(『原発のウソ』小出裕章著から抜粋)
福島原発の事故後に、私が原発から2.4kmの地点で放射線を測ったところ、測れないんです。
汚染が強すぎたからです。
事故の前は、日本では国民の1年間の被曝限度量は、『1ミリシーベルト』でした。
年間1ミリシーベルトという基準は、「1万人に1人が、がんで死ぬ確率」の数値です。
日本政府は、事故をうけて『20ミリシーベルト』に基準を引き上げました。
20ミリシーベルトならば、「500人に1人が、がんで死ぬこと」になります。
「それは我慢してくれ」というのが、今の法律なのです。
年間20ミリシーベルトというのは、原発作業員が白血病を発症した場合には、労災認定を受けられるレベルです。
文部科学省は2011年4月19日に、福島県内の学校の「安全基準」について、「年間20ミリシーベルトの外部被曝」を基準として、「3.8マイクロシーベルト」を提示しました。
市民団体や日弁連や科学者が撤回を求め、政府部内ですら内閣官房参与の小佐古敏荘さんが「自分の子供にそれはできない」と抗議の辞任をしました。
この「3.8マイクロシーベルト」には、内部被曝は含まれていません。
原発作業員の被曝限度量は、事故前の100ミリシーベルトから、250ミリシーベルトに引き上げられました。
それまでの100ミリシーベルトは、『被曝による急性障害が出てくるライン』とされています。
つまり、250ミリシーベルトへの引き上げは、「急性障害が出たとしても我慢してくれ」という事を意味します。