された人は強力な細い光線で外科手術のような事をされた証言が多く、家畜の遺体は臓器が抜かれているのに血液は一滴もこぼれていなかった。

異星人のレーザーが切断の道具であるなら、高度な速射砲としても活用できると、私は考えた。

またレーザーは、距離の測定器や、砲弾のダーゲット・マネージャーとしても使える。

標的に光線を当てて、爆弾やミサイルをそれに合わせて撃つのである。

レーザーを信号として考えると、強力かつ安定しているため、妨害をほとんど受けない。

信号を強めるため力を増幅しても、光線はひずまないため、直線的な長距離通信に申し分ない。

レーザーは従来の信号よりも多数の周波帯を詰め込めるので、洪水のような情報を伝達できる。

(私の所属する)アメリカ陸軍は、1970年代にはレーザーが通信隊の要になると予測していた。

地図の作成でも、レーザーを使えば正確な地図を作れるはずだった。

正確な地図があれば、ヘリや軍用機は地表近くを飛んで、敵のレーダーを避けて隠れていられる。

私はその機能を持つUFOがいた事を、報告書で知った。

そのUFOは、地表近くに居ながら、猛スピードで飛び去った。

レーザー式の装置が瞬時に地形を読み、船体の動きを自動的に調節したと考えられる。

(話を私がアメリカ陸軍研究開発局・海外先端技術部にいた時期に戻すが、)私は1961年の後半に、ヒューズ社のマーク・ジョンストン博士に会うため、バージニア州のフォートベルヴォア基地を訪れた。

表向きはヒューズ社のヘリコプター開発の件で会うことになっていたが、実はロズウェル事件で入手したレーザー装置の件で話しに行ったのだ。

私は、「ヘリコプターの航行レーダーの開発に、ロズウェルのレーザー技術を用いてくれませんか。予算は陸軍研究開発局がもちます」と話した。

こうしてアメリカ陸軍は、ヒューズ社と軍用レーザー開発の契約を結んだ。

それは今日ではHEL(高エネルギー・レーザー)に進化して、人工衛星を攻撃する兵器としてアメリカ宇宙軍が配備している。

私はカンザス州のフォートライリー基地にも赴き、兵器の専門家にレーザーを実戦で使うよう持ちかけた。

距離の測定器、あるいは誘導爆弾のように標的を自動的に追尾する手だてとしてだ。

そして1964年には全米の陸軍基地で、手持ちサイズの距離測定器の試作が始まった。

現在では、警察でも銃にレーザーの照準器を用いている。

レーザーは、ミサイルを撃ち落とすのにも使える。

そこで私は、ミサイルを迎撃するミサイルの開発を提案した。

これは、ロズウェルのテクノロジーに大半を負っていた。

ロズウェル事件の現場報告書やライトフィールド基地での分析報告書には、回収された宇宙船が「指向エネルギーを利用していたらしい」との指摘があった。

これは電子を刺激した強力な光線のことである。

ロズウェル事件の遺品の1つである(上記した)レーザーによる切断道具も、やはり指向エネルギーを使ったものだ。

ロズウェル事件をきっかけに、アメリカ陸軍の研究者たちは、すでに開発を進めていたエネルギー指向型の兵器開発にがぜん意欲を燃やした。

ペンタゴンでは「シーソー」というコードネームで、1958年に高度研究計画庁が、エネルギー指向型兵器の初の実験を行った。

粒子ビーム兵器は、理論的には成功することになっていた。

そもそも自然界に、空中の放電による強力な電子光線である「稲妻」が存在する。

これを高度研究開発庁は兵器に応用しようとしたのだ。

完成すれば、電子もしくは中性子の光線を発生させるはずだった。

なにしろ費用がかさむので実用化しなかったが、1970年代の後半にエネルギー指向型兵器や高エネルギー・レーザーが登場した。

1980年代にレーガン政権がSDI(戦略防衛構想)を打ち出すと、粒子ビーム兵器は一躍脚光を浴びた。

SDIはビーム兵器を使うことになっていて、レーザーだと表面で跳ね返ってしまうが、粒子ビームは内部まで突き抜け、電子レンジが肉を調理するごとく対象をやっつける。

(2022年10月22日に作成、10月27日に加筆)


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