日本の原発史⑥
安倍内閣は「2030年代に原発ゼロ」を撤回し、規制委員会に判断をゆだねる

(以下は『毎日新聞 2013年4月8日』から抜粋)

安倍内閣(自公政権)は、民主党政権が決定した「2030年代に原発ゼロ」の方針を、あっさりと撤回した。

そして、「原発についてはゼロベースで見直す」と表明した。

2013年2月28日に安倍内閣は、「安全が確認された原発は、再稼動する」と明言した。

自民党は、「原発の低減」を掲げており、原子力規制委員会の独立性を尊重して、規制委員会に判断をゆだねる事を決めた。

安倍内閣は、規制委員会の判断を待つ事になった。

野田内閣時代の2012年6月に、自民党も賛成して成立した『改正原子炉等の規制法』は、原発の運転期間を40年に制限している。

原発が減っていくことは、確実である。

○村本尚立のコメント

冷静に見ると、野田内閣の時に国民の声を反映して、かなりの国民議論の後に決められた「2030年代に原発ゼロ」を、安倍内閣があっさりと撤回するのは、国民を愚弄する行為です。

原発問題は、経済界は再稼働を強力に求めており、一般国民は脱原発を強力に求めています。

政権がどちらを重視しているかが、原発政策でもろに分かります。

現状だと安倍政権は、国内では再稼働や原発推進はしづらいので、海外に売り込む事を推進しています。

安倍晋三さんは上手くやっている気なのでしょうが、私から見るとかっこ悪い行いですねえ。

(以下は『毎日新聞 2013年7月27日』から抜粋)

2013年4月25日に伊藤忠商事の岡藤正広・社長は、部下にはっぱをかけた。

「トルコといえば伊藤忠やからな。しっかりやってくれよ」

伊藤忠は、1960年代からトルコでビジネスをしておりパイプが太い。

安倍首相がトルコを訪問して、原発建設の優先交渉権を日本が得たのは、この8日後だった。

トルコの原発建設は東芝の受注が有力だったが、福島原発事故後に東芝は撤退した。
その後、中国や韓国が受注でリードした。

危機感を抱いた日本政府は2012年に、三菱重工に参加を要請。
これに協力したのが伊藤忠だ。
伊藤忠はフランスの電力大手「GDFスエズ」を仲間に引き込み、三菱重工はフランスのアレバ社と共同開発した原子炉を売り込んだ。

伊藤忠は1998年に、1350億円を投じてファミリーマートの株式30%を取得。筆頭株主となった。

ファミマの商品に関わり、各店舗に届ける配送車もほとんどが伊藤忠の子会社だ。

伊藤忠は2013年4月に、世界的な果物ブランド「ドール」の主要事業を、1570億円で買い取った。

そしてTPPを機に、日本産の果物や野菜をアジアに輸出しようとしている。

伊藤忠は1990年代にバブル経済がはじけた後、失速し、99年には3200億円の特別損失を計上し、3期連続で巨額赤字を出した。

そこで新しい稼ぎ頭として資源権益に投資したが、世界的な資源高になったので利益が急増した。

しかし今、資源バブルは終わりつつある。

伊藤忠は「非資源シフト」を打ち出し、原発ビジネスにも参画したのである。


【原発は要らない】 目次に戻る

【サイトのトップページ】に行く