(毎日新聞2011年11月3日から抜粋)
福島原発の2号機の格納容器内で、キセノン133とキセノン135が検出された。
原子力安全・保安院は、「核分裂反応が起き、キセノンが発生した可能性は高い」と話す。
さらに、「1号機と3号機でも、同様の核分裂反応が起きている可能性がある」と言う。
東電は、2号機の格納容器内の空気を採取して測定した結果、キセノン133とキセノン135を、それぞれ1立方cmあたり10万分の1ベクレルで検出した。
翌日にも採取して測定したが、キセノン135を検出した。
東電は、「2回検出されたので、核分裂の可能性は高い」と説明する。
ただし、圧力には変化はなく、核分裂をくり返す「臨界」の可能性は否定した。
2号機では、8月の調査でもキセノン発生の可能性が示されたが、詳しい測定はしていなかった。
保安院は、「局所的な臨界が起きたかも含めて、確定していきたい」と述べている。
キセノンは、ウランなどが核分裂すると生じる、半減期の短い物質である。
一時的に小規模な臨界が起きても、危険な状態にはなりにくいが、安心は出来ない。
核分裂の原因を突き止める必要がある。
東電は、臨界を防ぐためにホウ酸水を注入したが、入念な調査が必要だ。
今回の検出は、10月末に稼動した「格納容器内のガス管理システム」で調査した結果である。
こうした測定は初めてであり、以前から核分裂が起きていた可能性もある。
1&3号機は、まだ調査もされていない。
測定システムは、中性子を検出できる計測器も設置してほしい。
中性子は、臨界を調べるための直接的な指標となる。
政府や東電は、「冷温停止」を宣言しようとしている。
冷温停止とは、容器内の温度が低く管理されている事だ。
しかし、容器底部の温度が100度未満でも、核分裂が起きているなら、原子炉は安定しているとは言えない。
1~3号機は、溶けた核燃料が何処にあるのか分かっていない。