ここからは、2012年1月に行われた広瀬隆さんの講演の中で、私がメモをした事を書きます。
講演中の広瀬さんが、原発推進者たちに怒りをむき出しにしていたのが、印象深いです。
情熱的な人でした。
○ 広瀬隆さんの講演から
東京新聞は、原発の情報を良く伝えている。
今回の原発事故は、津波が原因ではない。
原発は、3分の2の熱を海に捨てている。
この熱を海に逃がせなくなると、メルトダウンになる。
原子炉建屋とタービン建屋は別になっているので、別々に(地震で)揺れ、間の配管が壊れてしまった。
(それによりメルトダウンになった)
田中三彦という原発研究者がつき止めたのだが、福島原発では300℃/70気圧が基本だ。
官邸の公開したデータによると、12日(事故から半日後)には8気圧になっている。
これは地震後に、すぐに燃料棒が露出した事を示している。
つくば(茨城)でテクネチウムが見つかった。
これは福島から飛んで来た。
プルトニウムは、テクネチウムよりも1000℃以上も沸点が低い。
という事は、プルトニウムも広く拡散してしまったという事だ。
原子炉内は4000℃以上になり、プルトニウムなどはガス化して拡散した。
3月12~17日に大量の放射性物質が出た。主に東に流れていった。
その後に3号機(プルサーマルの原子炉)が爆発した。
1号機と3号機では爆発の質が違う。
アーノルド・ガンダーセン氏が、ネットの動画で解説している。
3号機は、爆発時に黒いものが出た。
黒いものは燃料棒が気化したもの。
3号機には使用済み核燃料プールがある。その核燃料で臨界爆発が起こった。
3月15日の午前6時頃に、4号機の使用済み核燃料プールで水素爆発が起きた。
それにより原子炉建屋が吹き飛んだ。
東電は2011年11月から、4号機は3号機から流れた水素で爆発した、と嘘をついている。
結論としては、4号機はわずか500ガルの振動で配管が壊れ、爆発が起こった。
これを東電は認めたくないのだ。
地震直後に配管がやられた事が、証言によって分かり始めてきた。
事故の原因は配管だったのだ!
11月に国会の調査委員会がスタートし、田中三彦氏も入った。
福島県議会は10月20日に、第一・第二原発の廃止を議決した。
知事もそれを受け入れた。
10月11日には、東海村は廃炉の請願書を細野豪志・大臣に提出した。
2007年の中越地震の時に、柏崎原発はメチャクチャになり、メルトダウン寸前になった。
原子炉のたくさんの配管を全て強化するのは、無理である。
福島原発事故から2ヶ月経った5月15日に、東電はメルトダウンをやっと認めた。
メルトダウンをしたのに、冷温停止はあり得ない。
12月になって保安院も、津波原因説に疑問をつけた。
放射能は海に流れていない、とされているが、実際は放水していたため海にガンガン流れていた。
10月20日に朝日新聞は、地下水に汚染水が流れ込んでいる事を報道した。
海洋汚染は、8月5日に北海道南岸に達した。東にどんどん流れていっている。
もうすぐハワイに着く。
事故処理の現場では、(本当にヤバイ作業の場合は)10分働いて20万円が支払われている。
燃料棒が溶けて落ちた時に、数千度になっていたために、下のコンクリートは溶けたはずだ。
コンクリートで燃料が止まっているという話は嘘である。
2号機は底が抜けているので、今一番危ない。
今年(2012年)の1月に入って、ヨウ素とセシウム(の検出が)が急増している。
東電は、中性子を計れないと言っている。
中性子を計れないと、再臨界を探知できない。
4号機は建物がボロボロになっている。
ここに地震があると、プールが壊れて原子爆発してしまう。
今回以上の津波は過去にたくさんあり、国内最大は石垣島の高さ40mである。
世界最大は520mだ。
今回の震災では、福島第二原発、東海村原発、女川原発もすごく危険だった。
あと一歩でメルトダウンになるところだった事が分かった。
1977年の西ドイツでの再処理工場の事故シュミレーションでは、西ドイツの人口の半分がすぐに死ぬ、との予想となった。
それ位に再処理工場は危険なもの。
これを知った事が、私の活動のきっかけになった。
浜岡原発は、沖が遠浅になっており、高い津波になる構造になっている。
3月11日の津波では、300tの防波堤でも壊されてしまい、140tの巨石も流されてしまった。
桜島は3年前から、噴火の数が過去最高を更新している。
私はもうすぐ大地震が来ると予想している。
8月18日に新聞は、甲状腺の被曝を福島の子供の45%がしたと報道した。
ECRRは3月30日に、『100km圏内では、10年の間に10万人以上がガンになる』と予測した。
これは内部被爆を考慮していない。
アメリカの助教授は100万人超になると予測した。
1キュリー=370億ベクレルだ。シーベルトなどの数字は信用できない。
被曝者の声を聞くべきだ。
1平方kmあたりに1キュリー以上は、住んではいけないとされる。
これは、1kgあたりに370ベクレルのものを10cmの厚さで敷きつめた状態だ。
ベラルーシでも飲料水は10ベクレルなのに、日本は200ベクレルと20倍の基準値になっている。
今日本で食べている500ベクレル基準の食品は、放射性廃棄物のレベルだ。
しばらく前の牛肉の高ベクレル検出は、稲わらのせいとされたが、実際は水や空気からも被曝(放射性物質の吸収)をしたはずだ。
この時の牛の内臓は、捨てずに全部を関西に運び、ホルモン焼きにして全て食べさせたと聞いた。
福島県産は偽装をされて、別の生産地にして出荷され始めている。
別冊宝島に詳しく書かれている。
放射能が1000分の1になるには、半減期の10倍かかる。
ベラルーシは4年後に白血病が増えて、100万人が移住した。
α線(プルトニウムなど)は紙で止められる(体内に入るとやばい)。
β線は金属で止められる。
中性子線は一番止められない。
3月21日に、キセノンが全世界でチェルノブイリ事故の1.5倍も拡がったのが分かった。
きのこ類はセシウムを吸い上げるため、濃度が高くなる。
だが、今はベクレル表示をしていない。
全ての食品について、ベクレル表示をするべきだ。
東電は電力の供給力を波グラフで発表しているが、供給力が波になるはずはなく、それは(電力不足になるという)脅しである。
広瀬さんの講演のメモは、以上です。
広瀬さんは、福島原発事故の原因は津波ではなく、配管が壊れたためだと力説していました。
「配管の損傷が原因だと東電の責任になるため、津波のせいにした」と言っていました。
真相の解明のためにも、徹底的な情報開示と事故の検証が必要です。
それをしないと、事故で亡くなった人や、未だに避難している人や、被曝をし続けている国民みんなが報われないです。
私は、『東電は一回破産・倒産させて、一から組み立てなおす方がいい』と、ずっと思っています。
政府やメディアは、「セシウムを調べており、食品の安全は確認されている」と言いますが、セシウムは数ある放射性物質のうちの1つでしかなく、他の放射性物質についても調べないとあまり意味がありません。
「調べるのが大変だから、やらない」という事のようですが、無責任そのものですね。
福島の人々は、もっと怒ったほうがいいです。
人間は、怒りをエネルギーにして活動する事が必要な時もありますよ。
(2012年10月25日に作成)