(以下は『東京新聞 2018年10月22日』から抜粋)
日本政府(安倍政権)は、2020年の東京五輪パラリンピックを前に、福島原発事故の痕跡を消す作業に躍起になっている。
その流れの中で、除染作業で生まれた汚染土を埋め戻す実証事業が、栃木県那須町と茨城県東海村で始まった。
この実証事業は、フレコンバッグを破って汚染土を埋めるから、実体は廃棄、最終処分といえる。
放射性の汚染物は、移動せず、拡散せず、集中管理するのが原則だ。
この事業は、国際世論の厳しい批判にさらされるのではないか。
栃木県那須町の現場は、住宅地に隣接した公園の中にあるテニスコートだ。
汚染土がフレコンバッグで保管されており、この袋を破って穴を掘って埋め、上から汚染されていない土を50cmほどかぶせる。
周辺住民から不安視する声があがり、交渉が続いていたが、環境省は9月末に作業に着手した。
もう1カ所は、茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構(JAEA)・原子力科学研究所の敷地内だ。
汚染土を同様に埋める作業が、8月に始まった。
環境省はこの実証事業の結果を踏まえて省令を作り、岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の7県で保管中の汚染土を順次、埋め戻していくとしている。
他にも福島県内では、汚染土を道路や堤防の建設に再利用する実証事業が進んでいる。
福島県内に野積みされたフレコンバッグは500万個を超えており、政府はこれをいったん中間貯蔵施設に運び込み、30年後に県外に運ぶと県民に約束している。
政府は、汚染土を県外で埋めて破棄するつもりなのだろう。
そのための実証実験が、上記した事業なのだ。
安倍首相は、東京五輪を招致するに当たり、「(汚染水は)アンダーコントロールにある」と大嘘をついた。
彼は汚染水と汚染土を消し去りたいのだろうが、その廃棄や再利用は国民に説明して同意をもらうのが前提である。
(以下は『東京新聞 2023年3月27日』から抜粋)
福島原発事故の後処理で出た汚染土のうち、放射性物質の濃度が比較的低い土の再利用の話が、日本政府から出ている。
この件について、環境省が行ったインターネット調査では、「聞いたことがない」、「全く知らなかった」との回答が、福島県以外では88%に上った。
環境省は、県外での再利用の試験を計画しているが、ほとんど知られていない状況だ。
福島県の汚染土は、2045年3月までに県外で最終処分すると、法律で定めている。
しかし認知度は低い。
環境省は汚染土を県内外の公共工事で使って処分する方針だが、担当者は「認知度は上がっていない」と話す。